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並んだプリン



「えっ、やだっ!」

冷蔵庫の一番上の段のプリンが、また一つ増えた。これで5個目だ。
またプリンを買ってきてしまった。

近頃、思わずプリンを買ってきてしまう。
思わずというか、どうしても。
プリンがあれば大丈夫な気がして、昨日買ったことを忘れてまた買ってしまうのだ。


きっともう、プリンを買うことはお守りみたいなもの。

今日も大丈夫なお守り。

あまく、なめらか。

そうして自分を甘やかしていないと、バランスが取れないの。
仕事がなんだか上手くいかないのも、久しぶりに会った彼氏がゲームばかりしているのも、それに文句が言えないのも、全部、私をずぶずぶと沈めていく。

すくわなきゃ。
このまま沈み続けて、窒息してしまう前に。
苦しさや辛さを埋めるために、自分で自分を甘やかす。

とろりと甘いプリンを買うと、少しだけ安心する。
あぁ、今日も私は癒される。


冷蔵庫の扉を開ける。
私はまた一つ、プリンを並べるーー


『カフェで読む物語』は、毎週土曜日更新です。
よかったら他のお話も読んでみてね!
次週もお楽しみに☕️


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