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アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシング: シナリオ・物語編集

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アイデア・プロセッシング:
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Step1: 課題抽出・課題設定
Step2: 情報散策
・情報散策
・本の散策
・本に意見を求める読書
Step3: グループ編集:情報の素材化、分類と階層化
Step4: シナリオ・物語編集
アイデア・プロセッシング用語解説:
・情報素材: 段落などのを単位とする文章で文節、区分けしたテキスト。1枚の画像。1枚の絵。

 これまで集めた「情報素材」を文章化することにより、直感に従って集め、関係性に注目してグループ化したアイデアの素材から、関係の意味や性質を論理的にとらえなおし、矛盾や誤りを見直すことができる。さらに、自身が着目することの理解が深まり、「情報素材」の捉え方を変え、そして文章化に苦労した部分にこそ新しい発想のチャンスがある。


●4-1)「情報素材」を文章にする

・インプット: グループ編集した情報素材
・アウトプット: 文章化した情報素材

 図、絵、テキストを用いて小規模な文と文脈を具体化するフェーズ。シナリオ、物語として記述することにより、アイデアを整理し、アウトプット可能な「情報素材」を生成する。

〇なぜ文章化するのか

 Step3までは、発想を広げるこをと優先してきた。Step4では、「言葉として記述」することにより論理的な矛盾を排除する。

○どこから文章化するのか

 文章化のきっかけは、アイデアやコンセプトの提案、業務提案や論文化、書籍化、もしくはblogへの執筆などの具体的なアウトプットを求めるときだろう。文章化に着手する初端は、それぞれの経験上気になっている具体化の「肝」となる部分、そこを明らかにしておかなければ先に進めないという手がかりから先にとりかかるといい。

○短い文章にまとめる

 Step3でグループ編集した「情報素材」をみなおし、100~200文字程度の文章にまとめる。前後の段落と連携し「起承転結」を意識して文章化する、図や絵を用いる、表を追加するなど工夫するのもいいだろう。

○続いて、文章化に着手するのはどこか

 ある部分について文章化した後、新たな手がかりをもとめるより先に文章化した段落と関係の深い周囲の「情報素材」からとりかかると、次のステップに進むための足がかりができる。

●4-2)アイデア編集

・インプット:文書化した情報素材
・アウトプット: アイデアのクレーム(短文)、ネーム(呼称)

 「情報素材」をもとに、アイデアを形成するフェーズ。背景、テーマ、材料・素材を書き出し、着想を「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で整理して、クレーム(短文)とネーム(呼称)を生成する。

○課題設定

 与えられている課題、Step1で設定した課題をもとに1文で記述

○背景

 課題の置かれている周囲の環境、なぜその課題が設定されたのか、競合相手など

○材料・素材

 利用できる技術・サービス、想定している動作条件、環境条件、プラットフォームなど

○着想

 「課題」「背景」「材料・素材」を並べてみて思いつくアイデアの出発点、手がかり、実現したいイメージなど

○「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で考えてみる

 「着想」を具体化するため「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルで記述してみる。曖昧な部分、欠落箇所は今後の課題であり、とりあえずそのままにしておく。

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の構成要素と特性:
・構成要素: ミクロ、コミュニケーション、ネットワーク、マクロ、メタ・ネットワーク、環境、技術・社会背景
・特性: 多元性・多重所属、フィードバック・ループ、適応・動的特性、可塑性・学習、恒常性・保守性、変異要素

○言葉で表現する

 やりたいことをクレーム(短文)とネーム(呼称)で表現する。


●4-3)コンセプト編集

・インプット:アイデアのクレーム(短文)、ネーム(呼称)
・アウトプット: コンセプトの説明文


 アイデア編集の「クレーム(短文」と「ネーム(呼称)」を起点に、コンセプトを具体化するフェーズ。6W1Hで表現して曖昧な言葉を具体化し、「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で表現してコンセプトを簡単な文章としてまとめる。

○6W1Hで表現する

 コンセプトを6W1Hで表現し、具体化する。

・いつWhen:
・どこでWhere:
・誰がWho:
・誰にWhom:
・何を(する)What:
・なぜWhy:
・どのようにHow:

○曖昧な言葉、キーワードを明確にする

 6W1Hで使用した曖昧な言葉、キーワードのうち曖昧なものを文章で解説する。
  
○派生アイデアメモ

 派生的に思いついた、新しいアイデア、コンセプトのメモを記録しておく。

○コンセプトの具体化

 曖昧なキーワードを、具体的なアルゴリズムや定量表現で定義する。

○「ミクロ・マクロ・ネットワーク」で具体化する

 コンセプトを「ミクロ・マクロ・ネットワーク」モデルで具体化し、チェックする。曖昧な部分、欠落箇所は極力のこさず、必要ならば課題として明記する。

「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の構成要素と特性:
・構成要素: ミクロ、コミュニケーション、ネットワーク、マクロ、メタ・ネットワーク、環境、技術・社会背景
・特性: 多元性・多重所属、フィードバック・ループ、適応・動的特性、自省作用・創造作用、可塑性・学習、恒常性・保守性、変異要素

○コンセプトを簡単な文章で表現する。

 技術やビジネスの具体化につなげられるよう、コンセプトを簡潔な文章で表現する。

 本書がターゲットとするのはアイデアを創出し、コンセプトとして具体化する「コンセプト編集」までだ。たしかに、新しいコンセプトを生み出すことは、全行程のほんの数パーセントにすぎない。技術の具体化、商品化、商品販売のために、周囲を巻き込み、予算と人員を確保してプロジェクトを推進するという大きな海原がこれから先に控えている。それでも、霧の中で航海するには舵取りもままならない、数十年先の未来に羅針盤を向けとて現在のコンセプトを見定めることが肝要なのだ。

 この後、アイデア・プロセッシングの具体例として、1990年代から現代までと、現代から30年後の未来を読み解くサンプルを例示していく。

参考書籍:
[1] 川喜多二郎, "発想法 -- 創造性開発のために --", 中央公論新社, 1976(改)
[2] 梅棹忠夫(1969), "知的生産の技術", 岩波書店
[3] 外山滋比古(1986), "思考の整理学", 筑摩書房
[4] 松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫






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