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FSSの源流って?【その1】

皆さんこんにちは、フューチャーセッションズの富田です。
梅雨が近づき、どんよりした日も暑い日もある季節ですが、調子はいかがでしょうか?

さて、フューチャーセッションズは、4月に小田原で合宿を行い、これからのFSSの共創を促進するための行動について対話してきました。
そこで、始めに、2012年6月にできたFSSが辿ってきた道のりを創業メンバーの有福、筧から語ってもらいました。
昨年入社した私自身が、FSSについて改めて理解できた部分が多かったので、この語りをシェアしてみます!
6月のnoteは、この合宿での語りを3回にわたってご紹介します。

*こちらのページでもFSSの源流をご紹介しています!https://www.futuresessions.com/about/


創業前のお話

企業の現場でどうすれば知識創造を起こせるのか?

野中郁次郎さんの「知識創造理論」をご存知でしょうか??
日本企業の中で、知識創造によるイノベーションを起こして長期的な成功をおさめた企業に共通する特徴を整理した理論で、イノベーションが起こる仕組みをSECIモデルというフレームにまとめています。

SECIモデルとは、知識には暗黙知と、形式知があり、他の人から暗黙知を受け取ったり、暗黙知を表出して形式知にしたり、表出した形式知を他の形式知と結合させたり、形式知を個々人の暗黙知にしたり、といったプロセスによって知識創造が生まれるというものです。
*例えば、
上司Aさんのとあるプレゼンに同席した部下Bさんのやりとり
B「あの時あんなふうにプレゼンしていたけど、あれってどんな背景で言ったんですか?」
A「自分では意識していなかったけど、改めて言語化してみたら、こういうプロセスで考えているのよ。」(暗黙知→形式知)
B「なるほど、それって背景としてこういう知識も大事な気がしたし、この辺り自分も真似したいです。」(形式知の結合)
A「自分では気づかなかったけど、言われてみればそう!これからそこも意識しよう」(形式知→暗黙知)
といったプロセスの中で、組織の中で新たな知識が創造され、組織の資産となっていきます。

出典元:Brains Technology, Inc.(https://www.brains-tech.co.jp/neuron/blog/seci_model/)

創業メンバーの一人である筧は、前職にて知識創造理論を企業の現場で根付かせ、イノベーションを起こすにはどうすれば良いのかという問いのもと試行錯誤していました。こうした文脈の中で、上記の例のように「対話」という言葉を通じたやりとりが知識創造の場の一つとして大事だということはわかっていましたが、ファシリテーションの話はまだあまりなかったそうです。

知識創造理論とフューチャーセンター

そのような中、2000年頃、北欧を中心に野中郁次郎さんのSECIモデルを原点とした、知的資本経営の文脈でフューチャーセンター*が広がり、ここで、フューチャーセンターを逆輸入をしよう!となりました。
(知的資本経営は、従業員の知識・質、将来へのポテンシャルなど目に見えない資本を可視化、マネジメントする考え方のことです。そうして、北欧では、未来の知的資本を生み出す活動を行うにために、知的資本創造の空間であるフューチャーセンターができたそうです。)

こうして、日本でフューチャーセンターを増やしていく活動を進める中で、筧たちはファシリテーションにも注目をし、アートオブホスティングという対話手法を海外で推進しているボブスティルガーさんたちと出会い、フューチャーセンターのプログラムを一緒に作りました。

フューチャーセンターやそのプログラムを作っていく中で、対話手法、ファシリテーションテクニックをめちゃくちゃ学んだそうです。また、フューチャーセンターを作る中で、企業だけではなく、ソーシャル領域で活動する方達とも出会うようになりました。

フューチャーセッションズのオフィス

ちょっと待って、そもそも、フューチャーセンターって何?

ところで、結局フューチャーセンターって何という話になりますよね。
フューチャーセンター*は、問いを設定し、多様な参加者が集まって対話をし、未来に向けて新たなアイデアや関係性を生み出す場です。
北欧のフューチャーセンターから学んだものとして、「対話」「おもてなし」「ファシリテーター」「空間」の4つの要素があるそうです。
(*「フューチャーセンター」は、一般社団法人Future Center Alliance Japanの管理・使用する商標登録です)

専用空間が必要かどうかなのですが、象徴的で創造的な空間は大事だしあるに越したことはない。だけど、物理的なセンター作りに労力をかけて後で使われなくなるより、この未来に向けたアイデア・関係を生み出す対話を行うほうがもっと大事だと感じたとのこと。

特に、3.11の東日本大震災の後、セクター横断の対話の場の重要性を改めて実感し、空間ではなくソフトの大事さを強調してきたそうです。名称も、もともと「フューチャーセンターセッション」でしたが、「フューチャーセッション」に変えたそうです。

セッション風景

このようにして、いくつかの理論や手法を背景にしながら、フューチャーセッション、対話、ファシリテーションといった、フューチャーセッションズの現在の活動に結びつくものが試行錯誤の中で出来上がってきました。
企業を対象とした活動から、時代の流れや状況、ご縁とともに、徐々に対象が広がってきたんですねぇ。

その1はここまで!次回はフューチャーセッションズ創業の経緯をご紹介します!


<編集後記(富田)>
FSSの源流をご紹介しましたが、理論ばかりで難しかったかもしれません。わたしは、理論・背景を聞いたからこそ、なぜ対話なのか、なぜフューチャーセッションなのかをくっきりと理解することができました。
なお、今回のnoteは有福、筧の語りを解釈した富田の語りです。フューチャーセッションズの源流にはたくさんの方の出会いやご縁があったともお聞きしていますが、書ききれなかった部分もあることを心に留めていただけると幸いです!

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