月光図書館

元・学校教員&絵本作家志望、現・舞台俳優。 劇団Voyantroupe所属。 …

月光図書館

元・学校教員&絵本作家志望、現・舞台俳優。 劇団Voyantroupe所属。 2012年に大阪から上京。 役者業の傍ら、趣味で童話や物語の創作を始め、個人サークル「月光図書館」を設立、SNSで発表を開始。 眠くて頭がぐるぐるような物語「マイナーファンシー童話」を発表します。

最近の記事

【自由詩】Analgesiaの朝に

鈍色の朝 鏡に向かっても自分の顔すら思い出せない 今日も鈍色の仮面をかぶり 身支度を整えドアノブに手を掛ける ほんとうの行き先は僕には分からない 車もずいぶんと汚れている 僕らはどこに向かうのだろう 僕らはどこにたどり着くのだろう 助手席にに腰掛けるくたびれたビジネスバッグに 無言のまま問い掛ける Analgesia 鈍色の朝 遠くに見える駅のホーム 誰かが挫折したせいでみんなが足を止めているようだ 消えた時刻表を見上げて立ち往生 または液晶を見下ろす鈍色の仮面の群れ

    • (クリア記念)「SUPERLIMINAL」で泣いた話

      ふだんからリミナルスペースやバックルームズ、ドリームコアなどの、海外発サブカルジャンルを愛しております 簡単に言うと、ひとつの"廃墟趣味"というかな? 肉親に廃墟マニアがいて、それまでは漠然と良さは分かるけどそこまで入れ込める理由が正直分からなかったんですが、 とりわけリミナルスペース愛好というサブカルに触れたことで、もしかしたらそういうことなんじゃないかなという一定の理解を得ました これまでのエントリーでも何度も言及していますが、わたしは孤独な空間を愛しています さら

      • 【創作】永遠より【自由詩】

        【永遠より】 その手に未来を掴んだ者は幸運だ。 意識が目覚める。横たわったままの小さなベッドの上、不意に自分の両手の輪郭を眺める。 今夜も窓の外では極彩色の帳が揺らめき、星屑の煌めきがオルゴールの音色となって、狭い寝室の中へ降りてきて、森の中を輪になって踊る幼い子供達のように可愛らしく歌っている。 ここはそんな、いつもの私だけの景色だ。 今夜も無理矢理染み出してくるような涙。 頬を伝うその感触とともに、私は永遠について想いを馳せる。 世界は落ち着きのない子供のように

        • 人間未満

          これだけ便利なものや食べ物があるのだから 要らない物はどんどん捨ててしまおう 喧嘩やいじめが怖いから 学校もやめて家でなんとかしよう ていうか勉強もしなくてよくない? 将来のため? 時代遅れだなぁ 大人の世界? よくわかんないや うるさいなぁ うるさいなぁ 口うるさい大人はいらないから 親や先生や警察も無くそう 難しい話題ばかり出してくるから 政治家も消そう あ そうだ 何かあったら嫌だから法律も無視しよう 法律に書いてないことは進んで行おう あー つま

        【自由詩】Analgesiaの朝に

          星の王子さま

          けっこう前ですが箱根に旅行に行って 温泉やかまぼこを満喫しながら コロナ禍と老朽化のため23年3月いっぱいで惜しまれつつ閉館となった「星の王子さまミュージアム」へ遊びに行きました 童話を創作してます、なんて言いながら、星の王子さまについてはなんとなくしか知らずに生きてきました 今回のミュージアムの訪問も、半ば付き合いでした 例えば役者仲間が星の王子さまの舞台や朗読劇をやっているのを観に行ったりして、なんとなく中身は知っているんですが 抽象的すぎて掴み所がない、というのがそ

          星の王子さま

          【創作SS】狼少年230401

          「今晩は帰らないから、留守番頼んだよ」 「ちょっと、そんなの聞いてないわ! 今夜は私のバースデイパーティを二人だけでするって、……」 「スコッティの奴が、橋から落ちて死んだって、さっき電話があった。僕は今すぐ奴の故郷へ行かなきゃならない」 「嘘、スコッティが……?」 「珍しく酒に酔っていたらしい。奴は最近、仕事の事で参ってた」 「私も行くわ! スコッティにお別れがしたい。準備をするから待っててちょうだい」 「ああ、わかった。……霧が出てきたな。珍しい……」 ******

