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化粧品の薬機法と広告表現について【オタク的マーケティング】

フィギュアスケート界はまだまだPR投稿って全然盛んではないのですが、他界隈で推し活をやっていると、推しのPR投稿などを目にすることもあるのではないでしょうか。今回のオタク的マーケティングのテーマは、そんなPR投稿と「薬機法」に関するお話です。

先日インスタグラムで、とあるスポーツアロマのメーカーさんを知りました。私自身アロマは(詳しくないけど)大好きです。

そしてホームページを見ていて「そういえば薬機法って大変よね」「このメーカーさんはちゃんとしてるなぁ」という感想を抱いたので、この機会に少し『薬機法』について触れたりなどしようかなと思います。

『薬機法』とは…?

正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」という法律です。「医薬品医療機器等法」と略されることもあります。

この法律は名前の通り、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品(以下「医薬品等」)の品質と有効性及び安全性を確保するために、製造、表示、販売、流通、広告などについて細かく定めたものであり、医薬品等を製造、販売、広告する際には、必ずかかわってくるのが法律なのです。

https://www.89ji.com/law/6/

日本には化粧品と医薬品やそれに準ずるものを明確に分ける法律が存在しています。例えば化粧品を使って医薬品と似た実感が得られたとしても、医学的に証明して正規の手続きを踏んでいない以上、医薬品にのみ許された表現を使って商品を販売することは禁じられています。

だから化粧品メーカーは法律の範囲内で如何にして商品の魅力を、その商品を必要としている人に伝えるのか日々工夫を凝らしています。その一つが「薬機法の範囲内での表現」の順守です。

一方で薬機法を守るよりも売ることの方が大切!とその表現を無視するメーカーがあるのもまた事実。そして薬機法による広告規制は製造者のみではなく、広告を請け負ったアフィリエイターなども含まれます。なので例えばSNSなどでPR案件を受ける際にも、「言われた通り宣伝しただけなのに法律違反になるなんて…」という事態にもちょこっと注意が必要です。(実例はそんなに多くないのですが、やっぱり最初から関わりを回避できたらそれが一番ですよね)

反対に、しっかりその対策をしていることが見て取れるメーカーは取引先として安心できるし、とてもしっかりした企業だなとカスタマーとしても信頼を寄せることができると思っています。

薬機法内での表現の工夫の例

では、その「薬機法の範囲内での表現」にはどのようなものがあるのでしょうか。そのメーカーさんのページに記載してあった実例を挙げて解説します。

1)※角層まで
まず商品説明の中に「※角層まで」という言葉があります。これはなぜわざわざ書いてあるのか?というと「浸透」という言葉の意味が化粧品の謳っていい範囲を超えていないことを明確に示すためです。(医薬部外品は真皮までの浸透を言及してOK)

化粧水などの広告では、よく「浸透」という言葉が使われています。薬事法では、化粧品に配合された成分が浸透するのは角質層までと定められています。

https://netshop.impress.co.jp/node/2770

2)マッサージによる
次に、何度も「マッサージによる」という言葉が出てきます。そもそも化粧品には「血行促進」「むくみ解消」などの効果を謳うことは許可されていません。しかしマッサージ自体には「血行促進」「むくみ解消」という効果が実際にあるので、それをサポートする商品は一緒に明記することで広告表現が可能になるのです。

お客さまご自身によるハンドマッサージを介することで、本来標ぼうできない効果に言及する方法があります。
 例えば、「血行促進、むくみ解消、肌の疲れをほぐす」…などの効果です。

https://www.bci.co.jp/netkeizai/serial/429

3)★その他:美白表現

今回のメーカーさんではありませんが薬機法表現としてわかりやすいところに「美白」があります。一般化粧品で認められた美白表現は「メーキャップ効果による美白」だけです。例えば化粧下地やファンデーションであれば「※メーキャップ効果による」と但し書きをつけることで「美白」の宣伝をすることができます。

そのため「クリームを塗り続けたり、化粧水を使い続けるだけで自然とノーメイク状態の肌が白くなる」という表現が許されている「化粧品」はこの世の中には存在しません。それは「薬用化粧品」か「医薬部外品」です。

