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kishibe
心、すれ違い
私はあなたしか欲しくないのに、あなたは私じゃ足りない。
そのことが今日はずいぶん分かった。
薄暗い個室、誰かのカラオケ、お酒とタバコ。
そういうものの中で、あなたは水を得た魚のように生き生きとする。
私はアルコールとタバコの匂いで頭が痛いし、気弱な笑顔を貼りつけてタンバリンを叩くので精一杯。
「寂しがり屋」
そういう言葉でよかったんだっけ。
こういう虚無をそんな風に言ってしまってよかったのかな。
触れられそうなほど隣にいても、あなたはいつも遠い。
退屈な夜だ。
そう、私はあなたしか欲しくないのに、あなたは私じゃ全然足りない。
そのことが、同じ気持ちじゃないことが、私は寂しくて悲しくて、「さようなら」と心の中でつぶやいた。
この夜が明けたら、もうさようならにしよう。私たち、これ以上一緒にいても何にもならない。
うつろな夜のあなたをもう見なくていいんだ、そう思うと心の底からホッとしたみたいだった。
さようなら、あなたを好きな私。
『カフェで読む物語』は、毎週金日更新です。
よかったら他のお話も読んでみてね!
次週もお楽しみに☕️
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