スマブラ独自の文化「宅オフ」とは?

言わずと知れた対戦アクションゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ」。

「初代」こと『ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ』の発売から約20年。通称『スマブラ』は今も昔も多くの人々の心を掴んでやまない。

彼らスマブラプレイヤーの愛が、ある独自の文化を生んだ。それこそが今回紹介する「宅オフ」である。


この「宅オフ」という文化はスマブラコミュニティ特有のものとされているが、まとまった研究はされていない。

そこで、大まかなイメージを掴んでいただくために、「宅オフ」を一言で表すと「インターネットを介して出会った人と自宅でオフライン対戦をすること」である。

「宅オフ」という言葉の語源は「自宅でオフライン対戦をすること」だろうと推測される。

ここで、「宅オフ」には自らが参加するものと主催(ホスト)するもの、大きく二種類があることを書く必要がある。

ところで、もしかすると、なぜ「インターネットを介して出会った人」とわざわざゲームをするのかという疑問をもたれるかもしれない。

その理由の一つは「スマブラが上手い人と会うため」である。当然、スマブラが上手い人はリアルな交友関係の中にもいる。

しかし、「スマブラが上手い」と一口で言っても、幅広いニュアンスがある。

地元の友達の中で最強なのか、地元の小型大会等に出場経験があるのか、都市部の大型大会で優勝経験があるのか。

このことから、リアルな交友関係の「スマブラが上手い人」が自分の想定していた「スマブラが上手い人」の像に重ならないことがたびたび起こってくる。

そこで、インターネット上で自らの戦績やプレイングを公開している、自分の「スマブラが上手い人」という像にばっちり当てはまる人の宅オフに参加する、あるいはその人を自らが主宰する宅オフに誘うのだ。

今度は別の疑問が湧くかもしれない。それは「インターネットで出会った人とするなら、わざわざ宅オフにせず、オンライン対戦をすればいい」というものだ。

確かに、現代ではチャットアプリdiscordでスマブラのオンライン対戦を、自らが良いと思った相手とボイスチャット付きでできる。

しかし、それはあくまでオンライン対戦である。オンライン対戦には遅延(またはラグ)がつきものだ。

『スマブラ』と真剣に向き合っている人にとって、遅延の有無はプレイスタイルにひどく影響を与えるものなのだ。

そこで、オフライン対戦に好んで出場する人は、すすんで宅オフを利用するのだ。

ここまでは、宅オフとそれに関わる個人的な動機をあげてきたが、次に「宅オフ」がどうスマブラコミュニティに寄与しているかを説明する。


スマブラコミュニティや大会は各地に点在しており、幅広い規模感で行われる。

きっと、あなたの出身の都道府県あるいはその周辺に一つは見つかるだろう。

それゆえ、遠く離れた地域の大会に出場したい人も数多くいる。大会会場周辺で寝泊まりする必要があるかもしれない。

そんなとき「宅オフ」という文化が人々を支えることがある。このことが、スマブラコミュニティでの交流の活性化を促す。

インターネットを介して出会った人の家にいきなり寝泊まりするのは、リスキーなことかもしれない。

だからこそ、それに悪印象を抱かせず、「よくあること」にしてきたスマブラコミュニティで古くから活躍してきた人々が抱く互いへの配慮とリスペクトには目を見張るべきものがある。


この独自の文化「宅オフ」は『スマブラ』の長い歴史と担い手同士の配慮とリスペクトが可能にしてきたものなのだ。

@ふかずちゃん

ご自由に〜