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世界一受けたい授業の"不登校"の回を見て思ったこと

3/17の世界一受けたい授業で取り上げられた「不登校」
不登校新聞の編集長の方が不登校についてお話をしてくれるものでした。

不登校に関わりはじめてまだ短いですが、自分なりの観点で今回の番組を見て思ったことについて書いてみようと思います。

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番組の内容と感じたこと

今回の番組の内容をざっくりとまとめるとこんな感じだったかと思います。

・いじめが原因で学校に行けなくなっても甘えじゃない
・学校に行きたくない子にはどういう兆候がでるか
・不登校の子たちの新しいあり方としてフリースクールやホームスクーリングがある
・フリースクールやホームスクーリングを実施している人へのインタビュー
・不登校は一つの生き方だ

今回の番組について僕の見解をあらかじめ述べておくと、
①不登校の実態はもっと多様で複雑で、番組ではそのうちの一部の輝かしい部分にスポットが当たっている
②ただ、今の日本の不登校理解状況ではこの放送内容で意義があった

という二点になります。

それぞれについて少し詳しく書いてみます。

「番組への人々の反応」と「不登校の実態」

今回の番組に関して、twitterでは当事者の保護者さんから「不登校の実態はこれが全てじゃない」という声が目立っているように感じます。

様々な意見がありますが、

・フリースクールやホームスクーリングできるのはごく一部
・不登校の原因はいじめなどのスクールカーストだけではない
・成功体験を取り上げていたが、実態はそういうものばかりじゃない

といったものが多い印象でした。

これは的を得ていて、番組でも述べられていましたが、不登校の子どものうちフリースクールに通っている子どもはわずか3%ほどと言われています。
ホームスクーリングがちゃんとできるのはある程度金銭的・時間的余裕がある家庭で、共働き家庭ではなかなか余裕がないのもまた事実です。

不登校の原因もいじめが全てではなく、発達の特性が集団と合わなかったり、先生との相性がよくなかったり、病気がきっかけだったり、多様かつ複合的です。

また不登校の状態として、学校に行く/学校に行かない/フリースクールに行く、ときっぱりと線引きできるものではありません。
①行き渋りが始まり、
②部屋に引きこもったり登校拒否が本格化し、
③徐々にエネルギーが溜まっていき、
④最終的にフリースクールなど「外の居場所」に行くようになります。
こうしたフェーズは人によって期間・深刻度はバラバラで、そのフェーズを行ったり来たりすることもあります

何が言いたいかというと、今回の世界一受けたい授業は、最終的な「活動期」にスポットを当てた番組構成で、そこに至るまでの苦悩の過程を飛ばしていたので、実際にその前のフェーズのまさに一番苦しい過程にある保護者さんたちからは「そんなキラキラしたものばかりじゃない」という声が上がったのだろうと思います。

誰が間違っているというわけではなく、不登校とはとても多様で複雑でかつ繊細なトピックなのだと思います。


「日本の不登校理解」と「番組の役割」

では今回の番組で、そこまで踏み込むべきだったか?というと、番組の尺やバラエティという性質、そして何よりも日本の不登校理解の現状を考えると今回のやり方がベターだったのではないかと思います。

というのも、今回の番組で一番伝えたかった観点は、

「不登校は甘えでなく、生き方の一つである」

だったと思っています。


この考え方は不登校当事者や関係者からすると当たり前なのですが、日本社会の理解はまだまだ追いついていないのが実態ではないでしょうか。

まだまだ「学校は行かなきゃいけないもの」「不登校はダメな生き方」という考えを持ってる人も多いはず。

だからそういう考えを変えていかないことには、「この問題の根っこはどこにあって、本当に何が必要なのか」を社会が考えるに至りません

一番の苦しみの渦中にいる当事者の方たちにとっては口惜しいかもしれませんが、「不登校って本当は悪くないんだよ」と伝える番組の主張自体は今の日本を主語に置いた時には必要なことだったのではないでしょうか。


一人でも多くの人がこの問題を知り、これからを考えていくために

このように不登校の子は、フリースクール行ってる子もいれば、ずっと家にいる子もいれば、適応教室や保健室登校や放課後等デイサービスを組み合わせてる子もいる。
まだ知らない実態もあるんだと思います。

そういう多様な実態に対応できる『パラレル・ラーニング』的な社会ソリューションがもっともっと必要なんじゃないかと感じています。
実態は家にいて外に出るのが難しい子の方が多いわけで、そこになんとかアプローチできる手段を探っていきたいと思っています。

そうしたソリューションになっていけるように、今僕がやっている夢中教室WOW!も、学校が合わない子がオンラインで自分の好きなことを学ぶことを通じて「人生は面白い」と感じてもらえるプログラムをつくっています。
これから、もっともっと色んな機会をつくっていきたいという思いがさらに強まりました。

日本の社会が「不登校」をちゃんと理解し、何が必要なのかを考えていける社会になってくれたらと思います。
これは教育機会の穴であり、本来無償で大人が提供する義務がある義務教育が行き届いていない現状であります

この現状をどうやって変えていけるか、もっともっと社会全体で考えていけるように、微力ですがこれからも発信を続けていきたいと思います。


そして、きっとこうしたマイノリティがゆえに理解されずに苦しんでいるのは不登校だけでなく、セクシャルマイノリティや発達障害がある人、外国にルーツをもつ人など、様々なところでいるはず

そうしたマイノリティの人たちを理解しようとし、自分は何ができるか考え、できることをやっていく。

そうしたちょっと優しさを人々が持てるようになったとき、ちょっとずつ社会はグラデーションのように良くなっていくのではないでしょうか。

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