007によろしく
あなたは今、マリッド・ホテルのロビーにいます。
ここの503号室に今回の“指令”が置いてあります。
ロビーにはおしゃべりをしている老夫婦と思われる二人と、ビジネスマン風の中年の男性が新聞を読んでいます。
特に不自然な様子はありません。
あなたはエレベータに乗って5階に到着しました。
そして目的の503号室の目の前まできました。
「部屋の扉はどんな感じですか?」
木目調ですが鉄扉にペイントされているようです。
ドアノブもそれに合わせてクラシカルな木製の握って回すタイプの物です。
どうしますか?
「オートロックですよね?」
情報が不足していました。
部屋の扉はオートロックではありません。
既にロックははずしてある、との情報です。
「じゃあ、回して入れるってことですよね?」
はい。
では、どちらの手で回しますか?
「え?
どちらの手って…。
何か仕掛けでもあるんですか?」
それはわかりません。
「あ。
あー!そういえば。
この間のミッションで右手で花瓶を掴んでたら、先に相手に撃たれちゃったもんなぁ」
ありましたね。
利き手の右手が塞がれていたので、銃を持ち替えるのに1ターンかかりましたね。
「えー?
今回もそういうのあるんですか?」
わかりません。
さて、ドアノブを回しますか?
「うーん。
そうだ、とりあえず【聞き耳】のスキルを使って中の様子を確認します」
わかりました。
では、ダイスを振ってください。
「はい。
えい、と、
振りました」
部屋の中からは特に物音はしないようです。
人の気配も感じません。
ドアを開けますか?
「ちょ、ちょっと待ってください。
ドアノブに変な仕掛けとか無いですよね?
そうそう、随分前のミッションで、カメの彫刻を触ったらいきなり大爆発した事があったじゃないですか」
ありましたね。
あの時は、護衛対象と一緒に迎賓館の64人を巻き添えにして爆死しましたね。
「そうです、あの一件でエージェント・ランクを降格させられましたからね。
支給品がスナイパーライフルから、メカニカル吹き矢にさせられたんです。
その次のミッションは大変だったなぁ」
さて、そろそろドアを開けますか?
あまり長時間同じ部屋の前にいると、他の客室から誰かが出てくるかも知れません。
「そうですよね。
うーん、そうだ。
【機械通】のスキルでドアノブに何か仕掛けられているかわかりますか?」
では、ダイスを振ってください。
「えい。
こんなん出ましたけど」
あなたにはドアノブに何か仕掛けられているのか、わかりませんでした。
さて、そろそろ他の部屋から誰かが出てくるかも知れません。
ダイスを振ってください。
「それは、失敗したって事ですよね?
わかりました。
えい、こんなん出ました」
誰も他の部屋から出てきませんでした。
ただし、これから3ターン毎に出現チェックをしてもらいます。
失敗すれば他の宿泊客に見つかってしまいます。
どうしますか?
「じゃ、じゃあ。
この間習得した【ポルターガイスト】のスキルを使って、ドアノブを回してみます」
ん?
そんなスキル持ってたんですか?
「ええ、別のコンベンションで心霊館を捜索した時に習得しました」
んー、ちょっと待ってください…。
えーと、ポルタ―ガイストは、使用者が意図しない動きをする可能性があります。
では、ダイスを振ってください。
「それ。
こんなん出ました」
ドアノブが、ポルターガイストによってガチャガチャと不規則に回りました。
しかし、ドアは開けられませんでした。
どうしますか?
「えー!、また失敗ですか?」
先程も言いましましたが、ポルタ―ガイストは使用者の意図しない動きをする可能性がありますので。
さて、どうしますか?
「まじか、使えないなぁ!」
あと2ターンで宿泊客の出現チェックをする事になります。
「うーん、わかりました。
ドアノブを回しますよ」
どちらの手で回しますか?
「左手で。
右手はすぐに銃を取り出せるような体勢でお願いします」
わかりました。
あなたは左手でドアノブを回しました。
おっと。
アクシデント発生です。
ダイスを振ってください。
「え?
やっぱり何か仕掛けられてたんだ。
えい、と。
こんなん出ましたけど」
ドアは開きませんでした。
「ん?
ドアが開かない?
何でですか?
最初にロックはかかってないって言ったじゃないですか?
それとも開けるのを間違いましたか?」
いえ、開ける判定には成功しました。
しかし、先程発動したポルターガイストによって、内側から施錠されてしまったようです。
「まじか!
本当に使えねぇなぁ!!
もう絶対【ポルターガイスト】使わないわ!」
さて、どうしますか?
