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【山歩き記録 第65歩】蔵王山 鳥兜山~刈田岳(2022年9月12日)【雲の上の充実縦走】

天気と予定の巡りあわせが悪かった夏。それならばと、東北まで視野を広げて機会をうかがっていました。

蔵王山は、南北に連なるピークの総称で、複数のロープウェイやリフトがあることから、個々に合った縦走路を計画することができます。今回は、蔵王温泉に前泊し、蔵王中央ロープウェイで行ける鳥兜山を起点に、主峰である熊野岳を越えて、刈田岳まで歩いてきました。

コース概要

地理院地図に書き込み

蔵王中央ロープウェイの鳥兜駅をスタート。近くの鳥兜山を踏み、五郎岳、片貝沼をめぐる。ゲレンデを登り蔵王ロープウェイの地蔵山頂駅へ。三宝荒神山を周り、地蔵山、熊野岳を越え、御釜が見える馬の背を通って刈田岳へ。刈田リフトを使い、かみのやま温泉駅へのシャトルバスが出る刈田駐車場に下りる。

ちなみに、書いていて気づいたのですが、地形図だと地蔵「岳」で、他の地図やガイドだと地蔵「山」表記のようです。

記録

8時40分、蔵王中央ロープウェイに乗車。広いゴンドラは101人乗りとのことですが、なんと乗客一人。こんな贅沢いいんですかね。

鳥兜駅から鳥兜山までは数十段の階段を登るだけ。

鳥兜山山頂

これから行く山も見えます。左奥に見えるロープウェイ駅が蔵王ロープウェイなので、その右側が地蔵山、左側が三宝荒神山、そこに至る草原がパラダイスゲレンデ。

鳥兜山山頂から

鳥兜駅の周りは大小いろんな道が入り組んでいるので、迷わないよう、なるべくシンプルな道を選びました。車道に出たら左に曲がりしばらく車道沿いに歩きます。

紅葉峠の車道

五郎岳の案内に従って登山道に入ります。

五郎岳へ

五郎岳までは、草木生い茂る狭い道を登ります。クモの糸を何本も切って進むと、五郎岳山頂です。

五郎岳山頂から三宝荒神山
五郎岳山頂から鳥兜山

ここからうつぼ沼の脇を通って片貝沼に向かいます。うつぼ沼は湿原で、池ではありませんでした。

うつぼ沼

片貝沼は大きな池が木々の間に見えたのですが、近づける場所ないかなーと歩いていたら通り過ぎてしまっていました…。よって写真なし。片貝沼の先に、けっこうきれいなトイレがあります。

片貝沼付近のトイレ
ありがたい現地の地図

さて、この地図の通り、片貝沼からザンゲ坂に至るには、ゲレンデを直登する道と迂回する道の2通りがあります。最初、ここで余計な体力を使う必要はないと迂回路を踏み出したのですが、いやいやせっかくゲレンデを逆走できるチャンスなのだから経験しなくてはと、直登に切り替えました。ちょっと雲が増えてきて心配に。

パラダイスゲレンデ

最初林に入るので、直登とは…?となりましたが、ゲレンデに戻ってきて直登するようになります。まあまあ急ですが、富士山ほどではないかなぁ。本当に急な斜面には、きちんと巻くような道が用意されています。

パラダイスゲレンデから振り返って

ゲレンデを登り切ったら、ザンゲ坂が始まります。「ザンゲ○○」は懺悔したくなるほどキツイということが多いですが、ここはゲレンデと同じぐらい、さらに巻き道もあるので、それほど心配しなくて大丈夫かと。

ザンゲ坂

ザンゲ坂を登り切ると、蔵王ロープウェイの地蔵山頂駅です。トイレもレストランも自販機もあって重宝します。ここからまずは三宝荒神山に登ります。

三宝荒神山へ

道中、重そうな丸太を運んでいる方々がいました。道の整備に使うのでしょう。お疲れ様です。三宝荒神山へは10分弱。ベンチが一つありました。一応ここで記念撮影。11時15分です。これから向かう地蔵山と熊野岳が見えます。一方振り返ると雲がすぐそこに…。

