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「FXの聖杯」公開に向けて 9 あなたがFXで負け続ける根本原因

 現在、店頭FX業者等が「損切りは投資資金の防衛になる」とのプロパガンダをあらゆる情報媒体を使い流通させています。そして、この情報戦略の結果、個人投資家は疑いもせず損切りが正しい投資行為だと思い込むようになってしまいました。そして、読者自身も損切りを「正しい投資行為」と思い、かつ、実行してきたことでしょう。しかし、本記事を読み進めれば「損切りは投資資金の防衛になる」どころか、「FXでの連敗原因となり、また、投資資金をくずかごに捨てる愚かな行為であった」と確信するでしょう。


1  損切りこそが連続して負ける根本原因

1   連続して負ける根本原因

(1)問題

問題
 本来、連敗確率は連勝確率と同じにもかかわらず、なぜ、読者はこんなにも簡単にFXで負け続けるのか答えてください。

(2)解答
 
著者の解答は、実にシンプルです。
連続して負け続けるのは、あなたが損切りしているから。

これは大切なことなのでもう一度繰り返していいます。
連続して負け続けるのは、あなたが損切りしているから。

(3)この問題が指し示すもの
 
読者は、「そんなはずはない」と激しく反論することでしょう。

しかし、それらの反応は、認めたくなどないと思いますが、店頭FX業者等が行っている情報戦略による洗脳結果です。人はおいそれと洗脳されている事実を認めたがりません。そもそも、「自分が洗脳されるはずはない」との強い思い込みがあります。そして、人は自分が優れているものと思い込みたがる傾向にもあります。

そのような思い込みを覆すためには、自分が優れているとの思い込みからではなく、事実から物事の真偽を検討する態度が必要です。

2 連勝確率と連敗確率は、本来同じです

(1)連勝確率と連敗確率の検討 
 では、具体的に連勝確率連敗確率を検討してみましょう。
チャート価格の上げ下げを予想し、そのどちらかを必ず選ぶことを数式であらわすと、

そのFXでの確率は、

(1/2)^n=1/2のn乗(nは、FXする回数)となります。
これに具体的な数字をあてはめてみると

①10回連続で、FXに勝つ確率は

1/2を10回乗じて
(1/2)^10=1/1024=0.0009765625=0.09765625%

②10回連続で、FXに負ける確率は

1/2を10回乗じて
(1/2)^10=1/1024=0.0009765625=0.09765625%

となり、連勝確率と連敗確率は、本来同じです。

しかし、読者は、FXで10回連続取引を行った場合、FXでの連敗確率は、0.09765625%とはなっていないはずです。
おそらく、連敗確率が50%であったり、ひどい場合は100%負け続けていたりするのではないでしょうか。

その原因は、ただ一つ、読者が損切りという「負けを確定させる行為」を行ったことです。

2  損切りを肯定する主張とそれに対する反論

1   損切りを肯定する主張


(1)主張

主張1
損切りは、資金を防衛するために必須だ。これをしないと資金を守ることなどできない。

主張2
FX評論家や無料の投資情報、また、有料の投資情報でも損切りを推奨している。

主張3
FX関連の書籍では、常に損切りが大切だと書いている。

 上記三つの主張は、損切りを肯定する根拠として書籍やインターネットでよく見かけます。また、特に主張1については、店頭FX業者関連の情報検索結果でよく見かけます。そして、その際「FXは確率で考えなければならない」、「期待値を考慮しなければならない」と主張されます。

しかし、著者からすれば、彼らはFXを全く確率で考えていないし、それゆえ、期待値についても的外れな結論に至っています。本当に確率で考えていたら「損切りすべき」など決していえないはずです。これらの詳細について、これから論ずることにします。

2  損切り肯定に対する反論

(1)主張1に対する反論

 
この主張1に対する著者の反論は、「損切りしたことにより現実に資金が減っているではありませんか。全く資金防衛になってなどいません。」です。

具体例から検討しましょう。

(1/2)^n=1/2のn乗(nは、FXする回数)
において、
1/2を10回乗じた(1/2)^10を例にすると

連続して負ける確率は
(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×(1/2)×
(1/2)×(1/2)×(1/2)ー①
=1/1024
=00009765625
0.09765625%
となり、かなり低い確率です。

ところが、あなたが損切りという行為を10回のうち連続9回行ったらどうでしょうか。損切りは、損切りという確定した行為を行うということですから、価格の上げ下げ1、2のどちらかを選択するのではなく、1通りの選択しかないことから、(1/2)は、(1)となります。少し分かりづらいですが、この(1)は、両建てを意味する(2/2)とは異なります。

では、上記式①に当てはめます。

連続9回損切りしたことにより連続して負ける確率は
(1/2)×(1)×(1)×(1)×(1)×(1)×(1)×(1)×
(1)×(1)ー②
=1/2
=0.5
50%

となります。①にくらべ何倍連敗確率が上昇したでしょうか。10倍や20倍程度でしょうか。そうではないはずです。しっかりと事実を見てください。そんな生易しいものではありません。

答えは、「②は①にくらべ実に512倍も負ける確率が高くなった」です。もう一度いいます。「②は①にくらべ実に512倍も負ける確率が高くなった」です。

この事実を見て、一体どこに「損切り」に資金防衛を見いだせるでしょうか。

ちなみに、10回連続で損切りすると、①にくらべ実に1024倍も負ける確率が高くなります。

検討した結果は、受け入れがたいものだったでしょうか。もし、そうだとすれば、それは、事実を見ずに頭の中だけで考える習慣に慣れすぎたからです。そして、この態度こそが聖杯が見つからない根本原因でもあります。