次のターンの後に、他の客室からの出現チェックをして頂きます。
「そ、そうだ。
【ピッキング】のスキルを持っています。
それで開けられませんか?」
開けられるかもしれませんが、開けるまでに5ターン以上かかります。
ピッキングを始めますか?
「ちょ、ちょっと待ってください。
ピッキングしているのを他の宿泊客に見られたら、もちろん通報されますよね?」
もちろん判定はしますが、確率的にはほぼ泥棒だと思われて通報されるでしょうね。
どうしますか?
「やるしかないでしょう!
ここで帰ったらミッション失敗なんですから。
ピッキングを始めます」
では、ダイスを振ってください。
「はい。
こんなん出ました」
成功です。
他の客室からは誰も出てきませんでした。
「良かった」
しかし、この部屋の中から何か聞こえてきました。
「何ですか?
さっきの【聞き耳】では何も聞こえなかったんですよね?」
はい。
しかし、人の声のようなものがかすかに聞こえてきます。
「わかりました。
もう一回【聞き耳】のスキルを使います」
では、ダイスを振ってください。
「えい、こんなん出ました」
部屋からの断片的に音声が聞こえてきました。
“…おはよう、フェル…、今回…任務…”
「スパイ大作戦かよ!!
もしかして指令を受け取るのってターン数制限あったんですか!?
まだピッキング終わりませんよね?」
終わりませんね。
あと4ターン後に最初の開錠判定をします。
「あぁあ!
それじゃあ、指令が聞き取れないじゃないですか!
もう扉をブチ破ります!
【筋肉増強】のスキルで体当たりします!」
わかりました。
では、ダイスを振ってください。
「えい!」
成功しました。
ただし身体的なダメージを受けました。
もう一回、ダイスを振ってください。
「まじか!
えい!」
両腕と両足を脱臼しました。
部屋の中には入れたものの、身動きが取れません。
更に、扉を開けるときに大きな音がしたので近くの宿泊客がフロントへ連絡しました。
あと5ターン後に、警備員が駆け付けます。
「うっわ、まじかよ!
でも、指令は聞けるんですよね?」
はい。
3ターン必要になりますが、聞きますか?
「聞きます!
そのためにここに来たんでしょ?」
わかりました。
では、指令を要約します。
“今回、君に頼みたいのは、麻薬密輸カルテルの内偵だ。
一時間後に出発する便に乗り、マドリードへ飛んでもらいたい。
サンマドリード・ホテルの305号室に次の指示を置いておく。
君の検討を祈る。
なお、このメッセージは5秒後に自動的に消滅する。”
以上です。
あと、2ターン後に警備員が到着します。
「…」
どうしますか?
「…あの。
前回取得したスキルありましたよね。
【縄ぬけ師】というの」
ああ、前回サーカス団に潜入した時に取得しましたね。
それが何か?
「それに、元々【柔道家】っていうスキル持ってるんですよ。
【縄ぬけ師】と【柔道家】で脱臼は治せますか?」
治せるかも知れませんね。
でも、両腕を脱臼してますし治すのは難しいかも知れませんよ。
まぁ、いいです。
では、ダイスを振ってください。
「あれ?
忘れましたか?
ナイフ投げで【百発百中】というスキルも取得してたんですけど。
あれはダイスを振らなくても成功するスキルでしたよね」
あ…。
「治療に成功しますよね?」
う…、はい。
でも【百発百中】はミッション中に1回しか使えないんですよ?
「あ、いいです。
使っちゃいます」
…わかりました。
しかし、治すのに4ターン消費しますので2人の警備員が先に到着してしまいました。
どちらも警棒を構えて身動きのとれないあなたに近づいてきます。
どうしますか?
「【ポルターガイスト】スキルを発動します。
で、警棒を取り上げたり、部屋の物を空中浮遊させてかく乱します。
何ターンぐらいの猶予を獲得できますか?」
まず、ダイスを振って判定しないと分かりませんよ。
「あれ?
【百発百中】って、発動したらその行動が完了するまで効果が継続するんでしたよね?
だったら、脱臼の治療中に【ポルターガイスト】を発動したら成功しますよね?」
あ…。
「何ターン獲得できますか?」
う…。
ダイスを振ってください。
「はい、振りました」
警備員はポルターガイストによって混乱しています。
あなたは5ターンの時間を稼ぐ事ができました…。
「じゃあ、まずは脱臼を治して。
残りの1ターンで警棒を拾って、悠々と部屋を出ていきます。
いざ、マドリードですね!
アディオス・アミーゴ!!」
んー…。
シークレット・エージェントなのに随分ドタバタですね。
「いいじゃないですか。
スキルの発動も色々確認できましたし。
それに、このドタバタが面白いんでしょう?
ちなみに、警棒を持ったので【棍棒使い】のスキルとか習得できませんか?」
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