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子供と音楽

うちの上の子供3人は『幼児生活団』というところに通っていました。

幼児生活団というのは、羽仁もと子(1873年〜1957年日本初の女性ジャーナリスト、『婦人之友』創刊、『自由学園』創立)によって始められた幼児教育の場です。

「よく教育するとはよく生活させることである」という考えが基盤にあります。

そこでは歌や合奏などの音楽の時間もたくさんあり、5歳児からはソルフェージュとピアノ(個人レッスン)もありました。

音楽に対する考え方も「よい耳を育てる」ことを目的としています。

「著作集 家庭教育篇」の中の「人間教育と才能教育」にはこのように書かれています。

「音を聴き分けて興味を見だし得るようになった幼児に、ピアノを利用して絶対音を分からせてやるのは、才能を伸ばすためでなく、よい耳を作ってやるためです。それによって波の音にも虫の音にも、正しい理解と深い感興を感じ得るように。(〜中略〜)人間の耳や目やこの心がそれを見わけ聞きわけ感じ続けて味わうことができるときに、はじめてそれがわかります。どこまでもどこまでも深く遠く味わわれてゆきます。そうなってくると、どうしてこの天地万物を愛さずにいることができましょう。何と大きく立体的に生きているこの天地万物でしょう。何と互いに有機的相関的に生きているすべてのものでしょう。」

「よい耳をつくる」その先の広がりを意識して音楽の時間がもたれていたのです。

鳴いている鳥の声、自動車や飛行機の音、足音、水の流れる音、雨の音、どれも一辺倒ではなく、その時の様子や種類によって音に差が出てきます。(何だか幸せ創造劇場でやっているワークとつながってきたぞ。)


才能教育ではなく、

音を楽しんだり、自分を表現する手段としたり、友達との意思疎通の手段になったり、果てには世界を感じる音楽を味わってきた3人の子供たちは、

その後小学生になり金管クラブへと入会しました。

小学1年生から楽器を持たせてくれるありがたい場です。

長男が入り、次男が入ると、家でふたりで手を叩いたり歌ったりして1人何役もこなして合奏が始まりました。

それまでは喧嘩ばかりしていたふたりが楽しそうに息も合って歌っている姿を見て、音楽の素晴らしさを感じました。

しばらくして、次男が練習する場面を見る機会がありました。

すると次男だけノリノリで自分のパートが休みの時も身体でリズムを刻んでいました。

またある時、長女を見るとこちらもノリノリでタンバリンを楽しそうに鳴らしていました。

笑顔で演奏することは、楽器に集中しすぎてしまったり、緊張したりしてなかなか難しいものです。

みんなとひとつの音楽を創り上げていることの楽しさ、喜びを身体全体で表現している様子を見て、「ああ、生活団の音楽がここに活きているのだなぁ」と感じました。


さて、この生活団。以前通っていた横浜の生活団は無くなってしまいました。

今は「友の会ふたば組」として月1回(コロナ禍の為午前中のみ)の集まりがあるのみです。

我が家は末っ子の次女がここの5歳組に通っています。

生活団・ふたば組では羽仁もと子の著作集を読んで、保護者と指導者(先生)の意識の向く方向を同じにして子供達と接するようにしています。

今日はそこで前述した「人間教育と才能教育」を読みました。

上の子供達のようにたくさんの時間はできないけれど、次女もエッセンスだけ、少しでも「よい耳」から世界へつながる音楽を伝えられる機会がること、一緒に味わえることを嬉しく思います。

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