さて、実際に検討してみると、本来連敗確率は、わずか0.09765625%(①)にすぎなかったものが、あなたが損切りを繰り返したため、連敗確率をわざわざ50%(②)、実に512倍にまで急上昇させてしまいました。この事実をみて、一体「損切り」のどこが資金防衛になっているといえるでしょうか。全く資金防衛になっていません。それゆえ、著者は「損切り」は資金防衛手段ではないと主張するのです。

※著者は、資金防衛として、損切りの代わりに両建てを使い反対玉のコントロールにより損失を相殺しています。

(2)主張2、3に対する反論
FXは相対取引であるため、個人投資家と彼らが口座を開設した店頭FX業者等は利益相反関係にあります。そして、個人投資家の損切りや強制ロスカットを反対売買して、あるいは、ノミ行為によりそれら店頭FX業者等は多額の利益を得ています。
そうだとすれば、店頭FX業者等が、個人投資家の損失を促進するさまざまな情報戦略を採用するのは、経験則上当然のことといえます。

これが、それら業者のお抱えFX評論家や無料の投資情報、または、有料の投資情報で「損切りを推奨している」理由です。

また、権威ある者の主張をそのまま信じるのは、いささか盲目的です。権威者であっても間違えることはあります。どうして、自分で事実を確かめずに正しいといえるのですか。

3  損切りを肯定する主張からの再反論とそれに対する再々反論


(1)主張1からの再反論
主張1  損切りしなければ強制ロスカットにより多額の損失を被り、FX市場
    を退場しなければならなかった。

しかし、この再反論に対し、著者は次のように主張します。

(2)主張1からの再反論に対する再々反論

  建玉数(ポジションサイジング)を、特定の通貨における過去の最低・最高価格を考慮し、自己資金の額に応じた建玉をすれば損切りせずに済んだはずです。そもそも、適正なポジショニングを無視し、欲望に負けてポジションを持ちすぎたのが問題だったのではないですか。

イ  2015年のスイスフランショックでのEUR/CHF(ユーロ/スイスフラン)大暴落において、個人投資家が損切り注文を置いても、その注文は全く通りませんでした。そして、その後損切りポイントより約3800pips(※)もはるか下の価格でやっと注文が通り、結局は多額の損失を抱えてしまいました。つまり、損切りは、資金防衛手段としては、このような最も憂慮すべき事態において、全く機能しませんでした。

スイスフランショック- Wikipedia
※ザイ!FX(https://zai.diamond.jp/articles/ー/171137
(1) 【FX】ユーロ スイスフラン(EUR CHF) が大暴落したときの瞬間 - YouTube
(1) 【世界震撼】2015年の「スイスフランショック」が招いた未曾有の災厄【知ってるつもり】 - YouTube

また、このとき損切りが間にあったとしたら、「超頻度取引」HFT(High-Frequency Trading)という1秒間に1万回以上も注文を行えるコンピューターシステムを持っていた機関投資家等だけだったでしょう。そのようなシステムを持たない個人投資家の損切りスピードは、機関投資家等のそのシステムに全く太刀打ちできませんでした(個人投資家が損切り注文を一つ出すまで、いくら速くても4~5秒はかかります)。

高頻度取引 - Wikipedia 

※もし、このとき買いポジションを持っていても助かる方法があるとすれば、それは両建てによりヘッジしておくしかなかったでしょう。片建ての場合は、ポジション数が少なくそもそも強制ロスカットにかかることがなかったことをあげられます。もっとも、後者は結局損失が発生します。

 FXでは、損切りポイントで損切りできるとは限りません。急激に為替相場が変動した場合、店頭FX業者等の決済機能がダウンしロスカットが作動しないため、損失がさらに拡大するおそれがあります。この点については、実際に店頭FX業者が損切りポイントでロスカットを実行しなかったため訴訟になり敗訴した例があります。また、店頭FX業者はゼロカットシステムを採用していないため、口座がマイナス残高となった場合、追証が発生してしまう危険性もあります。

最も憂慮すべき事態において、損切りポイントで損切りできると思うのは、幻想にすぎません。

※ゼロカットシステム
口座のマイナス残高を0にし、追証を発生させない制度。とはいえ著者はこのシステムを利用している海外FX業者は絶対に使用しません。
なぜなら、ゼロカットシステムはFX業者のノミ行為がなければありえないシステムだからです。つまり、海外FX業者は、ノミ行為をしているということです。

4  著者の反論が指し示すもの

(1)手厳しい反論

 
手厳しい反論だったでしょうか。ここで著者が述べたかったのは、損切りほど無意味で不必要な行為はないということです。店頭FX業者等が世にまん延させたミスリード情報の最たるものが損切りであったため、多少厳しい反論をしました。

あなたはこれを機会に、本当に損切りが必要であったのか、過去の取引を見直してみてください。なお、損切りに代わる手法は、聖杯の箇所で記述することにします。
また、別の章で詳しく解説しますが、損切りは個人投資家にとって、聖杯から導かれる手法ですらありません。むしろ、有害無益な聖杯のまがいものです。しかし、このことは、裏を返せば、損切りは店頭FX業者等にとっての聖杯なのです。なぜなら、個人投資家の損切りを反対売買することにより、店頭FX業者等は利益を得られるからです。

(2)損切りしないことが聖杯というわけではありません

読者は、「損切りしないこと」が聖杯なのかと疑問に思うことでしょう。しかし、「損切りしないこと」は、聖杯ではありません。「損切りしないこと」は、FXの聖杯から導かれる「確率的優位性」のある手法の一つにすぎません。「確率的優位性」のある手法には、「損切りしないこと」「両建て」等があるということです。


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