060話:既成靴のフィッティング理論の研究
フィッティングのためのメジャーな計測方法として、足のボールジョイント部と、足長を測る方法があります。
(下図出典)
それを下表にあてはめ、該当するサイズの靴を合わせる方法です。(下図出典)
例えばZinRyuの右足は足長が259mm,足囲(ボールジョイント)が257mmなので、EE-EEEの間になります。
◆足を計測すればフィットする靴に巡り会えるのか?
難しいと思います。実例をお話ししますと、こちらの靴。
私の足に最もフィットする既成靴である、アンソニー・クレバリーなのですが、サイズはUK7D(25.5D)。実際には測ったサイズである26.0EE-EEEとは大きな差がありました。
なお、シューツリーのボールジョイント周囲は228mmでした。
◆足と靴との比較
ちなみにこの靴は、靴木型から作った靴にピタリと収まるシューツリーが付属していましたので、これを私の足と比較します。
足より、かなり小さく収まっています。足を赤い線、シューツリー外周を黒い線で示すとこんな感じ。(トゥのあたりが曲がっているのはご愛嬌w)
◆これから
例が一つではありますが、計測したサイズ=足に合う靴、ではないことを示しました。では、どのように足を把握して、フィットする靴に落とし込んでいくか?
従来のようにZInRyuの感覚で人の足にフィットさせるのではなく、それを誰にでもできる、一般の方でも使える再現性の高いノウハウに落とし込むことが、研究テーマです。
うまく結実できたら、店員さんへの教育はもちろん、ZOZOスーツの足版の計測値と靴の内寸から、ICTでマッチングするサービス開発に反映などにも使えるかも。(ちょっと飛躍しすぎかもしれません…)
手始めとして、今後いろいろな方の足を触り、仮説を検証しながらデータとして蓄積することから始めたいと思っています。
気軽にカジュアルに履く方も作る方も革靴を楽しんでいただきたいので、有益な靴や革の情報を基本的には無償で公開していきたいと思います。 皆様のスキやサポートのおかげもあり、何とか続けてこれました。今後とも応援していただければ嬉しいです!何卒よろしくお願い致します!