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羊水 【詩】


くぐもった声おしよせる波 やわらぐ衝撃
あたらしい
ひとの夢みるさみしい夢にて涙になれば
あたたかい
そうやって うまれなおしてゆくのでしょう

まばゆく、たちのぼり
押し戻されて、くだかれて、ほころび
この境を飛び越えていった人を思うと
むこうへゆくまでに何度おまえを思い出すのか

ただしいところへ生まれいづるために行きなさい
ほんものの馬に乗って 草花厭わず踏み潰し

薄氷を渡るさなかに
「生まれるまえのほうがきれいだった」
といわれる

氷の罅と一緒に頽れ ただ
帯を締めてたゆまぬように
言葉の燐光を抱きしめてはなさぬように
そうしていれば我々は

われわれ は

むこうへ引き摺り込まれることなく
血の海にいて

向かうたびなにかが歪む光明の中
際立って鮮やかに立ち続ける気高さを

たずさえることが


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