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囀る鳥は羽ばたかない 第51話【激怒の先】

【2023年04月03日】

「囀る鳥は羽ばたかない」51話の私的ネタバレ覚書。

4ヶ月ぶりの51話。

50話のラスト。
黒ベタに不穏なセリフのみ。
そしてその後――

甘々スキーの言霊信者なので甘々展開の妄想ばかり言い連ねていますが
わたし的によくない展開もちらちら考えては
それはやだなあ…と勝手に落ち込むなどしていました。
勝手にね。

読んだ直後、なんていうか
まあまあ情緒不安定になりまして
そのー、46話から続いた
つらくて悲しくて打ちひしがれて食欲失くして、みたいな感じではなく
どうしていいかわからない感情が竜巻状態。
体中に蕁麻疹出ちゃったよ
(ストレス性のやつ)
(最近ストレスで蕁麻疹が出やすい体質になったみたいで)


※毎度の注意事項:
 以下がっつりネタバレ含みます。
 登場人物の心情とかストーリー解釈とかは
 あくまで個人の感想です。

※思うところてんこ盛りで
 なんならひとコマひとコマ詳細に感想妄想語りたい
 今話の百目鬼(+矢代)については
 別枠でまとめたいです。
 あれっ百目鬼推しなのにここスルー?
 というところも多々ありますが
 それはまた別の講釈で。


******

わからなかった
これが俺の望んだことなのか

******

読んですぐこれは矢代の心の悲鳴、と思ったけど
百目鬼にも当てはまるような。


俺が犯せば満足ですか

と言った百目鬼の顔が鬼の形相。
矢代が直視できなかった顔。
腕を引っ張られて歩く矢代の表情は
呆然、状況を把握しきれてない感じ。

城戸の元から連れ去られた矢代は
車で百目鬼の部屋へ。
部屋にポイっと投げ込まれた様子を見るに
車にもポイっと投げ入れられたんだろうなあ。

もう畳じゃない。ベッドとローテーブル。
エアコン、カーテン、段ボール箱。
今のところ、確認できた百目鬼の部屋のもの。

上着と手袋を脱ぎ捨て、矢代の服を脱がしはじめる。
ここ数日繰り広げた売り言葉に買い言葉も百目鬼の激怒で消える。
押し倒し、嫌がる矢代の両手を抑えつけ、
怒りの形相のまま攻め立てる。
乳首を噛み、服を脱がし、さらに乳首を攻める。

矢代が知る百目鬼史上、一番怒っている。
でも怒りながらの愛撫にも感じてしまう。
拒絶していた矢代の手が百目鬼のうなじに触れ、
そのまま背中に降り、シャツを掴んだとき
百目鬼の動きが止まる。

微妙な異変に気付く矢代。
百目鬼が矢代の手を取りそっとシャツから離し、
矢代の追及に「別に…」と答える。
下手くそなごまかし。

黒ずくめの百目鬼。
黒いシャツの意味。
めくりあげたシャツの下には
天女と龍と蓮の花。
背中を見られてうつむく百目鬼。

矢代の怒りが着火した瞬間最大火力。
蹴り飛ばして何度も殴る矢代、
おとなしく殴られる百目鬼。
シャツを掴まれた瞬間、怒りの炎が鎮火した百目鬼は
己の背中に激怒した矢代を見て表情が変わる。

殴り疲れた矢代の腕をとり
泣きだしそうな顔に手を当てて

がばっと身体を起こしてキス!!

矢代も私も待ち望んでいたけどこう来るとは。
強く重ね、舌を絡め、矢代の唇を熱く求める。
されるがままの矢代もやがて自分からも舌を絡ませる。
百目鬼の手が背中に回り、
矢代の手も肩から背中に、
そして強くしがみつき――

******

蕁麻疹が出るほど情緒不安定になったのは
まあ…百目鬼の刺青ですかね。
矢代にがっつり共感。
百目鬼激推しですがそりゃ殴っちゃうよね。
ただし1発でこぶし痛めそう。

矢代の前で脱がない黒シャツ。
綱川の刺青も印象的に描かれていたし、綱川邸に彫師も出入りしていたし、予感はなくもなかった。
それでも百目鬼が刺青を入れることはないと思っていたんですよ。
まず矢代が入れてないし。
矢代が入れてるならわかる。
でも矢代の背中は真っ白で平田達にも揶揄されていた。
百目鬼も綺麗だと言っていたのに。

そんな百目鬼の刺青については
別枠でまとめたい。
まとまるのか。感情ぐにゃぐにゃですけど。



50話の終わりから百目鬼は激怒していた。
でも矢代は百目鬼がどうしてそんなに怒っているのかわからなかったのでは。
女がいるくせに。優しくないくせに。
怒られる筋合いがない。なのにどうして?
とはいえその激しい怒りが自分に向けられていることはうれしい。