          【創作SS】狼少年230401

          【創作】喋る機械と創作家【SS】

          「喋る機械と創作家」 人工知能の導入によって改革が繰り返されれば、人が担う仕事は「改善、交渉、創造」この三つのみになる、という話を聞いた。 しかし、人工知能に創作や表現を行なわせる試みが盛んに行われるようになった。 創作家として身を置く男は危機感を覚え、時代に逆行するように人工知能というものを忌み嫌っていた。 また、人工知能の台頭に関して面白おかしく騒ぎ立てる人々こそを嫌悪した。 しかし、心の奥にある好奇心と、何より人工知能が芸術表現を創作した事実に関心を持ち、ついに"彼

          【創作】喋る機械と創作家【SS】

          「信州幸福考」終演後記

          昨日、無事に終演しました! 誰一人欠けることなく終えることが出来て、ひと安心です 奥村勝=川中勝を演じました井口ジョージです 連日の悪天候のなか、みなさまほんとうにご来場ありがとうございました! 顔合わせからあっという間に終わってしまった印象ですが たくさん"アガる"瞬間を感じました それは稽古でも役作りでも本番でも ただ、こうして落ち着いて考えたときに"何が一番そんなに嬉しいの?"って訊かれたら やっぱり生でお客様一人ひとりをお見送り出来たことなんですね 毎回、初めて

          「信州幸福考」終演後記

          【間もなく本番!】信州幸福考 ~しんしゅうしあわせこう~【見所紹介するよ】

          チケットご予約はこちらから!↓ 劇団獣申 第十九回公演 『信州幸福考 ~しんしゅうしあわせこう~』 作・演:宮﨑誠二 2023年3月24日(金)~3月26日(日) 現代座ホールにて 早いもので、間もなく本番です 美術や衣裳・小道具も揃い、すでに何度も通し稽古をこなし、準備万端です ただやっぱりね、舞台公演というものは、お客様で劇場を埋め尽くして初めて成立するのですよ 自分を、自分らを、役者としてだけでなく商品としてもプレゼンをしないと! というわけで、こちらも気合い入れ

          【間もなく本番!】信州幸福考 ~しんしゅうしあわせこう~【見所紹介するよ】

          ひさびさに劇団獣申さんと

          今日は待ちに待った、 劇団獣申さん第十九回公演『信州幸福考 ~しんしゅうしあわせこう~』の顔合わせでした。 2012年東日本大震災の直後に、声優を目指し上京したわたしですが、 そんなわたしがとある養成所で師事をした宮﨑誠二さん主宰の劇団こそが劇団獣申さんで、何度もお世話になりました。 その後紆余曲折あり、令和になり、ころなのあんちくしょうも経験し…… 今年になってタイミングが上手く噛み合い、ご縁があって今回久方ぶりにご一緒できることになりました。 たのしみです! なんだ

          ひさびさに劇団獣申さんと

          わたしへ、今年はどうでしたか?

          「今年一年は、どうでしたか?」 と訊かれた時に、 "実りある一年でした!"と応えられるかな 自分はそんなに頑張れたかな ちゃんと動けてたかな 怠けてなかったかな 暮れが迫り、そんなふうに反省しています 「今年はどうでしたか?」 "コロナは収束しないし、北欧は戦争するし、日本のかつてのリーダーが日本人に殺されるし、政治家はカルトの話しかしなくなっちゃったし、増税するし、レジェンド級の芸人が自殺するし、レジェンド級の漫画家は急逝するし、アニキも闘魂もいなくなっちゃっ

          わたしへ、今年はどうでしたか?

          姉弟喧嘩を目撃した話

          劇団のミーティングの帰り、近所の商店街を歩く幼い姉弟が静かに喧嘩を始めた。 持っていたぬいぐるみで互いを殴打。弟は効かないアピールで姉を挑発。 横断歩道を渡ったところで、姉貴が弟を突き飛ばして弟スッ転ぶ。(あぶない!) うずくまったまま、ひぃーん……と静かに泣く弟を放置し、ズンズン先を行ってしまう姉御。 弟の泣き声とうずくまったその見た目があまりに可哀想に見えて、世界中が声を掛けるべき雰囲気だった。 おろおろする目撃者達。一番近くにいたおじいさんは、涙に暮れる弟に今

          姉弟喧嘩を目撃した話

          月光図書館です

          らいねんは創作のほうでもがんばっていきたいです

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