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ポジティブな言葉を使いたい。

会社の後輩に誘われ、連休最終日は息子も連れてちょっといいハンバーグ屋さんへ。


注文してハンバーグが届くまでの間に、これからの会社リクルートの考え方だとか社内広報の展開について相談を受けた。
色々と破天荒なところがある後輩だが、会社に対する愛と熱意と行動力はすごい。


そうこうしていたら、店員さんが鉄板を持って颯爽とこちらのテーブルに近づいてきた。

鉄板でジュージューと音を立てるチーズハンバーグが前に置かれ、ナイフとフォークを手に取った瞬間、「先輩ってポジティブな言葉ばっかり使いますけど、なんなんですか?」

な、なんなんですか??(困惑)



「いつも『エラい!』とか『今日のコーデめっちゃいいやん』とか『このデザイン好きやなー』とか、ほぼ毎日…。私以外の他の子にも言ってますよ!なんでそんなポジティブなんですか!」と、身を乗り出して言われた。
お…おぉ??(困惑)




正直、自分のことをポジティブだと思ったことは一度もない。なんなら、どっちかっていうと激烈ネガティブ超サイヤ人。気の許した人の前では、口をひらけば憎まれ口や愚痴、皮肉がポンポン出てくる方だ。
とりあえずハンバーグ食べていいですかね。

中身がポジティブじゃないからこそ、ここ数年は「ありがとう」だとか「いいね」だとか「好き」みたいな、ポジティブな気持ちが湧き上がったら相手にそれを伝えるようにしている。



そうした方がいいと私に教えてくれたのは、
普段は皮肉屋で、無愛想で、無口な夫だ。


物心ついた頃から、私は自分の字があまり好きではない。

女性らしいかわいい丸文字でも、バランスの取れた流麗な字でもなく、クセが強すぎる文字。
払いは大きいし、なんだかトゲトゲしていてアンバランスだ。

一度、商品の文字モデルをする時に、上司からも「この子女の子にしては字が汚いから、他の人にしたら?」と言われたことがある。それからというもの、人前で字を書くのがイヤでたまらない。
十年近く経った今でも根に持ってる。



けれど、まだ結婚する前の夫が、年賀状を時間をかけて書いている私の手元を見ながら、
「○○ちゃんの字、シュッとしてて、かっこよくて、丁寧に書いたくれたんだなって伝わってくるから好きよ」と言ってくれた時、心の中がホワッと温かくなったのを覚えている。




その時のことを、多分もう当人は覚えていないと思うけれど、子どもの連絡ノートを書いている時などに、今でも「勢いあって良い字やなー」と、横で頬杖をつきながら声をかけてくれる。
言われた私は、これから何度でもその言葉を心の支えにして文字を書き続けると思う。


それくらい、ポジティブな言葉は、相手をポジティブにするための力を持っていると思う。
まぁでもボールペン字講座は始めようかな。


だから、出来るだけ小さなことでも「いいな」と思うことは相手に伝えられる自分でいたい。
それが、その人の自信につながることになればとても嬉しいことだと思う。

…とは思うけれども、こんなことを真面目腐ってこのヤンチャ女子に言うのも年寄り臭くて気恥ずかしいので「今時の子は褒めて伸びる子が多いからねー」と、鉄板の上のブロッコリーをもてあそびながら誤魔化しておいた。


後輩は「困るんですよー。そういうの」と、エビフライの頭をフォークで突き刺しながら言う。
バイキングかあんたは。

「適当に仕事して適当にお金貰いたいのに、いい仕事したくなってガチ本気出しちゃうじゃないですかー」と、こちらを見ずに言う。


そういうツンデレなところが、かわいいねぇ。







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