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アイデアを紡ぐアイデア・プロセッシング:課題抽出と情報散策

 ここから、5回にわたって、アイデア・プロセッシング実施方法について解説する。


アイデア・プロセッシング:
Step1: 課題抽出・課題設定
Step2: 情報散策
・情報散策

・本の散策
・本に意見を求める読書
Step3: グループ編集、離合集散、分類と階層化
Step4: シナリオ・物語編集
アイデア・プロセッシング用語解説:
・ノート: ノートツール
・ページ: ノートツール上のページ、分類の単位
・階層構造: アウトライン構造、分類を階層的に表示
・情報素材: 段落などのを単位とする文章で文節、区分けしたテキスト。1枚の画像。1枚の絵。
・1行見出し: グループ、情報素材、分類を1文で表現したタイトル。
 ※「内容」の意味のエッセンスをとらえて圧縮し、できるだけ柔らかい言葉で表現する、過度に抽象化しないこと。
・内容: 「1行見出し」に配置した「情報素材」群
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 「課題」を自身で設定する場合には、今何を優先して考えるべきか、日ごろ気になっていることなど、問題を整理することから始まる。すでに「課題」が与えられている場合でも、さらにブレークダウンするための「課題」の見直しが必要となる。

●Step1: 課題抽出・課題設定

 ⇒アウトプット:課題

 創造的に「課題」を設定するフェーズ。「何か問題を感じる」ことを始点として、「課題候補」を書き出し、編集して「仮課題」を設定し、最後に上位課題がないかを確認した後に「課題」を設定する。

〇直感的に「感じる」ことを探す

 本書における「課題設定」は、未来を読み解くためのとっかかりとなるスタート地点を決めることだ。例えば、「情報資本主義が現代の資本主義に置き換わる時代の職業について考える」という課題を設定するときに、この段階で、なぜそれを解決しなければならないのかといった問題解決型の理由を掘り下げて問う必要はない。直感的に何かを解決したいと「感じる」ことに重点をおく

○課題抽出・課題設定の進め方

1)「なにか問題を感じる」ことが始点となる
 「感じている」ことにヒントがあり、課題探索のためにその「感性」を使って情報を散策して、何かを「感じた」こと、それに関係がありそうな「課題候補」を収集する。

2)課題候補を書き出す
 「1行見出し」+「内容」を1セットとして、1ページ内に書きだす。

3)課題候補を編集して「仮課題」を設定する
 ・列挙した「課題候補」の関係図(テキスト、図、絵)をつくり、「仮課題」を設定する
 ・「課題候補」の編集が複雑な場合にはStep3の方法を適用する。

4)設定した「仮課題」の上位課題を確認する⇒「課題設定」
 「仮課題」の上位課題を確認し、適切な「課題」を設定する。
  ex. レンガを積む→壁を作る→大聖堂を作る

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 常にアンテナを張りながら情報収集するための「情報散策」が、新しいアイデアやコンセプトを具体化するための下地となる。まずは、メモやノートに整理する、本の散策をする習慣づくりが必要となる。

●Step2: 情報散策

⇒アウトプット: 情報素材

 情報を散策して、「情報素材」を生成するフェーズ。書籍などの情報を散策し、メモ・書籍などから情報を収集、文節・区分けして「情報素材」を生成する

○閃き!のメモを習慣化する

 ヒトは普段から考えている課題や問題への対処について、頻繁に閃いたり気がついたりを繰り返しているが、すぐに活用できないイメージは言葉にする前に消えてしまう。限られた脳の容量を有効活用するための能力だが、メモに外部記憶する習慣はアブダクション(仮説推論)を活用する機会を大幅に増やす

 スマホの「メモアプリ」を利用して、いつでも(人と話しているとき、業務中、目覚めた時、散歩時、読書時、テレビを見ている時など)、気になったこと、思いついたことをメモに記録する。メモの種類はテキストだけではない、音声、写真、手書きの絵など、その発想にあった楽な手段を使えばいい。

 メモに記録するメリットは、すぐに忘れるられるということだ。書いたメモは、時間をおいて、その日のうちにノートに書き写す。この時に、すばらしいと思っていたメモが大した意味を持たないこともある、それならそれで捨ててしまってもいいし、とりあえず書きとめておいてもいい。

 メモを記録する際には、後で役に立つかどうか、誤字や文章化を意識せずとりあえず放り込んでおく。筆者は、スマホの音声認識を使って片手で操作し、文字を確認することなくOneNoteで即座にパソコンと共有している。なるべくメモの手間を減らして、習慣化することだ。

○ノートに「情報素材」を収集する

  設定した課題に関係あるかもしれない情報を多面的な角度から、なんとなく関心をひくもの、直感でピンとくるものを、新しい発想を広げるように拡散的に、また広げた発想を補強するように情報を散策して収集して、「情報素材」としてノートに記録する。

■ノートに収集する「情報素材」例:

 ・メモ
 ・書籍、Webページなどからの切り貼り、要約
  ⇒「本の散策」については後述
 ・自分の意見、気づき、アイデアなど
 ・後から検討したいテーマ

■ノートへの記録方法:
 1ページを分類の単位とし、ページ内に「情報素材」を記録する。

1)ページ作成
 新しくページを作成して記入。分類の粒度にこだわらず作成する。
 ⇒「1行見出し、概要、内容」を1セットで記入

2)ページ内への記入
 すでに作成してあるページ内に記入
 ⇒「1行見出し、概要、内容」を1セットで記入

3)「情報素材」の記入要領
・情報収集の段階では、ページ・ページ内の階層・分類にこだわらず適当に配置する。
・文字数を特に気にする必要はない。⇒本数ページスクラップでもOK
・後から考えたいと思うテーマは、「ページ」に「1行見出し」だけをつけて作成しておく。
自分の意見、アイデアなどは末尾に(自)などのタグを付け、後から区別・検索できるようにする
情報素材の文節化・区分けする
 後から編集しやすいよう、段落などの意味のある情報素材を単位として、文節化・区分けする。

参考書籍:
[1] 川喜多二郎, "発想法 -- 創造性開発のために --", 中央公論新社, 1976(改)
[2] 梅棹忠夫(1969), "知的生産の技術", 岩波書店
[3] 外山滋比古(1986), "思考の整理学", 筑摩書房
[4] 松岡正剛(2001), "知の編集工学", 朝日文庫





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