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【XYのふたりごとVol.10:アルバージェの過去コレクション、ぜーんぶ振り返ります!<前編>】

 みなさん、こんばんは。リリース日から1日遅れての更新。大変お待たせ&ご心配をおかけいたしました・・・(え?待ってない?心配もしてない?笑)

 というわけで、XYのふたりごともあっという間に10回目!(パチパチ)今年はXY創業5周年でもあり、ブランドも4年目を迎えます。世界の常識がくるりとひっくり返った今、ブランドコンセプトを見直そうとしています。リニューアルするというよりは、初心に還りつつ、ブランドとしてどんな価値をお客様に提供していけるか、今の時代に最適化させた形でバージョンアップすることが目的。よくよくこのブログでも出てくるワード「アップデート」の作業を行っているという感じ。

 そこで、今回はアルバージェランジェリーの過去コレクションを一気に振り返るブレストをまとめた「ふたりごと」をご紹介します。過去のアイテム写真を見ながら、ゆる〜く楽しんでいただけたら嬉しいです!


◆ 2016年デビューコレクション「門出-KADODE-」

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せいな:「門出」だね。
めぐみ:懐かしい。このテーマは自分たちの門出っていうのと、会社としてブランドとしてのデビュー、門出が重なった瞬間だったので、それをコレクションにも落とし込んだという記憶がある。
せいな:まあ、いろんな門出があって。門出って節目の意味もあるわけだけど、それだとデビュー、新しさみたいなものの印象が薄いし、ハッピーすぎなくていいなって思って ───
めぐみ:出た。”ハッピー過ぎる”。(笑)
せいな:そう。ハッピー過ぎるブランドにしたいわけじゃないから。(笑)「門出」という言葉は地に足が付いている感じがして、イメージに合ったんですよね。
めぐみ:うん。
せいな:新しいスタートに対して、晴れやかな言葉をもっと使うこともできたんだけど。お客さまにアルバージェってこういうブランドです、という印象がしっかり残るものにしたくて、ここは自分たちのキャラクターに合う言葉を使うべきだなと。フランスの技術を元にしたランジェリーデザイン・設計だし、素材もヨーロッパのものを多用しているわけだけど、「日本」というアイデンティティもしっかり表現したかった。
めぐみ:アルバージェで当初から使っているけどまさに「Japonepian Lingerie」ということを表現したかったということだよね。
(Japone(日本)×Europian(欧風)=JaponepianなLingerieの意。XYの造語)
せいな:そうそう。
めぐみ:形とか今見返してもクラシックなものが多いですよね。アルバージェらしいシェイプのアイテムもあるけど。
せいな:そうそうそう。比較的クラシックなものを作りましたね。KADODEはクラシックなハーフカップとレースを使っていて、UNDER BARで少し遊びを効かせて、TRIMMINGでアルバージェらしさを出しつつ、RINPAとFUTAE SLIPで冒険した感じ。だから、少しずつグラデーションになってるような感じ。

KADODE

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UNDER BAR

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TRIMMING

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RINPA

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FUTAE SLIP

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めぐみ:うん。この時はまだコレクションのメッセージをお客様向けに発信することはしていなかったよね。
せいな:そうだね。
めぐみ:こうやってみると、やっぱりアルバージェの1stコレクションらしいというか。今までのコレクションの全ての要素が散りばめられてる。バックシャンなカットアウトショーツとか。
せいな:直近になるにつれブラッシュアップはされているのだけど、やぱり基本はここにある感じですね。
めぐみ:この時と今では縫製もアップデートされてますよね。当時の工場の方々にはたくさんご苦労をかけた(繊細なレースや複雑な仕様)中で全力でやっていただいて。今は別の工場さんで、さらに縫製レベルが上がって、同じようにご苦労をかけているんだけど(笑)、加えていろんな技術的な面での提案もしてもらったりしていて、ともに創り上げているって感覚あるよね。
せいな私自身の経験値と工場さんとの掛け算がはまるようになってきたのかもしれない。今の工場さんは、商品をよりよくしようと仕様面や縫製の提案をたくさんしてくれるし、アルバージェや私のデザインの癖をしっかり理解してくれているのが大きいかもしれない。
めぐみ:デザインに直接は関わらないけれど、お客様が身につけた時にダイレクトに感じる素材感の部分とか、ね。工場さんからのアドバイスで格段によくなったのは感じる。
せいな:ね。担当の方にこちらのものづくりの意図を知ってもらうというのが本当に大切なんだな、と思います。
めぐみ:こうやってみて思うけど1stコレクションお金かかってますね。(笑)
せいな:初めまして、の物だからこそしっかりこだわろうって話だったよね。アルバージェというブランドがどんなものかしっかり知ってもらいたいし、ここはケチらずに行こうってなった記憶。
めぐみ:そうでしたね。最近のルックそれぞれの要素を分解していくと、16AWのルックに立ち戻れる感じあるね。全部の元になってるのがわかる。質感とか、ポージングの感じとか。しっかり土台を作れていたってことですね。
せいな:"これあっての今"ですね。


