見出し画像

入管ってどんなところ?①

はじめに

はじめまして、元入国管理局職員のユノです。
私は約4年間、地方入国管理局で入国警備官、
及び併任入国審査官として、入国管理局に勤めていました。

入管ってなにするところか、知っていますか?

ニュースだけ見ていると、理由もなく外国人を収容して、
送還している悪逆非道の組織、に見えてきませんか?

本当にそうでしょうか?

初めに断っておきますが、私は入管の味方ではありません。
しかし、外国人全ての味方でもありません。
特に、日本人の味方でもありません。

法律を守り正規に滞在する、外国人の味方です。

入管解体と叫ぶ団体はいますが、入管ってなくてもいいの?
なんのためにビザを取り上げ、強制送還をしているのか?

私のスタンスとして「入管は必要」だと考えています。
一方で、改善すべき点があることも事実です。

ウィシュマさんの死亡事件の背景や、
世界と比べたときの難民認定率の低さの裏にあるもの、
入管法改悪ってなんのことなのか、
収容施設の実態、懲罰房とはなんなのか、
強制送還とはどのように行われるのか

このnoteでは、そうしたものを書いていきたいと思っています。
もちろん、守秘義務なんかもありますので、注意しながら。

入管ってなにするところ?

国際法ってご存知ですか?
要は明文化されてはいないけど、
世界ってそうだよねーっていう決まり(慣習法)や、
わかりやすいのは国家間で結ばれた条約なんかを指します。

つまり、
いてほしい人にいてもらい。
いてほしくない人には出て行ってもらう。

これは全ての国が持っている権利なんです。

そうですよね。
きっと都市国家が成立するはるか昔から、
好ましい人間が滞在でき、好ましくない人間は追放されてきた、
それが人間社会です。

ファンタジー世界でも、旅すれば兵士に門前払いされ
居所不明の主人公は入国に苦労し、協力者に馬車に隠れたりして、
ストーリーは進んでいきます。

「好ましい人には住んでもらう」
「好ましくない人は出て行ってもらう」

国際法上認められた、国の主権を実行しているのが入管という組織です。
ここを否定する人々はおそらく

「私が思う、好ましい人には住んでもらう」
「私が思う、好ましくない人は出て行ってもらう」

という特殊な思考をお持ちの方だと思います。
入管を動かす原則は、国の主権にほかなりませんので、
入管が好き勝手に追放しているわけではないと、
ご理解いただければと思います。

どんな人が働いているの?

入管で働いている人々は、国家公務員試験に合格した、国家公務員です。
職種は、たいてい、以下の二種類です。

・入国審査官

・入国警備官

審査官はいわゆるノンキャリアの国家公務員。
試験に合格して、官庁訪問して、っていうアレ。

入国警備官は、入国警備官採用試験という23歳以下なら、
誰でも受けられる試験に合格すれば、上から順に採用されます。

難易度でいうと、刑務官相当。そんな難しい試験ではありません。
しかし就職難のご時世なので、難関大学の同期も多数いらっしゃいました。
W大学とか。D大学とか。

私はそんな入国警備官採用試験に合格して、
入国警備官として採用されました。

入国審査官は、そこらへんの大卒の公務員志向の人が目指せばなれますし、
入国警備官は、高校さえ出てちゃんと勉強すればなれます。

つまり、たいして特殊な思考や経歴の持ち主が集まる組織ではありません。
ましては外国人スーパー嫌い軍団というわけでもありません。

なんだか世間にはそんなイメージを持たれている気がしますが、
試験に合格し、法律を学んだ普通の日本人の若者が働いている組織です。

県庁と警察が合体したようなものと考えてもらっていいともいます。

で、なにしてるの?

入国審査官というと、空港でスタンプ押す人のイメージだと思います。
……いまはスタンプも押さないので、審査場にいるただの無愛想な人。

入国警備官というと、なんか……セコム?空港の見回りでもしてるの?

という印象を持たれがちです。

入国審査官の仕事
・出入国審査 空港や海港で人の出入りを審査する
・在留審査 国内に在留している外国人を審査する
・違反審査 退去強制事由に該当するかの審査
・難民認定 難民認定手続き

入国警備官の仕事
・違反調査 情報収集、調査、いわゆる取り調べ
・摘発 いわゆるガサ入れ、収容令書(主任審査官発行による)発付
・収容 送還までに一時的収容
・送還 退去強制令書発付、護送

上記を見てもわかる通り、日本人はあまりかかわりがありません。
まさに、スタンプを押すときくらい。
仕事の詳細は、それぞれ別記事で書いていこうと思います。

おわりに

冒頭申し上げたとおり、私は入国警備官として採用されました。
また、入国警備官であっても、審査官を併任することがあり、
併任審査官として、在留審査にも2年ほど携わっていました。

そのため、たいていの在留資格のことや、
どうやって審査が行われるのか、入管が何をチェックしているのか、
強制送還(=退去強制)ってどのように判断され、どう行われるのか?

こうしたものをよく理解しています。
また、入管を出て10年近く経ちますので、外から見た入管という組織も、
これまたよくわかってきました。

入管を正しく理解してもらい、あるべき姿にしていきながら
日本社会が正しく、外国人と向き合える世界を望んでいます。

現在私は、人材会社の社員として、外国人労働者を、正しく広く、
日本の企業に受け入れていただくためのお手伝いをしています。

興味を持った方は連絡いただければ、入管について、在留資格について、
何でもお話ができますので、ぜひご連絡ください。
よろしくお願いいたします。

元入国管理局職員 ユノ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?