三宝荒神山山頂から北
三宝荒神山山頂から南は厚い雲

鞍部に戻り、駅のトイレをお借りしたら、地蔵山に向かいます。ゆるやかな階段を登り切ったところが地蔵山です。広くて360度遮るもののない、素晴らしい山頂です。

地蔵山頂から熊野岳
地蔵山頂から市街地方面

地蔵山からは素晴らしく快適な縦走路です。左右に雲海を従えてそびえる熊野岳が、いかにもThe・王という感じでした。

地蔵山→熊野岳
鞍部から地蔵山を振り返る

熊野岳へも、直登ルートと迂回ルートがあります。事前情報で直登は大変と得ていたので、ここは迂回ルートを選びました。

「近道↑」が直登ルート。○で道を教えてくれています

迂回路を上がり切ると、避難小屋に着きます。雲海がすごい。

熊野岳避難小屋。意外と小さかった。右下に御釜がチラ見
避難小屋から熊野岳へ

13時、蔵王連峰最高峰の熊野岳山頂。熊野岳の山頂は、めちゃくちゃ広すぎて、中央に神社の建物もあるので、360度一望というわけにはいきませんが、それでもとても気持ちの良い場所です。

熊野岳山頂から地蔵山
熊野岳の神社
熊野岳から刈田岳方面

ここから最後のピークである刈田岳へ向かいます。熊野岳から下りたところで一気に雲がやってきました。枯れ木のようなのがいっぱい突き刺さってるなーと思っていたのは、こういう霧でも迷わないための目印だったのですね。

熊野岳→刈田岳の道
少し晴れた隙の御釜撮影

刈田岳に近づくにつれて雲は切れていきました。刈田岳は、リフトや駐車場からすぐに登れるということで、けっこうにぎわっていました。頂上には伊達宗高公の碑があり、それには、刈田岳の噴火に際して宗高公はここで「命願」を行い噴火を沈めた。古来「命願」を行った者は3年以内に亡くなるとされ、宗高公もその通り二十歳で亡くなってしまった。といったことが書かれていました。

刈田嶺神社
伊達宗高公の碑

刈田岳山頂近くのレストハウスには売店やレストランがありまして、そこでアイスを食べ、出てきたときには、御釜の周辺がだいぶ晴れていました。

御釜の背後はこうなっていたのか

15時、刈田リフトに乗って刈田駐車場に下り、終了です。歩いて下りることもできるようなのですが、これから乗るシャトルバスが無料とのことで、せめてここでお金を落としつつ自分も楽しようと思って利用しました。一人乗りでレバーもないので少し怖かったですが、地面からの高さがないので大丈夫です。

刈田リフト

ということで、林間や草原や火山礫や舗装路といった、様々な景色が楽しめる充実した縦走でした。

各種情報

コースタイム:4時間20分

標高:1345m(片貝沼周辺)~1840m(熊野岳)

展望:パラダイスゲレンデ以降はさえぎる木々がほとんどなく常に好展望

トイレ:鳥兜駅、片貝沼、地蔵山頂駅、刈田岳山頂レストハウス

危険個所:なし

アクセス:山形駅~蔵王温泉の山交バスはおよそ一時間に一本。

蔵王温泉からは複数のロープウェイがあり、蔵王中央ロープウェイと蔵王ロープウェイは別物で、運営会社も違うため相互案内もないので注意。

かみのやま温泉駅~刈田駐車場は、蔵王ライザのシャトルバスが1日2往復無料。検索結果によっては土日だけ運行と出てきますが、この時期は毎日運航しています。下記ページのグリーンエコー号の案内を参照。また、「刈田駐車場」と、刈田岳に最も近い「蔵王山頂駐車場」とは別物なので注意。

周辺情報:今回は蔵王温泉に前泊して刈田駐車場まで歩きましたが、蔵王温泉に下りてくるなら、旅館の日帰り温泉以外に、3つの共同浴場があります。共同浴場と入り方の紹介は、例えば以下のページをご覧ください。

なお、かみのやま温泉駅周辺もいい温泉がないかなーと思いましたが、僕の調査では駅のそばに手ごろな温泉を見つけられませんでした。温泉街から駅まで少し距離があるようです。

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