矢代は「好きな人に本気で怒られること」をうれしがるふしがある。
かつて影山に怒られて「うれしそうだった」(影山談)
葵ちゃんの件で嘘ついて百目鬼に怒りをぶつけられた時もゾクゾクしていた。
6巻の33話で、怒る百目鬼がいいと言っていた。
今回、過去イチの怒りにもゾクッとしてしまう。
それが性的興奮にもつながっているけれど
この辺も別枠で長々綴りたい。

そして逆も。
矢代は自己防衛として自分に起こることを傍観するようにしていた。他人事のように。
その矢代が
百目鬼の背中を見た瞬間激昂して殴りつけた。
矢代の人生で、こんなに怒ったこと、ないんじゃないだろうか。

再会後、百目鬼の言動に何度か
「いいんじゃねえの?」
と言っていたのがずっと気になっていた。
それなら今回、背中の刺青を見ても
「いいんじゃねえの?立派な極道らしくて」
で流せたはず。
それこそ「激怒する筋合いがない」
捨てた元部下のためになんて。
女作って自分を雑に扱う男のためになんて。

本当は全然よくなかった。
「俺がどう生きようと何になろうと
 俺の時間もこの体も俺のもの」
と言われたことも、
生意気な態度も
身も心も立派な極道になった(ように見える)ことも。
極道を辞めさせたかったから手離したのに。
何を言っても何をしても離れたがらなかったのに。
身体も命も俺のものだったのに。

どうして刺青なんか。どうして。
こんなことになるくらいなら――

怒りと後悔。
自分のそばにいたらきっと百目鬼は刺青なんか入れなかった。
百目鬼への想いを自覚し、受け入れた矢代の怒りと悲しみは百目鬼に対してだけじゃない。
自分へも。



矢代が百目鬼の背中を見てからのふたりは
一切セリフがないのに
その目が、指が、腕が、唇が、舌が、矢代の乱れる前髪までとても饒舌。
熱望していた百目鬼のモノローグ、
今までやかましく所望してごめんなさいと思えるほどに。
(とはいえその刺青の経緯くらいは知りたいけども)

ふたりの激怒はどちらも相手のため。
矢代が今も男との行為を続けていること、
それもよりによって井波と、さらには城戸とまで。
百目鬼が背中にがっつり刺青を入れたこと。
もう戻れないところに来てしまっていること。

お互いを大事に思う気持ちが激怒を経由してようやくキスにたどり着いた。
キス魔百目鬼はずっと我慢してただろうし
矢代は百目鬼の顔が近づくたび期待してたし
ふたりとも貪るような情熱的で激しいキス。
すごくうれしいしこのままことを進めてほしい気もするけど
まだお互いはっきりさせてないことあるよね?

百目鬼の女問題。
矢代の身体の変化。

矢代が城戸のもとに行ったのは、「女」と噂のママや神谷にも優しいのに俺には、という思いがとどめだったとしても、
「女がいる」ことを否定しないと矢代が「女を抱いてる手で俺を」とかいろいろ想像してさらに壊れてしまう。
(※私は百目鬼に女はいない・ママはフェイク説過激派です)
百目鬼も矢代が自分以外には不能・不感症であることを知らないまま。
そのままだと反応しまくる矢代を見て「井波にもこんなふうに」と思い込み、暴力的な攻めに戻ってしまうかも。
言葉少ないながら歩み寄れたふたりだけど、この辺はできれば言語化したほうがいいと思うんですよね…
どストレートじゃなくてもなんかこう…
お互いの現状をはっきりさせてからその先へ突っ走ってほしいというか。

……あ~でも
そんなことはもうどうでもいいのかな。
ふたりの怒りとキスには
相手の不安や思い込みをかき消す力があるようだし。
いやでもやっぱり念のため(逡巡)


百目鬼が、無理やり犯さなくてよかった。
でもその中断の理由が百目鬼の刺青で動揺。
矢代の激昂と悲しみに共感。
からのキスに上向きで動揺。
情緒不安定にもなるわ。
いやもうホント、8巻特典が精神安定剤ですよ。

******

ところで
なにもないと評判の百目鬼の部屋ですが
テレビはあると思ってるんですけどないのかな。
格付けチェックは綱川邸で観てたのかしら。
(「パラレルです」表記がなければ本編と単行本特典は地続き教信者)

あと
ステーキ屋に残された七原と神谷は
なんやかんや言い合いながら場所を変え飲んだくれて
姿を消した上司に電話も入れず組織の上に報告もせず
ふたりで翌日の昼くらいまでぐっすり寝ててくれますように。

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