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ヴィジュアル系の中二病退廃美がアイドルに侵食されてしまう

欅坂46のニューシングルが「黒い羊」だと聞いて、どさくさに紛れて「メリー売れろ!」なんて言っていたのだけれど、実際聴いてみたらPIERROTのほうだった。

衣装とMVに金掛けられないならヴィジュアル系なんてやめちまえ

欅坂46は大森靖子さんが以前言っていた「地下アイドル的な要素や私たちがやっているようなことをメジャーな資金でやっている。あれをやられたら勝てない(意訳)」というのが言い得て妙で。アイドルって音楽は大事だけど、ビジュアル的な魅せ方を含めた総合芸術だと思っているから。DIYな地下アイドルも魅力的ではあるけど、なんだかんだ完成度の高いもののほうが多くの人を惹きつけやすいというのも現実。乱暴な言い方をすれば、スキル不足だって、“見せ方=お金の掛け方”でカバーできちゃうよね。

ヴィジュアル系バンドも方法は違えど、アイドルと同じ総合芸術だと思ってる。

「衣装とMVに金掛けられないならヴィジュアル系なんてやめちまえ!」というのは私の持論。音源作るのに、機材費とか有名エンジニアとか、マスタリングとか……バンドとして音にこだわる部分は多々あれど、ヴィジュアル系やるなら優先順位として金掛けるべきところはそこじゃないだろって話。音が悪くとも、カッコいい音楽はカッコいいんだ。

中二病退廃美学がアイドルに奪われてしまう

昨年末にリアルサウンドでこんな座談会に参加したのだけれど。

藤谷さんもいらっしゃるし、最近の情勢などは若いライター陣にお任せして、私は老害ポジション

インディペンデントのアイドルシーンは今いちばんいろんな音楽ジャンルが集まっている場所ですね。「同じ音楽をやるならバンドがやるよりアイドルがやったほうが面白いのでは?」と考える人たちが、演る側にも聴く側にもたくさん集まっていて、アイドルというフォーマットを使った音楽表現の可能性をみんなで探っている。じゃあ、ヴィジュアル系というフォーマットは? と考えたとき、今面白い音楽をやろうと思ったらヴィジュアル系である必要はないのかもしれない。

なんてことをいけしゃあしゃあと言ってるけど、“隣の芝生”的な引き合いとしてアイドルを出しているわけで、アイドルシーンもブームを彩ってきたグループの解散、活動休止など暗いニュースが多かったり、ピークは過ぎた感はある。ただ、“量より質”が上がってきたとでもいうか、中途半端なことやってるとすぐに淘汰されてしまうところもあるので、むしろ活性化しており、閉塞感みたいなものはない。

実際、音楽マニアな人たちが頼んでもいないのに、丁寧に詳細にアイドル楽曲をブログやらTwitterやらで絶賛しているのは、音楽ファンであれば普段から目にしている光景だと思う。ああいう熱量がちょっとヴィジュアル系に足りない気がするんだ。演者もリスナーも。

このままだと、中二病も退廃美学もアイドルに奪われちゃうぞ。

イキってこそロックスター

先述のリアルサウンド座談会でも話題に出してるんだけど、ここ最近のthe GazettEいいよねって話。「オレら最高っ!」という無敵感。ライブ演出もMVもアートワークも、思いっきり金掛けてるし。サウンドもゴージャス。

昔はXしかりLUNA SEA観て、バンドはじめたんだよ。今はどうだ?

自分のことは棚に上げて、アイドルのライブ行くとね、「キミたち、ロックバンドのライブ行けよ!ヴィジュアル系聴けよ!」みたいな青少年をよく見かけるんだ。

映画『ボヘンミアン・ラプソディー』が流行っているけど、あれを観て何を感じたか。人それぞれあると思うけど、自分は「ロックスターってクソだな!最高っ!」と思った。地位も名誉も金も手に入れて、毎日パーティーしたいんだよ。

イキってこそロックスター。イキってこそヴィジュアル系。バンギャもギャ男もイキってナンボだろ。おまえらがイキらないなら代わりにおれがイキってやんよ。



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