存続のためのコミュニケーション
コミュニケーションが人類の在り方に重要な役割を果たすことは、考古学的にも研究が成されている。仮説レベルではあるが、ネアンデルタールとホモサピエンスの現在を考える上で興味深い。化石分析から、ホモサピエンスはネアンデルタールに比べて「のどぼとけ」が口から遠い位置にあったことが解っている。
気道が長くなることで「あいう」の3母音を獲得することが出来、地球の大変動を生き延びる過程で、仲間同士で安全や危険を「言葉」で共有できることになった。即ち、自律機能による利己主義から、他律機能による利他主義を獲得することが出来た。会話による意思疎通がホモサピエンスの仲間の一体感を生み、地球拡散を可能とした。これが、現在の就職時の指標として、コミュニケーション能力が必要と考えられている根幹にあるのだろう。
しかし、学ぶことを続けない者どうしのコミュニケーションは何を生み出すのか。旧態依然の状況を絶対視し、自らに茎進化を発生させず、また、他者との冠進化も生じさせない。コミュニケーションは他者の文化、価値観の差異に興味や関心を持ち、それらと柔軟に融合し、お互いに育て合う関係を求める者同士において次世代へのトリガとなるのである。学び続けない者同士の集合においては何の役割を持たないのだ。