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蒸留所紀行 アイルランド編03 ダブリンリバティーズ蒸留所

ダブリンリバティーズ蒸留所(Dublin Liberties Distillery)、ティーリング蒸留所と背中を合わせて稼働しているこの蒸留所は2018年に創業、翌2019年に生産を開始した。

これまで蒸留所紀行 アイルランド編ではリバティーズ地区(The Liberties)の蒸留所を取り上げてきたが、次回のロー&コー蒸留所(Roe & Co Distillery)がこの地区4番目にして最新の蒸留所となる。

日が沈みライトアップされたダブリンリバティーズ蒸留所。

リバティーズ地区はダブリン都心部の南西に位置する旧歓楽街、ダブリンで最も歴史ある労働者階級の地区であり、また独自の司法権を持っていた事で知られる。それ故、Liberties(自由)である。

ダブリンリバティーズ蒸留所には1種類のツアーのみ用意されているが、平日€16に対して休日€18と少額ながら価格が異なる。

さて、酒呑みとしてはツアー開始と共に試飲用のお酒が配布されると狂喜乱舞しかけるが、同蒸留所でも開始直後にThe Dubliner Irish Whiskey & Honeycomb Liqueurというウイスキーリキュールを手にする事が叶った。

まず第一にお酒を口にさせて下さるお心遣いに感謝してか、気が付けば普段以上に耳を傾けていた。

ステンレス発酵槽。

ダブリンリバティーズ蒸留所では3基のポットスチルが稼働しており、ルーシー・フィンチ(Lucy Finch)、ダーキー・ケリー(Darkey Kelly)、モリー・マローン(Molly Malone)と名付けられている。ルーシー・フィンチとダーキー・ケリーは幽霊、モリー・マローンは魚売りの娘の名前だ。

ダブリンを舞台としたモリーマローンという広く親しまれている曲があり、この中でモリーは没後も幽霊となりザルガイとムール貝を売り続けている。そういう意味では3基のポットスチル全てが女性の幽霊の名を冠していると解釈しても良いのだろうか。いかにもダブリンリバティーズ蒸留所らしい。以下、モリーマローンの当該部分の歌詞である。

Now she died of a fever
And no one could save her
Was then that I lost sweet Molly Malone
Now her ghost wheels her barrow
Through streets broad and narrow
Crying "cockles and mussels, alive, alive, oh"

ドイツのカール社製のポットスチル。容量は10000、6000、6000リットル

見学後のテイスティングはDubliner Bourbon CaskとOak Devil。17から18世紀、Copper Alleyと呼ばれるリバティーズ地区の入り口に悪魔の顔が彫り込まれたオークのプレートが付いていたという。これがOak Devilであり、同蒸留所からCopper Alleyというウイスキーも発売されている。

次回はロー&コー蒸留所。

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