音の響き、それだけで。
はるじおん
この単語の、音がすきだ。響きがすきだ。
本来は花の名前。でもぼくはその花がすごく好きなわけじゃない、道端で見つけても特別嬉しくなったり幸せになったりしない(ごめんね、美しくないって言ってるわけじゃないよ)。どちらかというと如何にも南国!という色彩の強い花が好きだし、緑の濃い木が好きだ。
でもね。
はるじおん、この言葉は見ても聞いても最高だと思ってる。カタカナで書いてみてもいい、ハルジオン。てきと〜に区切ってみてもいい、はる・じおん、はるじ・おん、はるじお・ん。うん、やっぱりステキだ。どこか柔らかみを帯びていて、それでいて凛としてカッコよくて美しい。
漢字でも。
春紫苑。……なんっって風情があってオシャレな漢字を与えられんだきみは。そもそも「紫苑」という漢字が完璧だよ。
「苑」には、特に<学問や芸術の集まるところ>という意味もあるらしい。……うん、学問がすきで、文芸がすきで、表現したモノたちがすきなぼくにもぴったりだ。なんて言ってみる。
まあ、日本国内での扱いは。
そもそも原産が日本じゃなくて、ヒトの手で持ち込まれた種であるせいで、「外来種」扱いで「固有の生態系を壊すもの」扱いされてるけどね(ヒトによって、きみは持ち込まれただけなのに)。
……それにしても、きみはすごく良い名前を与えられたなあ。
だからとうぶん、その名前をぼくは借りよう。柔らかくて凛としてて漢字の意味すらカッコいい、きみの名前の音だけを。