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ジャーナルvol.4 「起業や産学官連携を考える」

「起業トレンドジャーナル」では、全国の起業家・支援者の方々から、起業に関するテーマでお話いただきます。
vol.4では、日本企業とカナダ企業でキャリアを積み、ご自身も起業経験をお持ちの会津大学の藤井さんから、「起業や産学官連携を考える」をテーマに寄稿いただきました。

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藤井靖史氏
会津大学 産学イノベーションセンター 客員准教授

1977年生まれ。日立電子サービス、アップルコンピュータ、Cellgraphicsを経て、仙台にて株式会社ピンポンプロダクションズを設立して代表取締役に就任。2012年にKLab株式会社とのM&Aを行い、イグジット。現在は会津大学産学イノベーションセンター客員准教授。またCODE for AIZUファウンダー、内閣官房情報通信技術総合戦略室オープンデータ伝道師、総務省地域情報化アドバイザーなども務める。

「起業や産学官連携を考える」

1.起業を立体で考えてみる

 物事を考えるときは立体で考えると良い。ここでは仮に、フレミングの法則のように3つに分けて考えることとする。電流、磁界、力。起業することをこの3つに分解してみる。
 電流。これは流れ。企業にとってキャッシュフローが大事だ。人間も食事をしなければ生きていけない。その事業が稼げるのかどうか。風が吹いているところに帆を立てる必要がある。
 磁界。まわりからの協力。家族をふくめてまわりは賛成してくれているのか。外部環境はどうなのか。いまはコロナ禍ではありますが、別の温度差も新たに生まれているかもしれない。
 力。そもそも自分がその分野で力を発揮したいのか。手っ取り早く稼げるから、まわりから薦められているからという理由でプロジェクトを進めていないだろうか。これら3つの確認がまずは必要となる。ベンチャー企業というのは前途多難だ。何回もリスクをとることになるだろう。そのリスクは自分で納得できる大きさになるべきである。

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図1 フレミングの法則に沿って関係を3つに分解する例


2.起業における手段としての産学官連携

 産学官連携はこのときの一つの手段である。
 流れ。世の中の流れを把握するとき、様々な方との対話が必要になる。産学官様々な方と話すことで流れを体に取り込むことができる。地域の中はもちろんのこと、オンラインで様々なイベントに参加できる昨今は、世界中の出来事にふれることができるようになった。
 相対関係。世の中の違和感は何だろうか。ダイバーシティ、作業的不公正、幸福度。世の中は少しずつ良くなっているが、やはり目の前には違和感があるのではないか。もしくは、すごく楽しいこと。偏愛できること。これらの各々のテーマは世界中の様々な方が研究されている領域である。
 力。起業当初は多くの場合に小さい力しかない。お金も人もリソースもたりない。目の前の流れに身を任せるしかない状況。しかしそんなときこそ半歩先をみて、俯瞰的に全体像を見られる瞬間が重要だ。そもそも自分がやりたかったことはこれなのか。テコの原理をいかして、小さな力でも大きく影響できることがあるのではないか。そんなときに頼りになるのが産学官連携だと感じている。

3.有機的に変化をするネットワークへ

 昨今はTeal組織とよばれるような、生命体のような有機的組織について語られる場面が多くなった。産学官連携は、従来のピラミッド型構造よりも有機的な組織の方が適している。流れ、相対関係、力のバランスが常に変化している世界の中で、組織は有機的に変化し続けて形をチューニングしていく必要があるからだ。
 産学官だけではなく、多くの人とネットワークをつくっていくことが大事になるだろう。従来の価値観との摩擦を恐れることなく(相対関係)、支えてくれる方々への感謝を忘れることなく(流れ)、この時代に自分の力を発揮する。その有機的なネットワークの入り口が産学官連携なのかもしれない。


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