社寺検分のすゝめ -本願寺 唐門①-
唐突に、
ついに行ってきました「本願寺唐門」。
大見出しにしたのはずっと「行こう、行こう」と思っていたからです。
そしてタイトルに①がつくのは、1回の投稿ではまとまらないからです。
2018年6月から3年4か月をかけて、2021年9月に竣工。
できたてホヤホヤを見に行こうと思いながら生来の出無精。
自宅から1時間もかからない場所へ訪れないまま2023年5月。
ちょうど前職をやめた頃、以前勤めていた会社もこの工事に入りました。
よってそこまで工事の内情は知りませんが
前回の修理が昭和、40年経っての今回の修理。
しかも彫刻・彩色ともに贅を尽くした「日暮門」ならば、
私的資料として色々ムフムフできるであろうことはわかりきっている。
また、元業界人的には
40年前も今回も同じ修復会社さんが携わる彩色で、
いわば
前回の資料が完全に活かしきれる中で
現代の修理方針がどうだったのであろうか!
という、
もう誰と話して良いかわからない状態の興奮。
(ちなみに前職の人ともあまり話せない個人的ムフムフです)
興奮のあまり前置きで500文字いってしまいました。
気を取り直し、今回の検分開始です。
来る4月29日、本願寺さんへ検分に赴く。
前夜からカメラの充電はバッチリ。
夜に人と会う約束があり、アトリエにいては出られなくなる気がしたため、朝から社寺検分を組み込むという完ぺきな企てである。
しかも午後から雨天ということはそれまで曇り。
絶好の社寺検分日和です。
阪急大宮駅からたらたら南に下がる。
堀川通に面したところ、本願寺さんのお目見えです。
すでに門からして立派なわけで
「ここで力尽きてはならぬ…!」と自制しつつも金具や彫刻を撮る。
と、門で案内に携わる恐らく門徒さんからかけられた言葉が
「良い写真たくさん撮ってくださいね!」
これには私、慄きました。
「すごいな、本願寺…」と。
社寺検分、特に一人の場合、
カメラにやや警戒の目を向けられることがあるのですが
勧められたのはたぶん初めてである。
「ここからは撮らないで」はあっても
まさか門前から「どうぞ中もたっぷり撮っていってね!」など…
逆に背筋のびましたね。
それからもう1つ想定外のこと。
大賑わい。
正直、GWといえど総本山であろうと、そこそこの賑わいだと思っていた。
なぜなら唐門以外に総活彩色の彫刻があるわけでなし、
賑わいでいくなら北野天満宮とかだろう…と(重ねて失礼)
どうも前提が間違っていたようで
人は彩色彫刻を目当てに社寺にいくわけではない。
そして賑わいの理由はこちらです。
親鸞さん、生誕850年。
それは賑わう、むしろ賑わう。
世界の著名人や有識者を招いてのシンポジウムにコンサート。
無料休憩所には無料のお茶サーバー(4種のお茶の温冷装備)。
なにはともあれ唐門、唐門…と
はやる気持ちのそのままに向かいます。
そして現れる唐門。
ちなみに、この画像では人がいないように見えますが
大わらわ。
さすが桃山気分・京都三大唐門の1つ、
日が暮れるまで見惚れてしまう『日暮門』である。
もう立ち寄る人が皆、順々に撮影するような状況。
しかし私は動じない。
なにぶん、社寺検分ビギナーではない。
そして私以上にしつこくここに粘る御仁はそういない。
なにせ唐門は逃げないのです。
ゆったりと構え、遠くからでも獲れる細部を順序良く狩っていく。
屋根から順に部材を追っていき、人の切れ間に全体を採取。
人と重なる長押以下は、チャンス到来まで待機。
待機中はもちろん所見をノートに記入です。
我ながら実に無駄のない動きであることよ!
と、頭の片隅で思いながら
他の方の邪魔にならないよう(あと怪しまれないよう)
紳士的態度で撮影を続けます。
結局この検分では、
こちらの唐門と飛雲閣の鐘楼と、あとざっくり撮らせて頂きまして。
「500枚くらいかなぁ」と思ったら
800枚撮っていました。
フィルムじゃないと、こうも人は強欲になれるものです。
さて、そんな業の深い800枚全てをご紹介するわけにはいかないので
次回よりテーマごとにピックアップしてお送りしたいと思います。
乞うご期待!
おまけ
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