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好きならそれでいいと思えた話


少し前のことになりますが ———

この曲を聴いたとき、あまりに嬉しくて胸がいっぱいで、泣いてしまいました。

SUPER JUNIOR の Way。2012年にリリースされた、日本オリジナル曲です。

生まれた場所とか 見てた風景も
何もかも違うこと 誇りに思うよ

この部分を聴いたとき、たまらない気持ちになりました。


* * *

SUPER JUNIOR は、K-POPアイドルグループです。2005年に13人でデビューし、現在9人で活動しています。とっても楽しくて、かっこいいお兄さんたちです。

十数年前、中学生だった私は、かれらと東方神起に夢中になりました。大好きで大好きでした。


あれから十数年。
私はまた SUPER JUNIOR を好きになりました。


今回は、十年ぶりに同じアイドルを好きになって気づいたことや思ったことを、書いてみたいと思います。


ネットの海に投げ入れるメッセージボトルのようなイメージで書きます。もしどなたかの目に留まり、共有できる何かがあれば嬉しいです。


* * *

十年程前、あれほど好きだったK-POPから、気づけば私は遠ざかっていました。

あの頃の正確な気持ちはもうわかりません。空前のK-POPブームに戸惑いを覚えたこと。東方神起の一件がこたえていたのかもしれないこと。ただ私の熱が冷めてしまっただけのこと…… きっといろいろな理由があったと思います。


ただ、K-POPから距離を置いていた、この十年のことは覚えています。

真偽のわからない反日疑惑に翻弄されました。大好きだったお兄さんたちが、もしかしたら私たち日本のファンのことを嫌いだったかもしれない。10代の私に世界は音楽や文化で一つになれると教えてくれたのは、他でもないあの人たちだったのに。話題に挙がったのは他のグループでしたが、もしかして SUPER JUNIOR も……? そんな怖れを抱きました。情けないことに、私にはみんなを手放しで信じることができませんでした。それほどショックで「わからない」出来事でした。

いくつかの訃報も届きました。もう二度と、かなしいニュースは聞きたくありません。どうかみんなに元気でいてほしい。おじいちゃんやおばあちゃんになってほしい。できれば幸せに、そうでなくても健康に、生きていてほしい。

そう願いながら私は、K-POPとの距離を保ちました。大好きだった思い出を、キラキラした思い出のまま、残しておくために。

私はかれらに、アイドルをとても好きになる怖さを教わったような気がします。


* * *

この十数年のあいだ、中学生だった私が知らなかったことも、たくさん知りました。

過去の戦争の歴史。私はまだまだ何も知らないのだということ。一日本人として、自国の歴史を見つめる後ろめたさ。教育が人の思想に影響を及ぼすこと。絶対的「正しさ」なんてこの世に存在しないということ……


こんな動画も見ました。(ここに貼らせていただくことに差し支えがあれば教えてください)

韓国での反日集会の場でフリーハグをする、くわまんさんという方の動画です。

この動画を見たとき、涙が止まりませんでした。なんだか私の見たかったものがここにあるような気がして。

「日本の政治は好きになれないけれど、日本人のことは好き」そういう場合もあるのだと知りました。これは大きな気づきでした。


* * *

いくつかのことを経て私は、「韓国人だから日本を嫌っていてもおかしくない。それはそれで仕方がない」と距離を置き、警戒していた自分に気がつきました。そんな私の方こそ、偏見に身を固めているのだと。

(ここは読まなくていいです)
また、ふり返ってみると、大好きだったあの人たちが、当時あの若さで、どれほどの重圧や不安を抱えていたのだろうと思います。幼かった私は、韓国のファンの前で見せた、あの人の見たことない表情にさみしさを感じました。大人になり、彼の反日疑惑が話題にあがったとき、あの光景を思い出しました。心から信じることができませんでした。今も真実はわかりません。彼の本音は、きっと永遠に訊けません。でも、今はもう、怖れやかなしみを手放したいと思っています。そして、ただありがとうという気持ちと、幸せを願う気持ちを感じています。


——— 話が少し逸れてしまいました。


この十年のあいだも、かつて大好きだったみんなの、過去や現在の映像に魅了されました。すてきだなあと思う、新しいK-POPグループのパフォーマンスもたくさんありました。

だけど私は、「K-POPをまた好きになる」ということに抵抗を感じていました。

K-POPに限らず、アイドルを本気で好きになって応援することが怖かった。もう傷つきたくなかったし、かなしい思いや不安な思いを味わいたくなかった。だれかをとても好きになることは、とても恐ろしいことだと思いました。


