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Barで炭酸水を飲む

友人から、とあるBarでライブをするので、都合が合えばとお誘いの連絡が来た。
もっさりも一緒にと誘ってくれたのだが、もっさりは出張中。
ちょうど予定もあいていたので、1人でそのBarに行くことにした。
(若い頃はお酒が飲めなくてもBarの雰囲気が好きで行ったりもしていた。)

Google mapを頼りに、目的のBarを目指す。
お店の前に着いたのに、絶対ここで合ってるのに、そのお店らしき看板がない…。
まさかの迷子?と思ったら、小粋な料理屋の前に黒板が出ている。

『Bar〇〇へはお店に入って中の階段を3階へお上がりください。』

そういうスタイルね。はいはい。

階段を上がり3階に着くと、がっしりと大きな木のドア。重そうだなぁ…押すのか、引くのか、どっちだ?とガタガタしていると、まさかの横開きの引き戸。
横開きかーい!っと突っ込みそうになった。

店内に入ると、カウンター越しにマスターが立っていて、目が合ったのに無言。
いらっしゃいませもない。
パッと見たところ、ステージもあり、座席はライブ仕様に並べ替えられている。

そのまま立っていると
「どこでも好きな席へ。」
と。
今日、ライブで合ってますよね?何故、何も言わない?

「ライブでお越しですか?お好きな席にどうぞ。」
とか。

カウンターに座るとメニューを渡されたが、私は下戸だ。速攻でソフトドリンクの欄へ。

烏龍茶、ジンジャーエール、ぶどうジュース、オレンジジュース

ぶどうジュースが飲みたい。

しかし現在私は絶賛マウスピース矯正中。
そして今日は迂闊にもマウスピースを外すためのリムーバーを忘れてしまった。
(今週から歯にアタッチメントを付けたので、リムーバーが無いとマウスピースが外せない。しかも外すのに3〜4分はかかる。)

詳しくはこちら↓

ということで、お茶やジュースは飲めない。
となると、飲めるのは水か炭酸水のみ。
流石に水では味気ないので、炭酸水を頼む事にする。しかしメニューに炭酸水は載っていない。

無口で無愛想で強面なマスターに恐る恐る話しかける。
「すみません。炭酸水だけって言うのはありますか?」
「サイダーだけ?サイダーだけですか?」
「はい。」(恐縮しながら)
「あります。」
と少し怪訝そうな様子。

まぁしかし、無事にサイダーをゲット。
サイダーと一緒におつまみの小鉢が出てきた。
食べ物を粗末にしてはならない。
でも、マウスピースを着けているので食べられない。

また恐る恐る話しかける。
「すみません。食べられないので下げてください。お代金はそのままで結構ですので。」
と下げてもらう。
少し嫌な顔をされたように見えた。

申し訳ないと思っていますよ。
Barに1人で音楽を聴きに来たのに、お酒も頼まず、おつまみも拒否。なんやねんこいつと思われても仕方ないです。
でもね、これにはカクカクシカジカ諸事情があるのですよ。

しかしそんな諸事情をベラベラ喋るのもおかしいので、変な人と思われたまま耐える。

と、カップルが入って来た。
マスターはまた案内しない。
「あのー〇〇さんの知り合いで、来たんですけど。」
女性がそういうと
「みんなそうですから。」
それだけ?!
全員〇〇さんの知り合い?いや、違うよね。と心の中で思う。

「どこに座ったら良いですか?」
「どこでも好きなところへ。」

カップルは暫く立ったままでどうするかオロオロしていた。

このマスターはなんなんだ。
人間嫌い?喋るの嫌い?

オ酒ト音楽ガスキダカラ 系の人なのだろうか。
兎に角、静かに座って音楽聴いて、無言でお酒を飲めってタイプなのか。
この人はそういうお店が好きなのだろう。
そういうのが格好いいと思っているのだろう。
でも、案内しない事と無言でいる事はまた別の話ではないか。

炭酸水はペリエが出て来るかと思ったら、能勢酒造!
なんか嬉しい。

瓶のデザインがダリ作のチュパチャプスの包み紙みたいで可愛い

カウンターに座り、美味しい氷で飲む炭酸水は炭酸水とは思えないほど何故か美味しい。
家で飲む炭酸水とは別物だ。
能勢の炭酸水だから美味しいのかも知れないが、これはきっと場所と雰囲気が大きく関係している。
コンタクトを入れ、お化粧をして、お気に入りの服を着て、薄暗い照明のもと1人スツールに腰掛けて飲んでいる。

家ではズリ落ち気味のメガネを気にもせず、ノーメイクにタンクトップ姿で立ったまま飲む。

たまにはこう言う時間も必要だ。
思っているのか、思おうとしているのか私にも分からない。


友人は高校の同級生。
いつの日からかボサノヴァに魅せられ、歌を歌い始め、ポルトガル語も習い始めた。
それでいてフルタイムで仕事をし、3人の子育てもしている。
どこにそんな時間があるのだ?
私と違う時間軸で生活しているのかと疑いたくなる。

友人のライブを観るのは久しぶり。

今回は松田聖子、松任谷由美、大貫妙子、オリジナルラブの曲や童謡をボサノヴァ風にアレンジ。
スタンダードなボサノヴァナンバーもあったが、最後はなんと、バウンディの曲。
バラエティに富んでいた。

優しい声に癒され、途中で眠気が襲って来た。

休憩を挟み再びライブが始まると、マスターから
「ワンステージワンドリンクでお願いします。」
と声をかけられた。そう言うことは話してくるんですね。
ライブポスターの隅っこの方に1ステージ1ドリンクと書いてあったが、これは2回公演の場合だと思っていた…。
休憩を挟んだら2ステージと言う仕組みらしい。

「じゃあ同じもので。」
(私はこれしか飲めないからね。)

2本目の炭酸水がやって来た。
よく冷えていたし、グラスも新しいものに取り替えてくれたが、1本目程の感動はない。

ライブが終了し、友人との歓談を終えてお会計。

4,300円也。
ライブ代が2,800円、200mlの炭酸水1本あたり750円。
(テーブルチャージがあったかも知れない)

いい時間が過ごせたのだから、それ自体に不満はない。ライブ代が3500円だと思えば良いのだ。


マウスピースをつけて行った私が悪いんでよ。
下戸でお酒が飲めない私が悪いんですよ。
高級フレンチなんかに行ったらペリエは800円位はしますものね(350mだけど)。




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