〈42.平和で豊かな未来がやってくる(終)〉

 さらにフィリップさんも現れた。フィリップさんとは僕の小説に描いている未来人だった。

「あ、フィリップさんだ!フィリップさん、久しぶり」

 アンジュちゃんはフィリップさんに再開して抱きついた。ウラジミールさんは紹介した。

「彼は私の友人フィリップさんだ」

 フィリップさんは語る。

「今から数十年後の未来に未来メルヘンシティという街が生まれる。私はその町の市長で、その時代からタイムスリップしてやってきたんだ。

 私は未来メルヘンシティの発展のため、時々過去にタイムスリップして昔のことを学んでいた。そして、未来の知識をこの時代の人に教えたりもしていた。それで仲良くなったのがウラジミールさんとエマニュエルさんだったというわけだ」

 ウラジミールさんとエマニュエルさんとフィリップさんが肩組む。

「アンジュちゃんも私と同じ時代の人だよね」

 フィリップさんの発言にアンジュちゃんは同意した。

「そう。実は私も未来人なの」

「アンジュちゃんが未来人? そんなわけないだろう!」

 アーサーくんは疑った。けど、アンジュちゃんとまほろちゃんはその場で一瞬で消えてしまった。

「アンジュちゃんとまほろちゃんが消えた!?」

 アーサーくんは驚いた。するとアーサーくんの真後ろからアンジュちゃんが手で肩を叩いた。

「ここだよ。ここ」

「アンジュちゃんが瞬間移動した?」

 アーサーくんは驚く。

「何これ? 忍者の技よりもっとすごいわ」

 ダイアナさんも驚いた。

「すごい! アンジュちゃんって魔法使いだったのね。じゃあまほろちゃんも?」

「私は未来人じゃないけど、人の夢から生まれた夢の世界の住人よ」

 まほろちゃんはそう答えた。

 フィリップさんは言った。

「これで信じてもらえたかい?私たちが未来人だということ。

 私は近い将来、世界中が平和で豊かになると保証する。例えばダイアナさん、あなたは新しい音楽ジャンルを作るよ。MMM(未来メルヘンミュージック)という音楽を」

「私、音楽ジャンルを作りたいと思ってたわ」

「地球はこれから一時的に大変な時期を迎える。地球を壊すものを壊すという自己破壊だ。近い将来やってくる未来が素晴らしすぎて信じられない人が起こす混乱、自分の抱く夢が大きすぎて圧倒される人々。

 だけど、それも長くは続かない。社会が言い争ってる中、自分だけは平和で豊かでいられる。社会にお金が行き渡るんじゃなく、他人の幸せは自分の幸せだという理解が行き渡る。

 人生は偶然性に翻弄されてはいない。全ては心を成長させるための劇なんだ。ひどい人生を生きる人というのは悪役や不幸な役を演じてるだけだ。そしてやがては劇だと気づいた人から劇をやめて、人生を思い通りにして生きていく。人類が大変な経験をするのは何が本当の自分かを思い出すため、そして他人に思い出させるためだ。



 解釈を変えるんだ。ポジティブに解釈するんだ。

 夢があれば水が湧き、緑は生い茂り、作物は実り、便利な道具は世界中に行き渡る。地球は一つの生き物なんだ」

「ガイア理論ですね」

 アーサーくんは理解した。

「ガイア理論って?」

 ダイアナさんが聞くとアーサーくんは答えた。

「ガイア理論とは地球を一つの生き物とみなす考えである。そこでは一つ一つの生き物は地球という大きな一つの生き物の部分と考えられる」

 フィリップさんは言った。

「地球に分離にはなく地球は1つの生命だという考え方によると、地球人の中に1人でも光に目覚めた人が現れると、それは地球全体の中の一部に光が芽生えたということになる。人間不信に基づいて、「人生はサバイバルだ」という考えは捨てていい。人々はお互いのことを偶然性で何が起こるかわからない危険な要素とみなさなくていい。

 解釈を変えるんだ。そして真に平和な社会を作るんだ」

 それに対してダイアナさんはこう言った。

「でも、私は黒人問題を解決するために働きたいのよ。お金持ちのいいなりになんてなりたくない」

 するとウラジミールさんは、

「それでは私の会社を譲渡しよう。君たちが会社を使って社会のために働くんだ」

「それは天と地の差ね。自分で会社を思い通りにできるなら黒人のために活動できるわ」

「ただし、条件がある。ハーバー大学はちゃんと卒業すること。そして君たち4人で協力しあって経営するんだ。誰一人欠けてもいけない」

「私、やるわ」

 ダイアナさんは決意した。みんなも同意した。

「私も協力しよう」

 アーサーくんも協力を申し出た。アーサーくんとダイアナさんは握手した。

「歴史的和解ね」

 まほろちゃんがそう言うと、舞踏会で話を聴いていた周りの人たちは拍手喝采した。

「よ〜し、そうと分かれば取るべき行動は1つね!」

 ダイアナさんの発言に他の3人は同時に

「うん!」

と頷いた。

 だけど、まほろちゃんは不思議に思った。

「ねぇ、取るべき行動って何なの?」

「そりゃあ黒人問題の解決のために忍者の技の猛特訓よ」

 ダイアナさんの意見をアーサーくんは否定した。

「そうではなく、学問について学ぶのではないのかね?」

アンさんは言った。

「世界中の可愛いもの好きの若者と交流するんじゃないの?」

 キングくんもこう言った。


「世界について学ぶため、世界中を旅するんだろ?」


 みんないろんな意見を言い合って大混乱になった。

「取るべき行動、1つに定まってないわね」

 まほろちゃんは肩をすくめた。


 舞踏会は夜遅くまで盛り上がった。


エピローグにつづく

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