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ぼくの神様は

0歳、僕の神様はお母さん。全て彼女の言う通りで全て彼女が正しい。綺麗で自慢のお母さん。タバコ臭くて家に帰らないお父さん。毎日寝たきりのお母さん。僕の神様は泣いていた。

6歳、やっぱり僕の神様はまだお母さん。綺麗で口うるさいお母さん。いつの日か家に帰ってこなくなってしまった僕の神様。

12歳、ついに神様が帰ってきた!でもボーイフレンドができてた。すごく嫌だった。またタバコの匂いがした。

16歳、神様が消えた。僕は僕の中に神様を作った。薬を飲んで眠った。学校は行かなかった。

18歳、初めて知らない血の神様を見つけた。ぼくはこれを親だと思った。もう誰も居なくならないで欲しいと思った。

19歳、全てがなくなってしまった。世界の彩度も空気の震えも肺に溜まる不快感も。感覚がないというのが正しいと僕は思う。神様の代わりを見つけようなんてそもそも馬鹿のすることなのかもしれない。

神様、また会えるかな。

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