幸せの遣い

あなたが不自由だと思ったら
そこから目を背けて
やせ細った暗闇の道を生きるだろう

あなたが自由だと思ったら
ここから羽を広げて
果てしない空を駆けめぐるだろう

自由だと感じる肌感覚は
人それぞれだ

分岐点であなたのもとへ舞い降りる
幸福の遣いは
思いがけない姿で現れる

ずっしりと重たい哲学書を持って
あなたの心の扉を叩いたのは
都会の喧騒から離れた山奥で
静かに暮らしている
ひとりの老人だった

「あなたは不自由ではないのですか?」

ぶしつけな質問に老人は

「このおかげで幸せの核心に気づけたのじゃ。
健康でなんの不自由のない暮らしの中じゃ
わしは煩悩の濁水に溺れて変わらんかった。」

老人の心から幸せそうな笑顔に触れて
涙が零れた

時に思いがけないタイミングで
触れ合う人たち

それは、偶然の風に乗って
訪れた幸せの遣いの
粋な計らいだった と
そうに違いない
たしかにそうだ!と
希望から確信に変わった瞬間であった

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