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#宗教

【秘密結社/フリーメーソン】新約聖書・キリスト教の研究-29/#170

前提として、ソロモン王はイルミナティやフリーメイソンとは無関係であり、彼は単なる悪魔崇拝者や魔術師に過ぎない。フリーメイソンやイルミナティとの関連はない。 フリーメイソンという組織の背景には、バビロン捕囚の時代に秘教が生まれたことがある。この秘教は、ゾロアスター教とカルデアの神学が結びついて形成されたものであり、その後、アレクサンドリアのエジプトに伝わった。この過程で、エジプトの宗教と結びつき、ミトラ教やエッセネ派が誕生した。エッセネ派はセケンエンラーの死の儀式を受け継いで

【秘密結社/古代メーソン】新約聖書・キリスト教の研究-28/#169

フリーメーソンといえば、秘密結社の中でも最も有名な組織である。その起源は、ヘロデ王の孫であるアグリッパ1世にまで遡ることが分かっている。フリーメーソンの創設者一族の中には、創設の秘密が記された古文書が代々受け継がれているとされる。そして、その古文書の所有者がある言語学者と接触したことで、世に出たのが「ヘロデの呪い」という本である。この書籍は真実を記したものであり、メーソンに関する秘密が明かされている。 古代メーソンの秘密キリスト教撲滅が古代メーソンの創設目的 元々、古代

【秘密結社/バーバリアン・イルミナティ】キリスト教の研究-27/#168

イエスの復活に関する聖書の記述は、霊体となったイエスが弟子たちの前に現れたという内容で、これは彼の復活を象徴的に示している。しかし、同時に「バーバリアン・イルミナティ(Bavarian Illuminati)」と名乗る秘密結社が存在し、彼らはこの復活に対して独自の解釈を持っている。この秘密結社は、復活そのものを霊的な現象としてではなく、より物質的または哲学的な視点から解釈している可能性がある。 イルミナティとはdie Bayerischen Illuminaten, th

【フリーメイソンとキリスト教】新約聖書・キリスト教の研究-26/#167

イエスの磔刑と復活が、単なる歴史的事件ではなく、マイトレーヤ(メルキゼデク)の計画の一部であったという視点は興味深い。この計画において、イエスという人物が果たした役割は、単なる預言者や教師を超えた存在だ。磔刑と復活が象徴するもの、そしてその意義は深遠であり、多くの宗教的、哲学的な解釈が可能だ。 エッセネ派の儀式では、生贄になる者が仲間の罪を背負うという概念が存在していた。これは「代償の死」という思想で、選ばれた者が他者の罪やカルマを引き受けることで、仲間を清める役割を果たす

【マンダ教】新約聖書・キリスト教の研究-25/#166

イエスの磔刑の背後に何があったのかについて、マンダ教の視点から話すと、興味深い点がいくつも浮かび上がる。マンダ教は、現存するグノーシス主義の宗派であり、彼らの信仰は洗礼者ヨハネを重要な存在とする。このヨハネ派の視点からキリスト教を再考すると、従来の解釈では見落とされていた事柄がつながり、新たな歴史像が浮かび上がる可能性がある。 マンダ教は、イラク周辺に今でも存在しているが、その信者は少数である。彼らの教えによれば、ヨハネはイエスに対して優位な存在であり、イエスの教えや行動を

【シモン・マグス(シモン・マゴス)】新約聖書・キリスト教の研究-24/#165

ヨハネとイエスについての基本的知識イエスよりも人気があった洗礼者ヨハネ この文脈ではあくまで洗礼者ヨハネがエッセネ派の中で重要な存在であることを理解していない。ヨハネが最初のメシアとして位置づけられており、イエスはまだ王のメシアとしてヨハネから正式に任命されていない状態にある。つまり、エッセネ派の中では、イエスはヨハネよりも格下である。 しかし、著者はその状況を理解しておらず、イエスの派閥と競合関係にある別の派閥、つまりヨハネ派が存在していたと考えているようだ。著者の見解

【エルサレム共同体】新約聖書・キリスト教の研究-23/#164

十二使徒たちは、インドや中国などの遠くの地にまで足を運び、早期からキリスト教の教えを東方に伝えていた。彼らはおよそ70人の共同体として行動し、その中心となるリーダーが十二使徒であった。そして、全体の指揮を執っていたのが、イエスの弟である義人ヤコブで、彼はエッセネ派の「義の教師」とも呼ばれていた。このエッセネ派の人々が築いたのが、最初の教会であるエルサレム教会であり、その拠点のもと、ヤコブが伝道活動を推進することでキリスト教は急速に広まっていった。 しかしながら、エルサレム教

