「人」の「夢」と書いて「儚い」と読む
漢字の意味を考えるのが好きだ。
たとえば、「儚い」という漢字は、「人」の「夢」と書く。もしかすると元来、夢を追いかけることは、儚いことと言われてきたのかもしれない。夢を追いかけても、叶える人の方が少なかったのかもしれない。それなのに、人はいつの時代も夢を追いかける。愛おしいな、人間。
そもそも、漢字は今から3500年ほど前、中国で作られたものなんだとか。それが日本に伝来して、文字が誕生したらしい。しかし当時、漢字は男性だけのものであって、女性が使用することは禁止されていたというのだから、驚きである。(謎すぎる)
しかし、そうなると、女性は想い人へ手紙を書くこともできない。そこで、「まったくもう!」と、ぷりぷり怒った女性陣が、漢字の形を崩して作ったものが、ひらがなやカタカナなんだとか。
想いを伝えるために、他国から漢字を引き出し、ひらがなを開発して組み合わせ、「文章」を作ってきた昔の人達。やはり、愛おしすぎる。「書いて伝える」という手法を編み出してくれて、本当にありがとう。
ただ、その当時、漢字は男性だけのものであったという言い伝えは、個々の漢字の意味を見ていると、妙に納得してしまう。
たとえば、「奴隷」の「奴」という漢字には「女」という文字が入っている。もし、現代の男性がこの言葉を生み出したなら、女性陣からフルボッコにされることだろう。如何にも、昔にできた文字だなと感じる。
また、恋は下心、愛は真心とは、上手く言ったものだ。
ただそうなると「愛人」という文字はどう捉えよう。愛する人と書いて愛人。これは本来、れっきとしたパートナーに使われるべき文字ではないだろうか。(ぷんすか!)
いや、でもちょっと待てよ。日本もかつて、一夫多妻制だった時代があるらしい。それを考えると、「愛人」という言葉ができあがった背景も分かる気がする。しかし、「愛」という漢字の成り立ちを調べると、実はこのような記載が出てくる。
「愛とは、人が後ろを振り返ろうとする心情」
うーん、エモーショナル。愛とは、過去を慈しむ気持ちから生まれた漢字なのか。愛人うんぬん言ってごめんなさい。
基本、後ろを向くことは未練がましいというか、あまり良く思わない人も多いだろう。だけど、本当の意味でそれを愛と呼ぶならば、時に過去を振り返る余裕があってもいいのかもしれない。そんなことを、ぼんやりと考える。
とまぁ、本当に気になったら、その漢字の意味まできちんと調べる。しかし、あえて調べず、「この漢字はどういう意味で作られたんだろう?」「どんな背景がある漢字なのかな?」と、考えを巡らせる時間が好きなのだ。というか、面白い。
一文字一文字、きちんと意味が込められている漢字やひらがなを駆使し、「書いて伝える」ことを続けてきた日本人に生まれることができて、本当に良かった。そう思うほどに、私はやっぱり、「書くこと」がとても好きだ。
とりあえず、「書くこと」がとても好きな私は、これからも「小説家になりたい」といった儚い夢でも追いかけ続けようじゃないか。
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