11亡霊たち
村の奥には誰も近寄らない場所があった。
とはいえ、既に何年、何十年と周辺には誰も住んでいない。
実質、誰もいない場所だ。
ところが、月が滴る時、というのは何が起こってもおかしくない。
しまった、引き返そう。
そう思った時には既に手遅れで、目の前でふわふわと風もないのに揺れている何か、の仲間入りをすることになるのだろうか。
先日、旅を共にした人は反対側の村に向かうと言っていた。
おとなしく付いて行くべきだったか。ついて行かなくて正解だ。
おまえは消さぬ。消せぬぞ。
そんな声が頭の中に響く。
どういうことだろう。わかっているくせに。
消されかけていたのか?!
消してくれ!いっそ!
いつの間にか閉じていた目を開いた。
ああ、消された方がましだったかもしれない。
暗い世界だと思っていたがそうでもないらしい。
おかしい、誰と誰が会話をしているのだ?
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