◆ 自分たちと同じく、ブランドも歳を取らせるか否か

めぐみ:当初から今まで振り返ると、軸は変えずに、少しずつ新しいデザインの提案もしてきた。いろいろ総合して、今の方が少しジャパニーズ要素が強くなってるかもね。
せいな:そうだね。アルバージェのスタイルというか、色というか、が固まってきたってことなんだと思う。あと、当初のコレクションは、デザインやラインナップがマーケティングの要素を多分に含んでいたよね。
めぐみ:う〜ん、、というか純粋にお客様が気に入ってくれそうなデザインを多種多様に提案したということだと思う、基本は。それが結果的にマーケティングの意味も持ったという感じ。

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せいな:あー、そうそう。懐かしいな〜。(しばらくコレクション写真を眺めて)でも、今作るかと言われると、悩むな。(笑)
めぐみ:確かに。ちょっと違うね。16AWも大好きだけど、やっぱり25歳の私たちのクリエイションだった、と感じる。
せいな:ねー、そうですよね。テイストがちょっと変わってる。
めぐみ:25歳の感覚で作ったから、今と少しずれてて当たり前。感覚がもっと大人になったのかな。
せいな装飾性の意味が変わったのかな。昔から話してる課題でもあるけど、私たちと一緒にブランドも歳を取らせていいのか論争の部分だよね。(笑)
めぐみ:歳とっていいと思うんですけど、35歳あたりで分岐しても面白いなと思う。35歳まではブランドもお客様も一緒に成熟していく感じで、それ以降は分岐して、今まで通りのアルバージェと私たちとリアルに歳を重ねていく別のブランドができるイメージ。その方が面白いかなって。
せいな:だね。別のブランドにした方がいい。違う概念のブランド。
めぐみ:うん。30歳になって身体の悩み事が20代前半〜中盤の時とまるきり違ってきてて。それはお客様も一緒なはず(アルバージェは同年代のお客様が多い)なので、その課題解決ができるようなアイテムを提供していきたいってのはあるね。
せいな:うん、そう思う。


◆ "桶は桶屋に" 

めぐみ:改めて今までのコレクションを一気に振り返って見るにあたり・・・私たちいくつのコレクション作ったんだっけ?
せいな:んーとね。・・・(コレクションルックを時系列で画面共有)
<過去のコレクション、生産実績 一覧>
【16AW】
門出-KADODE-
【17SS】
Tsukanoma Vacances
気まぐれコレクションVol.1「Day and Tommorow」
【17Summer】
伊勢丹PB<Only MI>Vol.1
【17AW】
伊勢丹PB<Only MI>Vol.2
【18SS】
気まぐれコレクションVol.2「Tied Up Body&Mind」、OFF TO TOKYO
伊勢丹PB<Only MI>Vol.3(水着)
【18AW】
EYEWITNESS-目撃者-
【19SS】
気まぐれコレクションVol.3「My “Fanny” Valentine」
流転-The cycle of birth and death-
【19AW】
毒を着てキメろ-Poison-
【20SS】
気まぐれコレクションVol.4「Frou Frou Feu」
挑戦者たち-Challengers-
めぐみ:こうやってみると結構やってる。今更ながら。(笑)
せいな:なんだかんだね〜。
めぐみ:16年に門出コレクション出して、次のコレクションが17年春夏のTsukanomaで、気まぐれコレクションがスタートしたのもこの時か。確か「せいなさんが作りたいもの作ってみるのはどうですか?」って私が言ったのがきっかけで始まったコレクションですよね、最初は。
せいな:そう。語弊を恐れずに言うと、「作りたいもの」というのがないタイプで。そう言われるとすごく難しくて、純粋にかっこいいと思うものを作ろうという風に切り替えて進められた感じ。
めぐみ:せいなさん昔から言ってるね。いつも何かのテーマに後押しされて必要に駆られて作ってる感じがあるから「ゼロから好きなもの作れ」とだけ言われると作れないんだということを知って、個人的にはすごく学びになったエピソード。作りたいものが無い、というネガティブな意味ではなくて、常に何か作りたいんだろうけど、”作りたいもの”という概念がそもそも無いんだって気づき。せいなさんのモノ作りにおける本質を垣間見た気がした。だから、マーケティングの目線は忘れて、純粋にかっこいいものを作ればいいと思いますって言ったと思うんだけど。
せいな:そうそうそう。そうだった。
めぐみ:それでできたのがZeroとKarisomeでしたね。アイスブルーのコットンレースとバックスタイルのコントラストが個性的な三角ブラと、クラシックなソフトブラ。レーシィだし、ノンパテだから人を選ぶアイテムかなと思いきやランジェリービギナーの友人たちからも好評だった。