【🔴キリスト教成立過程:パウロの伝道】新約聖書・キリスト教の研究-22/#163

記録がないキリスト教成立の過程キリスト教が確立される過程において、弟子たちの働きが果たした役割について説明する。多くの人々にとって、この過程は十分に理解されておらず、学者や神父でさえも正確に把握していない。文献資料としては聖書しか存在せず、パウロの教義以外は異端とみなされているため、当時何が実際に起こっていたのかを知る手がかりが非常に限られている。したがって、その時代の出来事については推測するしか方法がないのが現状。歴史の流れやその後の出来事を考慮し、論理的にこう推測するの

【正統と異端/グノーシスとローマ・カトリック】新約聖書・キリスト教の研究-21/#162

キリスト教における「復活」の解釈は一様でない。ローマカトリック教会は、復活をイエスの肉体的な蘇りと捉え、信者も最終的に肉体の復活を果たすと信じている。一方、異端とされたグノーシス主義では、復活は霊的覚醒や解放を意味し、物質世界からの脱却を象徴すると考えられていた。この違いは、物質世界や救済の本質に対する見方の違いを反映しており、キリスト教の多様な教義理解を示している。 エマオの復活一部の写本にしかない〔 〕括弧付きの節 ルカによる福音書24章12節が存在する写本について

【最後の晩餐・磔刑・復活】新約聖書・キリスト教の研究-20/#159-161

イエス受難の物語は、聖書の中でも最も劇的で象徴的な部分だ。彼がエルサレムに入城し、十字架にかけられるまでの出来事は、キリスト教の中心に据えられたストーリーであるにもかかわらず、細部が見落とされ、誤解されることが多い。 まず、エルサレム入城の場面。イエスがロバに乗ってエルサレムに入る光景は「受難週」の幕開けを告げるもので、群衆が「ホサナ」と叫びながら迎える様子が記されている。これは一見、歓迎の行進のように見えるが、歴史的・文化的な文脈を考えると少し複雑だ。当時、ローマの支配下

【塗油・マグダラのマリアとベタニアのマリア】新約聖書・キリスト教の研究-19/#157-158

イエスの体に香油を塗る場面、いわゆる「塗油行為(anointing)」は、福音書の中で非常に象徴的なエピソードだが、その解釈は多岐にわたり、混乱が生じることも少なくない。この場面は福音書の中で、特にマタイ(26:6-13)、マルコ(14:3-9)、ルカ(7:36-50)、ヨハネ(12:1-8)に描かれており、それぞれの記述に微妙な差異がある。 まず、塗油行為そのものについて考えてみよう。塗油は当時のユダヤ文化において、葬儀の準備、客人への尊敬の表明、そして王や預言者への神聖

【黒い聖母】新約聖書・キリスト教の研究-18/#156

黒い聖母の謎「黒い聖母」という謎めいた聖像は、ヨーロッパ各地に存在し、特にカトリック教会や正教会で重要な崇拝対象となっている。この黒い聖母像は、多くの場合、聖母マリアを表しており、その中でも「マグダラのマリア」と結びつけられることがある。これは、黒い聖母がしばしば受け取る「神秘的で秘教的」な象徴性によるものだ。マグダラのマリアも、歴史的に謎に包まれ、しばしばキリスト教の異端思想や異教的な信仰と絡められてきたためだ。 「黒い聖母」像の特徴的な黒さについては、いくつかの説明が存

【イエスの奇跡・マグダラのマリア】新約聖書・キリスト教の研究-17/#153-154

イエスの奇跡イエスが12使徒を集めた出来事は、キリスト教の形成において重要な一歩だった。12使徒とは、ペテロ、アンデレ、ヤコブ(ゼベダイの子)、ヨハネ、フィリポ、バルトロマイ、トマス、マタイ、ヤコブ(アルファイの子)、タダイ、シモン(熱心党)、そしてユダ(イスカリオテ)のことで、彼らはイエスの教えを広めるための主要な弟子たちだ。 イエスが12人の使徒を選んだことは、イスラエルの12部族を象徴しているとも考えられている。古代のイスラエル社会において12という数字は非常に象徴的

【山上の垂訓】新約聖書・キリスト教の研究-16/#152-153

イエスは洗礼を受けた後、本格的な伝道活動を開始する。その中心的な教えの一つが『マタイによる福音書』に記されている「山上の垂訓」で、貧しさの中での祝福、憐れみや正義を求める心、そして隣人を愛することの重要性など、人類に普遍的な価値観を説いたものだ。シンプルでありながら、深い道徳的な指針を提供している点が際立つ。 しかし、この純粋な教えがそのまま後世に伝わったかというと、そう単純ではない。イエスの教えはその後、特にローマカトリックによって大幅に体系化され、教義として整備される。