Good bye, my love

いきなり彼と連絡がつかなくなって。それが元旦だったもんだから「あぁそういう区切りなのかな」と薄々感じていた。ちなみに私も「ある日突然…」ってより、何か意味のある日付に行動を起こすタイプだから、こういうところは似てるんだね、と思った。

人伝にしか聞けない彼の意見は温度がなくて、なかなか信じられなかった。直で話してくれたら、すぐにその真剣さを感じ取れたのに。感じ取らざるを得なかったのに。今更それが何というわけでもないけれど。

「話したくない」。これも人伝。
ねぇ、私たち、一回でもまともに話したことあったかしら。それとも、私はあなたにとって一回も話す価値のない人間だったのかな。それならしかたがないね。
一回。たった一回、LINE上でもいいからと懇願したけれど却下された。その決断を、彼があっさりと下したのか、悩んで悩んで下したのか、私は知らない。だから彼を責める気はさらさらないし、詰る気も一切ない。

切れ味のいいナイフで断つように綺麗に終わりたかったけれど、どうやらそれは叶わぬ望みだったみたいだ。錆びついた鋏を渡された気分。
覚悟を決めて、私はずっと恐れていたことを遂に成し遂げた(たぶん。今のところ)。

私が自分の足で進めることを教えてくれた。自分で火を消せるよって水のある場所をそれとなく教えてくれた。
そういうことだと受け取っておくね。

私の想いを、異形の化け物を見るような目で見てきた。
たしかにね。普通の、小綺麗な見た目のものではなかったからね。気味悪がられるのも無理はないなと思う。
少し目を凝らせば、そんなんじゃないってわかったはず。別に私のためじゃなくて、あなたが必要以上に恐怖を感じなくて済むから、その方がよかったかなって。もう不要な考えだけれど。

付き合いたいわけじゃなかった。結婚を願ったわけでもない。ただ、普通に話してみたかっただけ。
どうすればいいかわからなかった。もがくたび透明な糸が絡んできて、どう解けばいいのかわからなかった。

それは甘えだった。自分でも重々わかっていたけれど。その甘えを見事に見抜いて私を放置したあなたの冷静さに感服したんだ。

でも、話す機会を設ける気すらないことを知って「あ、そこまでの嫌悪感があるならもういいや」と思った。
「設けるべき」とはいわない。でも設けてほしかった。
最後まできっぱりとした態度をとり続けた彼は、正しい。
その正しさに、感謝する。

私と彼の物語は、ここで一区切り。次のチャプターは未定。

限りなく、私のためだけの恋だった。でも、しあわせだった。彼もしあわせだったらよかったけど、しかたがない。片想いだったのだ。

次の恋は、相手も私も、もっとしあわせな気持ちになれる恋でありますように。

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