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【閑話】「脈動する宇宙」を「ミクロ・マクロ・ネットワーク」の視点で読み解く

 無限の多元宇宙(マルチバース)の中で138億年間続いたこの宇宙は、4つの相互作用の絶妙なバランスにより、停滞・霧散することなく複雑化しながら新たな構造をつくり続ける。

●ミクロ・マクロな宇宙のネットワーク

 陽子(+)と電子(-)が出合ってゼロにならず、水素をつくるだけでは終わらず、中性子を介して反発する複数の陽子をつなぎとめ、弾け散り、集まり、燃え、新たな元素を生成し、爆発し、さらに多くの元素をまき散らし、恒星を、惑星をつくり、ブラックホールとなり、銀河を銀河団の誕生と死と再生を繰り返す。安定することのない宇宙環境と、それに適応して均衡状態のバランスを探りながら新たな構造をつくり、永遠の均衡が存在しないがゆえに新たな均衡を模索し続ける。

 本書は、複雑系の過去・現在・未来を「ミクロ・マクロ・ネットワーク」というモデルを通して、物語として読み解く。宇宙環境の変化への元素の適応をミクロ・マクロ・ネットワークの視点から整理すると3つの仕組みとして俯瞰できる。

【宇宙環境適応の仕組み】

 ①ネットワーク適応:
  ③の相互作用の安定する均衡状態(ex.元素、恒星)をさぐる仕組み。
 ②ネットワーク構造の記憶・維持:
  均衡状態(ex.元素)を記憶し保持しようとする仕組み。
 ③ミクロ・マクロ相互作用:
  ①②で構築された均衡状態を構成単位(ex. 元素、恒星)とした、構成単位毎および宇宙環境との相互作用。

ミクロ・マクロ・ネットワーク(宇宙)

 宇宙の専門家ではない読者が、ビッグバンから銀河・惑星誕生までの仕組みを読み解くとき、宇宙の環境変化に対して、どのような相互作用が働き、どのようなエネルギーなどの均衡=安定状態をとり、またその状態はどのような環境において安定・不安定であるかという視点で探ると、様々な宇宙論の中からバランスの良いものを選び、理解し、物語を組みたてることができる。次々に浮かぶ疑問をそのまま放置しておかないことが肝心だ。調べてみると、それが以外と今ホットな話題だったりする。そして、誰か一人の言だけを信じず、なにかを直感したら、なぜそう思うのかをネットや他の書籍を散策して確認することだ。

例えば、
・電子はなぜ原子核の引力によって原子核に落ちないのか
・超新星爆発の際に恒星内でつくられた元素は破壊されてないのか
・地球にはなぜこれほど多くの元素が存在するのか。その存在比は宇宙において一定のものなのか
・生命が誕生するために適切な元素比はあるのか、あるとしたらなぜそれが地球に集まったのか
・60億年前に始まった宇宙の加速膨張と、46億年前の地球や生命誕生との関係は

 元素というプラットフォームを得て、地球という惑星をつくった宇宙は、地球を実験場として新たな相互作用を創造しながらメタな構造を次々とを組み立てていくことになる。


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