マガジンのカバー画像

企画もの

17
今まで参加させて頂いた企画の作品です
運営しているクリエイター

#忘れられない恋物語

想いは溶けない/#炭酸刺繍

あの日泡に溶けて消えた観覧車 君が呟いた見えないことば ふわり浮いたからだ今も忘れずに やわらかくも強い力振り切って ありもしない嘘をついて逃げてきた 私のことは忘れて欲しいなんてね 何も言わず消えてしまえば良かった 私のせいで見えなくなった二人の未来 君はあの子の愛した人で友達 あの日飲んだ最後のメロンソーダ あの氷がゆっくり動いた音を 最後の合図として風に飛ばすよ ひとつ残る夢のかけら胸に詰め そして心にしまって生きる かつて泡に溶けて消えた観覧車 君のくれた

色づいていく想いと朝焼けと(詩)

特別なんだって言ってみた 君はなんて反応するかな、なんて こっそり思っている深夜2時 不思議な夢を見たんだよ 広い道路二つに分かれてさ、 片方明るい道に繋がってて 君を選んだ、そのことで突然に 未来が開けたような気がしたんだよ 行き先決めた、そのことで偶然に 扉が開けたんだと気付いたんだよ いつだったかな、君に話した古い恋 あの人に言いたかった優しい言葉 取っておくのやめて新しいの作るよ これからはずっとみんな君のために この想いが届くように おはようよねちゃんさん

貸し出し中?いえいえ、予約中です。(小説)

中学の卒業式の日。進学をきっかけに好きな人と離れることになり、私は告白をしようとした。けど待ち伏せた場所に彼は来なかった。公園でベンチに座って俯いていると、ランドセルを背負った男の子が目の前に立った。 「みーちゃん大丈夫?お兄ちゃんが何かした?」 「ゆうくん」 思わず私は苦笑する。 「かなとに会えなかった」 「うちに来ればいいじゃん」 「それじゃ意味がないっていうか」 「何それ」 ゆうくんはかなとの弟だ。そして私がかなとのことを好きだということをいち早く見抜いた。バレ

「夜の雫」+「夜に残る」(連作詩)

以前掲載した詩と関連しているので二つとも載せます。今回の「夜の雫」は編集前のオリジナル版です。新しく出す作品は下の「夜に残る」の方です。ちなみに「夜の雫」は女性視点で、「夜に残る」は男性視点となっています。よろしくお願いします。 編集版はこちらです。 「夜の雫」夕日が差し込む教室 またあなたはうつむくの 私の発した何のとりとめもない言葉から 驚くほど鮮やかな色を見せたりするの 青空を背景に快活に笑う君が好きだったと どうしてもう過去形の告白をしたりするの 私が見ていた景

移り変わっていく季節の中でその名前を呼べたのなら(小説)

何でも君のいうことを一つだけ叶えてあげるよ、 ある日気まぐれな彼はそう言った。 唐突なお願い事をするときには彼は大抵私を見ていない。窓の外で降り積もる落ち葉を見ながら、歌でも歌うように彼は呟いた。今は秋の終わり。それに呼応するかのように、付き合い始めてしばらく優しかった彼がなんとなく冷たくなってきたような気がしていた頃のことだった。 「この前のデートをドタキャンしたことへの償いのつもり?」 自然と語尾が強くなる。私は爪の先にきれいにトップコートを塗れてちょうど満足したと

ようやく出会えたあなたは(小説)#夏の香りに思いを馳せて

出会いは図書館の自習室への階段だった。受験勉強の帰りに毎回何かしらの本を借りていたのがみおりで、そのみおりを目で追っていたのが図書館で土日だけバイトをしている大学生のせなだった。 みおりはどうやら恋愛小説が好きらしく、作家の中でも恋愛ものを選んで借りていく。それはカウンター業務をしていればおのずとわかってくることだった。そしてせなは今日も目の前のみおりに無愛想に対応してしまう自分自身に嫌気がさしていた。 この図書館はカウンター業務があるものの、基本的には接客業とは違うため

青いヒミツの色(詩)/ひと色展

夜空の星を愛するように君のことを思おうか みんなの心を惹きつけて なお残っているきらめきを ときめきってなんだっけ 忘れていく感覚の中 ぼんやりと思い出した あの日の君の横顔の影 安心ってなんだっけ 流れていく景色の中 じんわりと湧き出した あの日の君の俯いた顏 全てを集めるように手を伸ばした 暗闇を照らすような色広がった それは永遠に残る あの感覚 夜空の星を愛するように君の心を思い出すよ 何にも変わってないだろうか 投げかける切なさを 幸せってなんだっけ 思い出せ