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QOLとCo-Being

その昔、大学院の技術経営コースに参加した際、QOLという言葉そのものが議論となった。それはお一人の大教授の「QOLを向上させるための何々」という研究テーマ設定に対して、お一人の大教授が「QOLは割合を示す言葉そのものなのだから、それは定量的に決定していることであって、向上するものでは無い」という、大教授同士の戦いらしく終わりのない言い合いに終わった。自分らしさを発揮しているという状態であれば、高いQOLを獲得している状態となるのかもしれない。学会のようなものまであり、立ち入りたくはないが、WHOが1994年に定義した「一個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」という考え方には賛同するところがある。一個人の人生の状況に対する認識と言う、極めて主観的に捉える点をユニークと感じた。一人のビジョンを考える起点と捉えても良いと考えた。

共鳴できるビジョンを考える上で、共鳴させたい者、即ちペルソナが何をもって幸せな状態と考えるのか、何を大切にしているのかを考える上で、QOLを考えることは、少なくともWell-Beingな状態に導くためのビジョン設定においては間違いではないと判断する。Activity of Daily Lifeなどではない、自らの精神的満足度が高いことを前提としなければ、他律機能を最大限に発揮できる状態にあるとは言えない。自社を経営していくうえで必要な技術(サービスや場も含む)を構築していくためには、その技術によって新たな他律機能を獲得しているCo-Beingの状態を、ペルソナに獲得させるという思考が必要である。ビジネスモデルを喚起された消費者ニーズの掘り起こしから、自発的に成し遂げたいニーズの喚起に転換していくことは、正に、各人の精神的満足度を高める技術経営への転換と言える。