白線

先の声が、誰かの声ばかりがずっと木霊している
いつからこのホームで待っているのか
多くの電車がやってきてそして去っていった

電車に乗るひとびとの顔はみないちようにひたむきで
発車ベルが鳴るとわたくしはただ煮え立ち
扉が閉まると無機質な床がのこされた

海へ行きたかった。
わたくしは線路を中途半端に歩いた
海への電車は乗れなかった。
握り締めた紙切れはもはや白くもなく
紙切れが破れるのが先か
書き込める余地はまだあるのか?

(明るい水に沈むとやさしく背中を押された
あまりにも陽が眩しいのでこぼれるように泣いた)

いずれ来るこのホームへ別れを告げるとき
どちらにしたって白線は越えなければならないのだ
やたらコントラストを主張するその白線
わたくしは瞑目してかもめを夢見る

白線を ふみこえられず 昼の夢


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