* * *

この冬、ひょんなことからまた SUPER JUNIOR を好きになりました。

脱退や休止を経て人数は減ってしまい、アラフォーと呼ばれる年齢になっても、相変わらずかっこよくて面白いお兄さんたち。

私がK-POPを好きだった当時のアイドルで、解散や休止をしたグループもいくつかあります。そんななか、いまだ現役で活躍してくれている姿に胸がいっぱいになりました。

ああ、何も変わらないなあと思います。
変わってしまったことももちろんあるけれど、変わらないことの方が、ずっと多い。

好きだなあ。やっぱり私には SUPER JUNIOR なんだなあ。そんなふうに思いながら、同時に、あの怖さも拭いきれずにいました。

YouTubeを見ながら、日本にまつわる(日本語を話したり日本について語るような)動画は避けていました。その表情や声音に、少しでも曇りがないかと気になってしまうから。そんなふうに探るような目でかれらを見る自分が嫌でした。

心のどこかで、これ以上好きになってしまわないよう、ストッパーをかけました。やっぱり信じきれない自分が、嫌になりました。


*  * *

K-POPアイドルのことに限らず ———

もう傷つきたくないからと、自分で自分に制約をかけてきたことの、どれほど多いことでしょう。痛い目に遭いたくないからと、半ば諦めてきたことの、どれほど多いことでしょう。


少し話が逸れてしまうかもしれませんが、
2021年の大晦日は、そんな私にとって、インスピレーション溢れる夜になりました。

ふと読みたくなり、本棚から引っ張り出した本があります。水野敬也さん作、鉄拳さん画の『それでも僕は夢を見る』です。ほとんど学生ぶりに読むこの本を、どうして私は読みたくなったのか。答えはこの文章にありました。

人を好きになりたい。
振り向いてもらえなくたっていい。
傷つくだけで終わってもいい。
その人のことを考えているだけで
幸せになれるあの時間を、
もう一度味わいたい。

夢を見たい。
かなわなくてもいい。
恥ずかしい思いをするだけでもいい。
それでも、もう一度、夢を見たい。

新しい一年の始まりに、この本を読みたいと思えたこと。ここに書かれた言葉を、心から私も思えたこと。なんだかとても感動しました。

生きること、そのものが、輝きでした。
あなたは、今、生きている。
そのことが、私にはとてもまぶしいのです。

ああ、みんなみんな、いつかは死んでしまうのだなあ。こうして生きていられることは奇跡のようで、人生ははてしなく長いものに思えるけれど、本当は束の間の出来事なんだなあ。

そんなことを思いました。ネガティヴでもポジティヴでもなく、ただ思いました。


* * *

SUPER JUNIOR のことも、同じかもしれません。

ほんの束の間の人生で、こうしてお兄さんたちを知れたこと。同じ時間を生きられること。遠くから見守れること。私も、お兄さんたちも、十年前と変わらず元気に生きていること。またこうして好きになれたこと。大げさかもしれませんが、ほんとうに奇跡のようだなあと思うのです。


願わくは、もう何も怖れずにありたい。
リスクや不安を感じる心に、打ち克ちたいです。


たかがアイドルのファンを自覚するだけのことになんて大げさな。そう思われてもしかたありません。でも、私にとって SUPER JUNIOR をまた好きになれたこと、自分自身その気持ちを認めてあげられたことは、とても大きな意味があります。

それは、もう本当の気持ちを抑圧したくないという思いを、象徴するような出来事でした。


* * *

冒頭にあげた Way という曲は、そんな私に、一つの答えを与えてくれました。

生まれた場所とか 見てた風景も
何もかも違う僕らの行く
それぞれの道は いつかどこかで
繋がっているから
ひとりじゃないよ


「この歌をうたうみんなが観たい」と見つけた動画は、偶然にも、過去に私が大阪で参戦した年の、東京公演のLIVE映像でした。

この歌をうたいながら、涙を浮かべるメンバーたち。何度も何度も、深いお辞儀をするイトゥク。日本のELFがつくる青い光の海を、嬉しそうに見つめるみんな。東京ドームにくることが夢だった、叶えてくれたのはみなさんだと、涙ながら語ってくれたウニョク ———


どうして私は、忘れていたんだろう。信じることができなかったんだろう。


感動と、切なさと、情けなさと、申し訳なさと、恥ずかしさと、嬉しさと ———

いろんな気持ちがごちゃまぜになって、涙が出ました。胸がいっぱいでした。たまらなかった。

生まれた場所とか 見てた風景も
何もかも違うこと 誇りに思うよ

この曲を作詞作曲した、HIKARIさんという方にも感謝しています。

生まれた場所や見てた風景、なにもかも違う私たちだからこそ、一緒にいられることが尊い。

本当に、その通りだと思います。ありがとう。


* * *

私は、お兄さんたちがきっといちばん心細く不安であったろう期間を、支えることができませんでした。愛し続けることも、信じ続けることも、待ち続けることもできませんでした。

