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これからのウェブ制作者に求められる素養

印刷媒体とウェブ、どちらがグラフィックデザインの「純度」を求められるのか…。
ウェブです。
ウェブの方が、グラフィックデザインの厳格なる機能性がより必要になります。

なぜなら、固定された仕上がりサイズに収めれば済む印刷物と違い、ウェブサイトは多様な表示サイズに変容して対応しなければならないからです。
そのため、現代の印刷媒体の多くでその忠実なる実践を忘れ去られてしまった「グリッドレイアウトシステム」は、むしろウェブデザインで再注目され、その技法はレスポンシブウェブデザインで応用されています。
グリッドレイアウトシステム的な発想と設計がなければ、レスポンシブウェブデザインによるマルチデバイスへの対応は、破綻したり、あるいは低機能でお粗末なものになってしまうことでしょう(現にそのような事例は少なくありません)。

印刷媒体の関係者が「デザイン的にどちらが偉いと思っているのだ」と言って、ウェブ制作者に横柄な態度をとる様子を何度も目撃してきました。
デザインのジャンルに偉いも偉くないもなく、まったくナンセンスで滑稽な話です。
むしろ、デザインの「難度」で量れば、今ははるかにウェブデザインの方が高度と言えます。
ついては、ウェブデザイナーは胸を張ってデザイナーとしての誇りを持って仕事に取り組みましょう。

しかしながら、ウェブの基本的な技術習得に多くの労力を割かれるためでしょうか、基礎的なグラフィックデザインの学習を得ず、その素養が乏しい(あるいは皆無な)ウェブデザイナーが少なくないのも業界の現状なのです。
そのような人は、デザイナーとして胸を張ることはできないでしょう。

ウェブサイト制作はノーコードプラットフォームの時代になり、その学習コストが大幅に少なく済むようになりました。
これからのウェブデザイナーはその浮いた時間や体力を、グラフィックデザインの構成力や表現力の向上に努めるようになるでしょう。
いい加減なレイアウトやタイポグラフィー、カラーリングでは、競争に生き残れない時代に入っていくのです。
また、グラフィックデザインや表現に長けている印刷媒体に従事してきた他ジャンルのデザイナーも、ノーコードプラットフォームによって、ウェブサイト制作にどんどんと参画してくることでしょう。

これからのウェブ制作者は、グラフィックデザインの素養をより求められるのです。

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