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13破壊の祈り

その騎士は、ひたすら祈っていた。
どうもよくない方向に物事が進んでいる。

王は戦を決めた。
巷では、見たこともない鉄の塊を操る文明もあるらしい。

月が滴ったということは、あの世界がもう少しで降りてくる。

いよいよ、覚悟を決めなければならない。
槍の文明は、おそらく滅びるだろう。

しかし、この騎士には秘策があった。
文明同士が争う理由など、本来はない。
それぞれが干渉し合うこともなくこれまでやってきたのだ。
今になってどうして争いを始めたのか。
その根源を騎士は知っていた。
それを破壊すればいいだけなのだ。

騎士は祈っていた。
この騎士は、剣や槍よりも祈りの力が強かった。

ただし、理性も人間性も全て捧げることになる。

カチャッと甲冑の音を立てて立ち上がる。
側近がやってくる。

いいのですか?

かまわぬ。

すでに周囲からは先ほどまでの聖なる空気は消え、禍々しさが漂っていた。

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