”薄型テレビをタイル壁に掛ける”は定着したか?
前回の記事を引き継ぐ形で、本題の2020年2月18日から21日まで幕張メッセで開催された「国際ホテル・レストランショー」について紹介する。
地道な進化。エコカラットからエコカラットプラスへ
ちょっとオシャレなリビングにするなら「テレビバックに壁掛け」というイメージは、いまでも引き継がれている。壁面に使用するのはLIXILのエコカラットというトレンドも。
「主役の背景にエコカラット」は、最近では寝室のベッドのヘッドボード裏にも飛び火。アクセント壁紙のようにエコカラットプラスを採用する例が増えているという。
※エコカラットプラスとは、従来のエコカラットよりも調湿機能が向上し水拭き可能となった点が異なる
もちろん、近年、心身を充電する場としての寝室を重視する意識が高まったことによって、エコカラットがもつ調湿や消臭機能が空気の籠もりがちな寝室にも相応しいという認識が広まったというのは想像できる。
しかしそれ以上に、寝室の意匠に合うエコカラットが充実してきたことが大きい。
ホワイトの漆喰調一辺倒できたリビングダイニングでの壁の設えニーズに対して、寝室やトイレ、書斎といった”サブ”ルームでは、より個性的な空間が求められるが、10年前はそれに対応したダークで個性的な製品が不足していた。
エコカラット自身が毎年のように着実に進化し、当初は製造が難しかったダークなカラリングや、繊細なテクスチャを持ったバリエーションが格段に増えたのだ。
↑最近人気はブラックのリアルな石材調「マイルストーン」仕上げ
↑そしてこの春登場のニューモデルも、厚みが異なり「乱張り」のようなデザインの「つちのは」など、従来のタイルの概念を超えるものだ
ちなみに隣接するグローエのブースでは、以前にご紹介したDTLがフィーチャーされていた。
↑鮮やかな赤にドットが目を惹くDTL「鹿の子+インテリアカラー目地」
展示では、近年はエコカラットプラスの技術力を活かして異業種とのコラボレーションも多彩に展開しているのも目を惹く。
NITTO CERAと協働する「エコカラットDIYサービス」(ONDEMAND ECOCARAT)も、技術的な進化によって従来から熱望されていたニーズに応えたラインナップという意味では、同様の流れを汲む取り組みだ。
エコカラット自身が”塗装できる”ように進化しただけでなく、インクジェット技術の普及という外部的な要素と相まって、壁紙さながらに自由な絵柄をプリントできるエコカラットが実現した。
ONDEMAND ECOCARAT オンラインショップで、数千万点のイメージから好みのものを無料でデザインに選べるほか、自分の写真やイラストなどを持ち込んでタイル化することもできる。
しかも、マグネットで壁に貼ることができるので、DIYとして取り組むにもオススメ。ゴールデンウィークに部屋の模様替えに取り組んだ方には、その総仕上げとして、家族の思い出の写真等を飾ってみては。
エコカラットのキホンをおさらい
ホームシアターのインストール業界では10年以上定番となっているエコカラット。私たちの間ではその評価は定着していると考えるが、当の本人は「エコカラットという名前はまだまだ一般の方に浸透しているとは言えません」(LIXILタイル事業部西村さん)という。
そこで、エコカラットを導入するメリット=調湿、脱臭といった基本的な効果についても力の入った興味深いプレゼンテーションがなされていた。
通常の壁紙とエコカラットとで、コーヒーのニオイがどれぐらい除去できるのかを「数値」と「嗅覚」で確認できる装置。
実際に蓋を開けて嗅ぎ比べてみると、数値以上にエコカラットの効果が絶大なのに驚く。ショールームに常設してほしいと思うほとだ。
意外なところでも評価バツグン!?
昨年まではオリンピック需要で新設、改装ニーズが多かったホテル。ここでも活躍を見せていたのがエコカラットプラスだった。
ホテルでは、チェックアウトから次のお客様のチェックインまでに迅速に清掃を済ませなければならない。
もちろん空気環境も迅速にフレッシュなものに入れ替える。そのとき、たばこ臭は禁煙/喫煙の別が設けられているのであまり問題とならないが、意外に問題となるのが「キムチ臭」だという。
↑エコカラットを4㎡施工した客室43㎡では、夜食でキムチを食べて一泊したのちの部屋のニオイは、臭気濃度で80%改善。人の感覚においても、「受け入れられない」という人の割合が83%から66%へと17%改善したという。
↑三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミアのヘッドボード裏にストーングレースが導入
↑中野サンプラザホテルにFシリーズが導入
↑フィンランドのテキスタイルデザイナー、ヨハンナ・グリクセンの手による「ドリス」。フィンランドの手織りと立体的模様が特徴
↑エコカラットプラス デザインパネルキット
このように、まだまだ無限の可能性を秘めたタイルの世界。
個人的には、超短焦点プロジェクターの投影先にピッタリの壁面にうってつけの製品が欲しい。ホームシアターは文字通り”巣ごもり”の趣味なので、空気も汚れやすい。調湿・消臭機能は大きな武器となる。
それに”いい音”機能が加われば鬼に金棒だ。土と水に由来する焼き物であるタイルを使って音が悪くなるはずがないとおもうのだ。
散漫な記事となりましたが、今回はこんなところで。。
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いい音&大画面があることで日々の暮らしが豊かに。住宅というハコ、インテリアという見た目だけでない、ちょっとコダワリ派の肌が合う人たち同士が集まる暮らし方を考えていきたいと思っています。