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「趣味は?」と聞かれた時に私が答えに迷う理由

ししおどしの音が小さく聞こえる部屋で、向かい合った相手から「ご趣味は?」と聞かれる。

…なんて場面に遭遇したことはない(そもそもお見合いをしたこともない)けど、趣味を聞かれることはある。
新しい職場での自己紹介や、親しくない人との飲み会。どう返事すればいいか毎回ちょっと悩む。

たいていは「読書」と答える。
「趣味と言えるものはない」と答えることもあるけど、自分でもそっけなさ過ぎると思うので、悩んだ末に「強いて挙げれば読書ですかねー」ぐらいで答える。

でも私は自分の趣味を読書と言えるほどではないように感じている。

本を読むことは子供の頃から好きだ。今でも仕事の必要性と関係なく本を読む。
ただそれぐらいだ。

私がイメージする「趣味は読書」の人は、こんな感じだ。

・壁一面の本棚、または書庫にいっぱい本を持っている
・たくさん本を読んでいて、誰かが本の話をすると、「それ読んだ」と返せる
・本の内容について語れる

うちにはそんなに本はないし、話題の本も読んでないことが多く、会話にならない。
読んだ本の内容も覚えていないことも多くて、何度も同じ本を新鮮に楽しめるのはいいけど、うろ覚え過ぎて人に話せない。

こうして並べてみると、それを裏付けるようなエピソードがないと「趣味は○○です」と言えないと私は思っているらしい。

そもそも「趣味」って何?

 仕事・職業としてでなく、個人が楽しみとしてしている事柄。「—は読書です」「—と実益を兼ねる」「多—」

『大辞泉』

ただ楽しいだけでいいなら、読書を趣味と言ってもよさそうだ。
なんなら屋外や窓際にいる猫を探しながら町を歩くのも趣味と言っていいかもしれない。

他の定義ではどうだろう。

手段が目的にすりかわったこと

田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』

例えば釣りの目的は魚を獲ることだけど、釣る行為自体が目的になっているのは確かに趣味と言えそうだ。

これを読書に当てはめると、本を読む目的ってなんだろう?
必要な知識を得ること?
知識を得るためだけなら、世の中にある本は実用書だけになってしまう。世の中にある本の多くは実用書ではない。実用書でない本を読む目的は?

私は読むこと自体が楽しいから本を読む。
もし読書の目的が「楽しむこと」だったら、目的どおりになってしまうから、趣味とは言えなくなってしまう。
じゃあ「趣味」って…、といつまでも堂々巡りのままだ。

もういいや。
どうせ質問しているほうは、答えに興味があるわけではない。楽しく会話が進めばそれでいい。
次に聞かれた時は、「読書」と答えて、最近読んだ本の話をすることにしよう。
どう答えようと、私が本を楽しんでいることに変わりはないんだから。


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