絵事常々 -積もるエスキース-
寒くなってまいりました。
年の瀬、みなさまいかがお過ごしでしょう。
師走に入ると「今年描いた絵が何枚だったか」を考えがちです。
今年はちと少なかったですが、なんでか降ってわいてきた、
月が落ちる光景に気持ちの収まりがついたので良かったです。
もう少し大きな横画面の荒涼としたタイプも描きたいけれど。
さて、本画制作はもう店じまいで今取り組んでいるテーマはこちら。
「群盲評象」
群盲、象を評するというものです。
お題頂くまでちゃんと知らなかったのですが、ほほぉ~となるインド発祥の寓話。
それから今回は小品のため、大型制作とは違った頭でとりかかろうと思っています。
まずは「群盲評象」についてムフムフ調べ、
それについて描かれている類例を集め、
象と盲人とそれぞれの資料を集め、
描きたい「小品」のイメージをつくるために版画や木彫刻の画像を手あたり次第眺め…最後はエジプト壁画までたどり着きましたね。
いや、こういう類例集めがただただ好きなだけです。
でも紙版画の技法もろもろやアフリカ木彫刻のデザインなど、
今後の制作で頭の片隅に置いておきたいものがたくさん見つけられました。
こういう新大陸発見みたいな歓びがあるので
お題や質問頂いた時には極力手を広げて採取します。
さて、あまりそちらに熱をあげていると絵が描けませんので、
だいたい資料集めは休みの日の半日くらいにしておきます。
あとは都度都度。
集めた資料画像を見ながら軽く形をとっていきます。
盲人は後回しにして、メインのゾウさんに手を慣らすイメージです。
真似たり、細部を写真で確認したり、自分のスケッチと見比べていると
描いた人が実際のゾウからどんなデフォルメをしているかよくわかります。
群盲評象の類例だけでは少ないので
象の絵画作品や、あとは動物画からも大まかな構図をもらいます。
最後の方はもう四つ足だったら参考にする気持ち。
デフォルメ参考としては浮世絵のゾウや、
ゾウもそんなに類例ないので江戸期の獅子などからとると面白い。
竹内栖鳳や山口華楊の虎なども良い参考になります。
若冲はとても好きなんですが、今回の目的には突飛すぎて
「あなたはだめです」
という気持ちになりました(笑)
飛びすぎていて参考にできない。
手慣らししながら「好きだな」「いいな」という形がなんとなく出そろったところでエスキースに入っていきます。
立て画面の俯瞰型は、従来の群盲評象には見当たらず「いいな」と思っていました。
軽く形をとったもの、このエスキース含め、「いいな」と思ったものに星印をつけときます。
次に、置いてきぼりにしていた「盲人」たちを入れ込む。
ここからやや丁寧モード。
実際のサイズの縮小フレームを作って、その中にきちんと入れていく。
でろっとしたのに落ち着こうとしていたのですが、
先週の通勤電車でふと思う。
「部屋に飾るのに『でろり』はいかがなものか」
インパクトあって浮世絵チックだと最初は面白いと思うのですが、
たぶん飽きる。
そして自室に飾るにあたり、
「でろっとしたゾウさんが盲人に囲まれている絵」は恐らく好ましくない。
よっぽど上手く雰囲気が出ていなければ私は遠慮である。
ということで、工芸気分の強い落ち着いたものにしようと思ってます。
それで今日決めたのがこちら。
他にも気になるゾウさんはいますが、今回の絵はこちらを落とし所とします。
色のイメージもおおよそついているので大丈夫そう。
後はもう少し細部を詰めていきます。
A3より一回り大きいくらいのサイズになるので、今のアウトラインではたぶんチープになるでしょう。
原寸サイズで白描作るのが楽しみです。
この4コマに細部の描き込みイメージと配色を軽くとったところで
今日はおしまいです。
どうなりますかねー。
そして積もっていくエスキースやメモしたことが
私は捨てられないんですね。
それなりに整理はしますが、まぁ捨てない。
積もる積もるエスキース。
白描が出来上がるまでまだ増えそうです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。
それではまた次回の投稿で。
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