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せいな:そう。前と後ろのギャップを表現したかったんですよね。

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めぐみ:この時くらいから、バックシャン(バックスタイルで遊ぶデザイン)なアイテムとか、背中を美しく見せるようなデザインを押していこうみたいな話はしてたよね。
せいな:そうだったかも。
めぐみ:ファッショントレンド的にバックシャンアイテムが流行り始めてて、下着はどんなのを着ればいいのか?って悩む人たちが増えてて、じゃあ下着と一緒にスタイリング楽しめたら最高だよねっていう感じで。他のブランドさんもみんなそんな感じだったとは思うんだけど。アパレルブランドが自分たちでそれに合うような下着を出したりとかもしてて、試しに買ってみたけどやっぱりランジェリーブランドのフィッティングには敵わないな、と感じたんだよね。
せいな:立体的なデザインだからね。できないことも無いとは思うんだけど。
めぐみ:桶は桶屋にじゃないけど、自分たちだからこそ入り込める領域だと思って推し進めた感じだよね。


◆ 恐れずに飛び込んでこそ、わかる

せいな:そうね。── で、デビューからの動きを見てくださってた伊勢丹さんからお声がけいただいて、Only MIの「魅せブラ」企画に参加させていただいたんですよね。お洋服と一緒に楽しめて、見せてもいやらしくなくおしゃれなデザインの下着を作って欲しいというオファーだったかな。

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めぐみ:そうでしたね。あれ人気だったな〜。友人たちまでたくさん買いに行ってくれて、SNSにあげてくれたり、会うたびに着てくれていたりしてこれはいいものが作れたぞっていう実感があった。未だに再販の問い合わせが来たり、2着買っておけばよかったって声も聞くしね。ありがたい。
せいな:確かに、人気だったよね。伊勢丹さんがオファーをくれたのは個人的には大きくて、スポーティーだったり、シンプルな生地・素材で作ったランジェリーでもお客様がすんなり受け入れてくれた。この辺から、使い勝手も良くて可愛くて、身体のラインも綺麗に見えることがデザインするときの重要な要素になったりしてTsukanoma Vacancesコレクションに続いていくんですよ。
めぐみ:なるほどね。Tsukanomaでは素晴らしい生地に出会えたのも大きかったよね。あのテレコ生地は本当に着心地がいい。

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せいな:今まであまり自分のデザインでは多用しなかった生地だったのだけど ───
めぐみ:あ、そうなの?なぜ?
せいな:厚みがあるからどうなんだろう?下着には向かないんじゃ無いかな?って思ってたの。個人的には好きでいろいろ持ってたけどね。いざ自分のデザインにも使ってみたら全然問題なかった。
めぐみ:この仕事して思うけど、実際にやってみる(縫ってみる)ことで180度印象変わることや、わかることがあるよね。
せいな:うん。そうそう。


