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「大切なもの」

その先の向こうは
明るいのだろうか


移り行く季節とともに
心と身体も変化を告げる

予期せぬとも
予め知っていたとも
受け止められる
北風の訪問は
人々の忙しない
足音をよそに
容赦ない

「短調だ」「変化がない」
などと砂漠を歩くロバに嘆いていた
若かりし頃の自分を
あざ笑うかのように
時は一刻も休まず
1日の色合いは
様々だ

思うようにいかない1日と
トントントンと駆け上がる
1日と

大切なものは
ありふれた日常の1ページに
さりげなく水仙が咲いているようなもので
それは
ある朝の食卓の一場面
夕暮れどきの散歩道
暖炉のそばで寛ぐ三毛猫

なんでもないような
一過性のような
たんぽぽの綿毛のように
ふわりと浮遊して
いつの間にか見失う

そうして
ただ静かに
微笑んでいる

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