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#アブラハム

【聖書の解釈について】旧約聖書・キリスト教の研究-09/#145

旧約聖書の読み方学者の解釈 旱魃が当時発生していて、雨を降らせてほしいと願ったエジプトの王が、国民全員に初子を神々への生贄として捧げるよう命令を出したという話だ。人々は、中央に火を置き、その火の中に初子を投げ入れた。この儀式はエジプト全土で行われたものだという。 旱魃を避けるために行われたものであり、イスラエルの民はこの儀式には加わらなかった。そのため、イスラエルの民の長子、つまり初子は助かったということだ。 また、このような生贄の儀式については、ヤーウェが行ったものとさ

003.原理主義的信仰/旧約聖書【キリスト教聖書研究】

宗教には、象徴的な記述をそのまま文字通りに受け取る原理主義者が少なからず存在する。彼らは宗教の教えを絶対的な真実として捉え、それに対して疑問を持つことなく、無条件に従う傾向がある。このような原理主義者が生まれる背景には、幼少期からの宗教教育が深く関わっている。 特に、まだ判断力が未熟な子どもに対して宗教的教義が一方的に植え付けられると、その後の人生において、批判的思考を欠いた信仰に陥りやすくなる。本論文では、旧約聖書における「創世記」の物語を題材に、宗教教育がどのようにして原

マリ文書:アブラハムの影を追う、古代メソポタミアの真実

マリ王国は、その出土品の様式から、シュメール文化の影響を受けつつも独自の伝統を保っていたとされる。しかし、独自性も見られる部分がある。その一つがアムル人の農耕神ダゴン信仰であり、マリの広大なダゴン神殿は一大宗教センターであったと考えられる。もう一つは「夢占い」で、粘土板の記録から、地方の行政官が夢や幻視、予言について王に報告していたことが確認できる。予言者は神懸かりの状態で予言を語り、それが行政官や王に重んじられていた様子がうかがえる。これには、後のユダヤ教の預言者にも共通点

002.創世記/旧約聖書【キリスト教聖書研究】

第1章 旧約聖書の舞台となる現在のイラク周辺1.1 アブラハムの旅の出発点ウルと約束の地カナン 『旧約聖書』の物語は、古代の中東地域を舞台に展開される。その中でも特に重要なのが、現代のイラク南部に位置する古代都市ウルである。ウルは、メソポタミア文明の一つとして栄えた都市であり、アブラハムが神の命に従い旅を始めた場所として記述されている。ここから、彼の旅がカナンへと続く。カナンは、後にイスラエル民族が「約束の地」として目指す場所となり、彼らの信仰と運命に深く結びつく土地であ

8つの聖書的契約分類

8つの聖書的契約は、条件付契約と無条件契約に分類される。 この区分は、聖書全体のメッセージを理解するために極めて重要である。 条件付契約(双務契約)の内容と特徴条件付契約は、神と人との間の双務契約である。双方が権利と義務を持つ契約で、日常的な契約の多くがこの形態に属する。 「もしあなたが○○するなら」という形式で結ばれる。契約の祝福を受けるには、契約条項を守る必要がある。 人間が契約条項を守るという条件で、神の祝福が下る。違反した場合は裁きが下ることが多く、祝福か呪