◆ "トライ&エラー" こそが最大の近道だった

めぐみ: 2018年の気まぐれコレクションでは、ランジェリーではなくて初めてハーネスを作ったよね。

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せいな:激しめな感じだったけど結構人気であっという間に売り切れちゃったような、、、
めぐみ:そうだったかも。
せいな:こんな感じで激しめなアイテムでもみなさん楽しんでくれるんだってわかって、気まぐれコレクションの方向性が少しセクシャルなアイテムの方に振っていったって感じだよね。

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めぐみ:うんうん。
せいな:で、その年の夏に伊勢丹さんで水着も作らせてもらったんだね。ほぼ同時期に、佐伯ゆうこさんのイラスト入り巾着をノベルティにしたOFF TO TOKYOコレクションも発表。割とバタバタな時期。
めぐみ:この頃くらいから、コレクションのコンセプトから紡ぎだしたメッセージをお客様に向けても発信していくようになったよね。今まではアイテムの画像だけだったけど、イメージカットも入れるようになったりしてる。オフィスの屋上からの景色がぴったりだったので屋上でゲリラ撮影したんだよね。(笑)

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<OFF TO TOKYO>
エネルギーが集まる東京
大きな渦の中でしゃんと立つ
流されず、自分を殺さず
真っすぐ生きられるよう心を保つ
お守りのようなランジェリー
せいな:そうそう。(笑)この頃から私がコレクションテーマ作って、それをめぐさんがメッセージに落とし込む流れが固まった時期で、それまでもほぼ同じ作業してたけど、外に発信するようなものとしてしっかり作りこむようになった。
めぐみ:そうだね〜。でもそうすることで、アイテムの背景を理解した上で着用してもらう機会も増えて、SNS上でそのメッセージを受け取ってどんな心理的変化があったかとかあげてくれる方が増えたりしましたよね。とっても素敵な投稿だったな。
せいな:ね。とても励みになるエピソードだった。”アルバージェらしさ”
というものを改めて認識させてもらった
かもしれない。
めぐみ:そうですね。いつも私たちのプロダクトを最高の形でお客様に届けてくれるイルフェリーノさんにも感謝・・・。
せいな:本当そうですね。
めぐみ:この時は「東京」の価値が変わりつつあった時期で、オリンピックが決まったりして街の景色が変わっていく感じだった。そんな東京でたくましく生きていくためにどうあるべきか?みたいなメッセージをアイテム写真と一緒にいくつか発信してた。
せいな:そうだね。今や東京にいなくてもいいじゃん、って価値観が広がりつつあったり(地方移住やリモートワークの推進により)するけど、この頃はまだ「東京」という街のパワーがあった。過渡期ではあったけど、オリンピック開催に向けて東京の価値が再考されていたような。だからアルバージェでももう一度東京という街にフォーカスしてみたコレクションを、と思ったのかも。
めぐみ:なるほど。まぁ、あの頃はまさかこんな世界になるとは思っていないし、オリンピック延期になるとは夢にも思わなかった、、(笑)
せいな:なんか、誰が東京オリンピック求めてんの?って感じだったけどね。最後の東京自己肯定コレクションて感じかもね、今思うと。
めぐみ:この流れを思い返すと、門出から始まりブランドを運営していく中で16年〜18年あたりはトライアンドエラーの繰り返しで、会社経営とブランド価値を高めることのバランスとプレッシャーに悩んでいた時期でもあったよね。ぶっちゃけ。失敗と成功を繰り返しながら、XYとしてのアイデンティティを模索する日々で苦しかった。自分たちが信じてる価値をしっかり世の中に発信できているのかどうか、みたいな。
せいな:ウンウン。下請け案件も多かったね。
めぐみ:だからなのか、視野が狭いというか「東京」というエリアにこだわっていた感じ。Tsukanoma Vacancesコレクションも都会の夏がテーマだったし。自分たちの半径数キロ範囲内での出来事がすべてのような気になっていたのかも。
せいな:確かに。
めぐみ:今はもっと身軽に、もう少し楽にいろんなこと悩めるようになった感じあるな。(笑)
せいな:アルバージェの軸はぶれずに、表現方法やアウトプットの方法が変わってきているかもね。
めぐみ:そうだね。で、18AWはまたガラッと変わるよね────

(次回につづく)


<次回は6月17日(水)18:00更新予定>
【XYのふたりごとVol.11:アルバージェの過去コレクション、ぜーんぶ振り返ります!<後編>】

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