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「中国 冬小麦の状態 歴史上最悪になる可能性」は本当の可能性かも?(2022/04/07)

はじめに

ロイター通信は、3月5日、中国の農業大臣は、「中国の冬小麦は歴史上最悪の可能性がある」と発表した、とレポートしてます。

ファクトチェック:本当の可能性が高いかも?

Fact Check方法:

衛星画像で、華北地方(中国冬小麦 9割生産地)2020年 - 2022年 3月1日の作付面積 差分を取得(2019-2022)

分析結果:

今年の中国 冬小麦は、歴史上最悪の可能性がある。事実、2020年(コロナ前)に比較しても、作付面積が10%近く削減。ですから、減るのは本当ですが、市場最悪、となると”?”です。
(評価 2022/04/14 変更)

1.中国 2022冬小麦の栽培状態

年々、特に今年は、2020年に比較して、栽培量が10%くらい削減していることが衛星画像解析からわかります。
つまり、これから中国が”いっそう”買い付けに走る、ということが予測できます。

2020年3月1日時点の冬小麦 栽培地 差分

赤(ピンク):冬小麦 2022年作付、実施していないところ
緑     :冬小麦 2022年作付、新規実施したところ

NASA@Enhanced Vegetation Index 中国本土 2020 - 2022 冬小麦 栽培地増減

2.背景

ウクライナ戦争が発生する前の去年、2021年12月に以下のようなレポートが出ていました。

中国の穀物爆買いで市場激変。22年は小麦需給ひっ迫のおそれ

中国の旺盛な買いがある。20年8月の米中貿易協議「第1段階合意」履行を契機に、中国による米国産穀物の大量輸入が本格化する一方で、米国主要生産州での大豆、トウモロコシの単収(単位面積当たりの収穫量)低下や南米での乾燥天候による作柄悪化見通しなどが重なり、供給問題が一気に表面化した。金融緩和を受けた大量の投機マネーも穀物市場に流れ込み、価格を押し上げた。

世界経済総予測2022 

これが、2021年12月の状況です。

3.中国 世界最大の小麦買い付け国

穀物の主な輸出国はアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、ロシア、ウクライナの国々に偏っていて、主な輸入国というと中国、一国という状況です。まず、輸出国の生産量の変動が国際マーケットに影響しますが、中国は輸入国の立場から、その輸入の仕方で国際マーケットに直接影響を与えるようになっています。マーケットは、ますます不安定になっていると感じています。

NHK 国際放送

これが、ウクライナ戦争開戦前の状況です。

4.証跡:2020年ー2022年 の冬小麦 作付状況

NASA@Enhanced Vegetation Index 中国本土 2020/03/01 冬小麦 栽培地
NASA@Enhanced Vegetation Index 中国本土 2021/03/01 冬小麦 栽培地
NASA@Enhanced Vegetation Index 中国本土 2022/03/01 冬小麦 栽培地

分かりにくいので、2019年から2022年までの変化をアニメにしました。

NASA@Enhanced Vegetation Index 中国本土 2020 - 2022 冬小麦 栽培地増減


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