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自前のコートを元に10カテゴリーに拡大。大分『NFC.OITA』さんの実例をもとに考える、スポーツクラブを発展させる方法

大分に、トップチームの他に、U-23、U-18、U-12スクール、女子、さらに下部やエンジョイ3チーム、ビーチサッカーも入れて、実に「10チーム」を擁するフットサルクラブがある。

『NFC.OITA』だ。

県リーグ1部NFC.OITA
県リーグ2部NFC.OITA U23
県リーグ3部モンスト
県リーグ4部モズク
県リーグ3部U18
Enjoyポップス
九州女子フットサルリーグNFC.OITA RAZO
U12スクール
NODA FUTSALCLUB BEACH

女子トップチームが全国3位に輝いた『NFC.OITA RAZO』のチームが"増える"ワケ

その女子のトップチームである『NFC.OITA RAZO』が2022年3月、『第9回FUTSAL地域女子チャンピオンズリーグ Powered by LINE WORKS』で、チーム初となる全国3位に輝いた。

▼ FUTSAL地域女子チャンピオンズリーグ 試合日程・結果

Fリーグクラブをも凌ぐ10チーム・・・。何故、そこまでチーム(カテゴリー)数を増やすことができるのか―。

代表を務める姫野 真智代さんに、その"秘訣"を聞いてみた。

「15年前にフットサルコートをつくった」ことがすべての始まり。そこから「コート経営のために」スクールを立ち上げ、そこで育った子どもたちがいま、「トップチーム」「U-23」「女子チーム」に所属・活躍しているという。

『モンスト』や『モズク』は、その子どもたちの保護者チームだそうだ。

「辞める選手が少ない」「チーム数が増えていく」「東京に就職した子たちも帰ってくる」という理由のひとつは、チーム運営で大きな経費となる『コート代』が、ここでは"かからない"ということだろう。

フットサルコートの名前は『野田フットサルセンター』。頭文字を取った『NFC』がチーム名にもなっている。

メンバーであれば、コート使用料はなんと『無料』。月謝もU-12スクールが2,000円。社会人チームも、リーグへの登録料、スポーツ保険などを含め年間で2万円。ユニフォームやアップ着代も、姫野代表がスポンサーを獲得してくれているため、かからないという。

選手たちにとって、費用面から言えば『天国』のようなフットサル環境が『NFC』には、ある。

大分県フットサルリーグを見て、フットサルコートをつくることを即決

しかし、そもそも、姫野さんが『フットサルコート』をつくろうと思ったキッカケは何だったのだろう・・・?

キッカケは、息子たちのサッカーのコーチが出場している『大分県フットサルリーグ』を観に行ったことだった。

サッカーは知っていたし、観ていたが、それでもフットサルの『スピーディーな展開』に感動した。そして、すぐに、『フットサルコートをつくる』ことを決めたという。

息子2人、娘2人も全員、サッカーをしていたこともあり、迷いはなかった。

次女は今回の『FUTSAL地域女子チャンピオンズリーグ』に選手として参加。次男で末っ子の姫野 宥弥選手はいま、Jリーガーとして活躍中でもある。

「お金をお持ちだったんですね?」と下世話な質問もぶつけてみたが、必ずしもそうではなかったようだ。

そして、それは選手たちがこのクラブに"居続ける"、『活動費』以上の理由になっているのかもしれない。

ローンを完済しても営利に走らない。モチベーションの原動力は・・・?

姫野さんは「家がもう1軒建てられる」という『フットサルコート』を、借金をして建てた。

ローンの返済が終わっても、フットサルコートからの収入が大きくアップすることは無さそうだ。

何故なら『NFC.OITA』10チームの練習だけでも(コートの予約の)枠が埋まってしまうし、コートの『一般開放』もしていないというからだ。

4人のサッカー少年・サッカー少女を育て上げた姫野さんだからこそ「親心も十分わかるのでね。月謝を安くしてあげた方がいいかなという気持ちになってしまう」と言って、姫野夫妻は、年々体が動かなくなっていく今も、営利に走らず、『共働き』を続けながら、フットサルコート、フットサルチームの切り盛りを続けている。

その"モチベーション"は、どこから来るのだろう―?

「みんなのおかげ」

姫野 真智代さんは言う。

「みんなが集まってくれる」「楽しく蹴ってもらう」ことに喜びを感じる・・・と―。

端から見ると、『与えている』のは姫野さんのように思えるのだが・・・「これがなければ単なる何もないおばあさんになっていく」「みんなのおかげで私、頑張れてるんですよね」と、選手たちに、姫野さんは感謝の言葉を重ねていく。

そんな姫野さんには「夢で終わる夢はある」という。それは「屋内フットサルコートをつくること」。

屋外人工芝では、"雨天"の練習は厳しくなる。

また、本来『フットサル』は『屋内コート』で行うもの。月に1回は『屋内コート』での練習も行うと言うが、『自前の屋内コートがあれば・・・』という想いは募る―。

「続けることができて、あと5年」と、体力の限界が近づいていることを感じているという姫野さんだが、息子さんらも帰ってきて『指導者』の道を考えていると言う。

もう1軒、『みんなが集まる』(屋根付きの)"家"が建つ可能性は、どうやら"ゼロ"では、なさそうだ―。

文=フットサルタイムズ・北谷 仁治

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