しかもその薬用化粧品も認められているのはあくまで予防で、既にできてしまったシミを消す表現はNGです。

薬用化粧品といえどもこれまでにできてしまったしみを消す表現は認められていません。このため、これからのしみ・そばかすを防ぐ表現の中で、「美白」効果を謳っていくことになります。
なお、「美白」の表現自体は、次のように、承認を受けた効能効果(例えば、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」)を明示した「説明表現」を併記すれば認められます。

https://biyou-houmu.com/koukoku/cosmetics-bihaku

薬機法を守る=無意味なアイテムではない

こうやって薬機法を守っていると、とたんにそのアイテムが無意味なもののように思えてきます。そもそも化粧品に効く、効かないという言葉は使ってはいけないのですが、じゃあ「マッサージによる」とつけているという事はそのオイルは水と同じなのか…というとそうではありません。あくまで広告表現が規制されているからそれに従っているというだけで各々の実感とは切り離して考えるべきだと思っています。

医薬品等の申請には膨大な時間とお金がかかります。設備も必要ですし、制限もあります。世の中の実感があるものすべてが医薬品等で使える表現を求めて申請を出したら、商品化まですごく時間がかかったり、手の届かない金額の商品ばかりになってしまいます。勿論医薬品とは全く別ですが、実感はあってもあえて追及・証明しに行かないことで化粧品は存続している部分もあります。

「薬機法課徴金制度」の導入

話は法律のことに戻りまして、2021年8月(半年くらい前ですね)に「薬機法課徴金制度」というものが試行されました。

機法の課徴金制度とは?
薬機法第66条に定められた、虚偽・誇大広告などの規制に違反し、不当な利益を得た企業に対して、その収益を取り上げる制度です。

https://www.yakujihou.com/knowledge/yakkihou-kachokin/#kacho

要するに違反すると罰金を課されるのですが、メディアや広告代理店、制作会社のほか、アフィリエイター・インフルエンサー・ライターも規制対象です。会社側からの薬機法違反の広告文言による宣伝の要求は拒否しなけなければいけないし、うっかり自分が違反してしまわない注意も必要です。

SNS広告だと、その文言はなるべくインフルエンサー側に書いてもらいたいと企業側も思います。なのである程度しっかりした企業は依頼時にNG表現の一覧を提出しますし、薬機法や景表法違反のチェックも行ってGoサインを出します。

SNS広告のNG案件の回避方法

これですべて回避できるよ!というわけではないのですが、ちょっとでも回避するために下記のようなヒントはあるかなと思っています。

  • 明らかに薬機法違反してそうな怪しげな会社には近づかない
    https://infinity-agent.co.jp/lab/pharmaceutica-and-medica-device-act/
    ⇒「NG表現の例を紹介します。」の箇所に載っている表現のチェック

  • 化粧品系より、雑貨系の方がリスクは少ない(景表法は罰則対象が広告主で投稿者ではない)

  • なるべくホームページ上で薬機法対策をしている企業を選ぶ(先ほどの表現の工夫など)

  • 最初にオリエンシート(NG表現の一覧)をもらってよく読む

  • 広告主側で薬機法・景表法の投稿前チェックをしてもらえるか確認してから受ける

  • しっかりした繋がりの紹介の企業からの案件を受ける

これらをチェックすることで、ある程度やばい会社は回避できるかなと…。

まとめ

正直、SNS投稿を見てて「これって薬機法OKかなぁ…」と微妙になる表現を見かけることがあります。特にストーリーは短時間で消えやすい・消しやすいので過激表現をOKとしてるグレーな企業も多いのかな、とか。
アスリートの方がそのコンテンツパワーを使って活動費に充てることは私はすごく賛成でどんどん広まっていってほしいのです。と同時に、厄介なことには巻き込まれて欲しくない。

社会人経験のない年若いアスリートさんからしたら、こんな「薬機法とか課徴金制度とか言われても正直分からないよ…(´・ω・`)」ですよね。でもこれを読んで「怖いからやっぱり手を出すのやめとこう」とも思ってほしくなくて…。(全部ちゃんとした会社ならもっとガンガンお勧めできるのに、グレーな会社がまぎれてるせいでーーーー!)
本音としてはそんなアスリートさんを守ってあげられる代理店とか起業できたらいいのになぁと思ってしまいます。(といいつつ私にそんな行動力はなく…)

ただそういう「薬機法」というものが存在していて、SNS投稿はちょこっと注意が必要だよ、という事を知っておくことで回避できることもあると思っています。どうか今後法律を遵守する会社が増え、SNS投稿がもっとアスリートさんの活動の幅を広げる有用な手段となっていきますようにと願うばかりです。

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