あんなにも10代の私を救ってくれたみんなを、信じることができなかった。

だから、こうしてまた戻ってくる場所を守り続けてくれた、世界中の ELF に感謝しています。ありがとうございます。本当に。

何より元気に変わらず活動していてくれる SUPER JUNIOR に。一ファンとして、ありがとうの気持ちでいっぱいです。本当に、ありがとう。


* * *

十年ぶりに SUPER JUNIOR を好きになり、驚いたことがあります。それは、ハンギョンやキボムのいる SUPER JUNIOR を、私は知らないのだということ。きっと昔のバラエティや歌番組をくり返し観たせいだと思うのですが、私はふたりのこともメンバーとして大好きでした。ああ、私にとって SUPER JUNIOR は、あくまでユートピアのような存在だったんだな。楽しそうにわちゃわちゃするみんなを、記憶に留めておきたかったのかな。そんなふうにも思いました。

みんなを見ていると、思い出す文章があります。少し長いですが、引用してみます。

 ムーミン谷では、さまざまな変わった個性を持つキャラクターが、つかずはなれずで暮らしています。
 みんな奇妙なクセを持っていたり、迷惑な性格だったりもするのですが、それらが否定されたり抑圧されたりすることはありません。
 おのおのが自由に、でも、集まって生きていられるのです。

 最近、『鬼滅の刃』というマンガが大変人気を集めています。
 あの作品にも、ムーミン谷に少しだけ似たところがあります。というのも、キャラクターたちは、あまり人の話を聞かないのです。敵味方関係なく、かなり多くの対話が「投げっぱなし」で流れていきます。
 それでも、ストーリーも人間関係も、ちゃんとハートフルなかたちで成立しているのです。彼らがやりとりしているのは、本当は「言葉」ではないようです。
 非常に強い個性の持ち主たちが、それぞれの個性を受け入れ合う、というよりは、ある意味「スルーする」ようにして集っている様子は、ムーミン谷の関係性によく似たところがあるなと思いました。

 自由に、自分の好きなように生きるには、孤独を受け入れなければならない。
 自由と孤独は引き換えである、という考え方を、多くの人が信じています。
 でも、もしかすると、自由でありながらよりそって生きることは、非現実的な夢ではないのかもしれません。

(石井ゆかりさん『3年の星占い 2021-2023 蟹座』p.52 )

自由でありながら、寄り添って生きる。それはまさに、私から見た SUPER JUNIOR です。

もちろんファンには見えない、生身の人間としての姿もあると思います。目に見えるものがすべてではないし、はかり知れない苦悩やプレッシャーを感じてきたことと思います。

ただ、私は SUPER JUNIOR を見ていると、なんだか息がしやすくなる。

みんなのやりとりに声をあげて笑いながら、ときどきとても眩しく、羨ましく思えてしまいます。私の「好き」には、なんだか「この人たちから見える世界はどんなだろう」という思いが含まれているような気がします。

これからものびのびと自由に、生きていてほしいです。くだらないことで騒ぎ、笑い合い、そんな時間の一部を、私たちにも共有してほしいです。


* * *

精神科医の泉谷閑示さんによると、人間の変化や成熟は「一周ごとに次元が上がっていく。グレードアップしながら螺旋状に上昇していく」ものなのだそうです。「一見同じようなサイクルを繰り返しているように」見えても、「一周するたびに高さは上昇している」と。(『「普通がいい」という病』より)

もし、こうして同じ人たちを好きになり、同じ場所に戻ってこられた私も、十数年のあいだで何か変化し、成長できていたなら、嬉しいです。


* * *

ちょうど十年前の東京ドームで「十年過ぎても、二十年過ぎても、SUPER JUNIOR と ELF は永遠に一つだ!」と叫ぶ、あの日のイトゥクに訊きたい。

一度は離れ、みんなを信じることのできなかった私をゆるしてくれますか?

答えは永遠にわからないけれど、せめてこれからの SUPER JUNIOR を守ることには貢献したいです。微力ながら、支えていきたいです。

元気に活動し続けてくれてありがとう。
変わらぬ姿を見せてくれて本当にありがとう。

いつも素敵なお兄さんたちが大好きです💙


もしかしたら、いつの日かまた、信じる気持ちが揺らいでしまったり、気持ちが離れてしまうことだって、あるかもしれない。かれらの本当の気持ちは、今だって本当のところは何も分からない。

それでも ———


私は今、SUPER JUNIOR が大好きです!!!

この気持ちを、大切にしたいです☺️


「瞬間ではない永遠」、私も感じてみたいなあ。


とても長くなりましたが、もしもここまで読んでくださった方がいたのなら、本当にありがとうございます。すごく嬉しいです🥰

大好きなお兄さんたちが、いつまでも元気で幸せにありますように。

たくさんの幸せな気持ちをありがとう。

これまでも、これからも、本当にありがとう!

감사합니다 사랑해요 💙

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