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一分シマウマ

 悪天候に乗じて窃盗に入ることにした。
 その家には前から目を付けていたのだが、つい最近も宝くじの高額当選をしたという噂が広まっていた。おまけに家主は自宅にその札束を保管しているという。
 風雨が強いその日、遂に俺は決行することに。風で窓が割れたと思わせて侵入した。暗く、留守だと思っていたその家には女が一人残っていた。早急に手足を縛りあげた。
「おぃ金庫はどっちだ?」
『こちらです』
 女は落ち着いて返答する。おかしいな、普通はビビるはずなのに…。
 俺は金庫破りは得意なので、一分で難なく開けた。
『ありがとう。私は手間取っていて』
「え?それじゃあお前も泥棒なのか?」
『そうです。私は宝飾品を回収したので、現金は少しだけでいいです』
 よく見ると前に付き合っていた女だった。
「お前もやるなぁ!」
 シマの取り合いはやめた。
 俺たちはウマい具合に配分すると、侵入した痕跡を消し、手と手を取り合い逃げ出した。

                 (了)


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