見出し画像

良品は高価のはず

「良品廉価こそ我が国のものづくりのあるべき姿だ!」と、未だに価格競争こそ世界に向けた戦術であると某所で為政者が胸を張る。廉価で良品を作れる手品のタネが日本にある。第二次大戦後、西欧諸国から様々な技術を学び、そしてそれを真似てきたこと。自動車もテレビもその原型を海外から持ち込み、それを改良していった。

改良の過程において、日本が得意とする丁寧なモノづくり、利用者が不具合を感じることなく使うことが出来るモノづくりに挑戦しながら良品廉価を実現し続けていることは驚嘆に値する。それこそが良品廉価の手品のタネなのである。即ち、最も時間が掛かり形にするのにお金も掛かる「要素技術の研究をしていない」ことがタネである。基礎研究にお金も時間も掛けていないからこそ、その分、廉価で社会に提供できるのだ。

現在それに挑戦されているのは素材分野であろう。世界の半導体の進化を支える素材開発の基礎研究にしのぎを削り世界の第一線に立ち続けている企業の皆様には頭が下がる。そうなのだが、それでは素材の新たな使い道を発想していらっしゃるか?世界のロードマップに乗って開発を継続している状態にある。明確なビジョンは、使って頂けたことによってもたらされる笑顔からの研究を実現させるから、「使い道に困る製品製造」とはならない。「売れる」ゴール設定が明確であるから挑戦できているとも言える。未来への投資は苦しいが、それを成し続けなければ明日はやってこない。公的資金頼みの体質から脱却しない限り、一流国とはなり得ないのだ。