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計画されている未来サービス2050

計画されている未来サービスの例を示し、それがもたらす変化を概観する。

4.1 計画されている未来のコンセプト
・実世界と虚像が共進化する世界:ミラーワールド
・ 計画されている未来サービス2050
・ミラーワールドをけん引するメディア:スマートグラス

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 ヒト、クルマ、ロボット、都市、工場、家、家電、家具、産業(交通・クルマ、輸送・物流、金融、製造、医療、不動産・建設、小売、エネルギー、農林水産業)がミラーワールドに組み込まれていく。計画されている未来サービスの例を示し、それがもたらす変化を概観する。

ミラーワールド小2

         ミラーワールドとサービスネットワーク

●スマートシティ

 スマートシティはトヨタが静岡で実験都市を建設するなど、すでに具体化が進みつつある。今、スマートシティは人流や交通流をデジタル化し、サービスネットワークにフィードバックして動的適応し続ける未来サービスの提供を目指す。

                         Toyota: Woven Cityイメージビデオ


○人流・交通流をリアルタイムにフィードバックする

 都市の建物や道路の上でヒト、クルマ、ロボットが移動し、ヒトの購入、観覧などの行動が常にモニタリングされる。リアルタイムの移動・行動、環境変化を把握し、次の移動先を予測して、店舗、ヒト、モノにフィードバックする。

街:
・熱環境変化と人流に合わせて、快適性(風、日陰、放水など)をコントロール

店舗:
・冷暖房の効率化
・顧客の誘導、接客準備、商品のレコメンド
・店舗への「いいね!」、需要予測

ヒト:
・ウェアラブルデバイスとの連携で、ヒトの興味や体調似合わせて、店舗紹介、喫茶店での休息、自販機、図書館、涼しい場所などをレコメンド

クルマ:
・ヒト、クルマの流量に合わせて、信号制御、制限速度を動的に変更
・イベント地域、車線数、車道と歩道を動的に変更

広告:
・デジタルサイネージ、掲示板での広告・情報提供

○環境情報をもとに快適性をコントロールする

・街の環境情報(をもとに): 大気質、CO2排出量、熱環境(土地の機構、気温、湿度、気流、熱放射、地表面温度など)
・快適性コントロール: 風、日陰、放水、植物・断熱材・熱伝導などを設置・制御
・交通制御: 交通流の制限、迂回路の案内

○移動手段を連携する

・自宅から目的地までの移動手段をつなげる
 無人バス・タクシー、シェアリングカー、レンタカー、既存の交通手段を連携・連動して、自宅付近に呼び出し、目的地まで効率の良い移動を提案、予約 
⇒クルマの個人所有を減少

○都市情報把握、シミュレーションにより都市をマネジメントする

・生活と都市環境での人流、交通流を観測し都市計画、観光戦略に反映
・物流の効率化

○災害に備える

・災害対策の事前シミュレーション
・災害時の動的状況をフィードバックし、避難誘導

○複数の都市で分業する

 隣接する異質な都市インタフェースの正規化・標準化によりネットワーク接続し、生活、教育、仕事、娯楽、研究を連携

分業都市の例:
・コンパクトシティ(行政や学校も含めた生活環境をコンパクトに近接)
・研究、ベンチャー企業などのクリエイティブ・クラスター
・巨大生産拠点
・自然や季候など快適性を重視した都市
・娯楽・テーマパーク など


●スマートファーム

 スマートファームは、労働力をロボットに代え、環境情報や農作物・畜産物の状況をリアルタイムに把握し、農作業にフィードバックする遠隔管理システムを構築しつつある。さらに、作物の育成から宅配までの一貫したサプライチェーン・コントロールを目指す。

○大規模植物工場をロボットで遠隔運用する

・ロボット工場ネットワーク:
 ネットワークでつながりあった規格化された屋内外ロボット工場でプロのノウハウと育成データを分析・共用して誰でも無農薬で熟して、味が良く、栄養豊富な作物を育成


・遠隔コントロール:
 ドローン、ロボットで遠隔監視、遠隔制御で、栄養、環境(温度、湿度、炭酸ガス)、土壌(灌水、栄養、菌)、病気、作物の播種、移植、収穫、出荷調整まで一貫して管理


・流通・調理の連携:
 食材宅配、ロボット調理器、プロのレシピと連携して流通から調理完成までの流れを連結


・ノウハウ共有ネットワーク:
 さらにノウハウ共有ネットが発展すると、環境条件に合わせて最適な飼育方法を調整する最適条件コントロール、絵を描くように品種改良


●ロボットへの分業

 今後、AIの名のもとにさまざまなサイズのロボットが陸海空そして体内まで進出、ヒトの一部や全部のルーティーンを学習、代替してサポートし、労働人口の減少、高齢化する社会を支えるインフラとなっていく。

メルティン

          メルティンMMI (https://www.meltin.jp/news/168/)

・パーソナル・ワークボット:
 - 個人用の安価な作業ロボット
 - 農作業、安価な試作・製造、ロボットとの共同作業


・ウェアラブル・ロボット:
 - スポーツコーチング、eスポーツ
 - 高齢者、障がい者サポート、義手・義足、搬送支援、自動走行車椅子


・サポート:
 - 介護、家政婦、医療(手術、遠隔手術)


・ナノ・ロボット:
 - 体内で健康状態を監視・記録、遠隔診断、体内回診、予兆医療、緊急通知


・遠隔分身ロボット:
 - 海外旅行、遠隔勤務、遠隔作業、宇宙・深海作業、病院から通学

 計画されている未来サービスの一例を列挙した。スマートシティ、スマートファーム、スマートファクトリー、スマートオフィス、スマートホームなどの各分野において、ヒトの活動をロボットやサービスに分業し、その利用履歴を収集、分析・解析してサービスにフィードバックする情報循環、動的適応制御が、今後の共通する傾向となってゆく。

参考書籍:
[1] ケヴィン・ケリー(2019), "Mirror World :デジタルツインへようこそ", 松島倫明訳, Wired, Vol.33
 参考:https://wired.jp/special/2019/mirrorworld-next-big-platform/
[2] 川口信明(2020), "2060 未来創造の白地図 :人類史上最高にエキサイティングな冒険が始まる", 技術評論社


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